1回目
第4話 恐ろしい位 冴えたやり方 いくらでも造れる能力
※本作では、読みやすい小説を目指しているため、単位は全て日本方式に翻訳しています。ドルとかポンドでも、どれだけの価値があるのか直感的に考えるのは難しいのに独自通貨など出したらもっと混乱するでしょう?
というか作者がします。
なので、本作は異世界の話ですが、単位は日本式に自動翻訳しているものとします。ヤード法は亡くなればいい。
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「せっかくだから、俺はこの「お金をいくらでも作れる能力」を選ぶぜ!」
と宣言した。
「は?」
サンザとウイルドの目が点になった。
そうだろう。普通なら国を運営したり商業を発展させてお金を作るというのを予定していただろう。
だが「物事は本質を見るのが一番楽」なんだよ。
金がないなら作ればいい。
ここまで直球で身も蓋もない能力を選ぶとは思わなかったかもしれないが、そんなこと知ったことではない。
ようは勝てばよろしかろうの精神なのである。俺に容赦はない。
【能力の申請を受理しました】
という声が頭に響く。
それと同時にこの国で使用されている紙幣の姿がありありと思い浮かぶ。
日本の紙幣みたいに透かしやホログラムは無いが、偽造されにくい精巧な図案が頭に浮かぶ。
これを自由に造り出す力を感じる。
「創造!現金製造!」
と叫ぶ。
【紙幣を製造します】与えられたスキルによって金を作る。
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目の前には山盛りの札束。
日本の紙幣だと100万円が厚さ1cmなので10兆は単純に厚さ1000000cm メートルだと10,000m厚。厚さ10kmの紙が現れた。
十兆円ってこれだけの量になるんだ…。すげえ。
100×100の列だと高さ1mの壁ができあがっている。
よく100万円の札束を分厚く書いてて笑いものにされているマンガがあるが、考えもしない大金ってのは、実際に見てみないとわからないものである。
「10兆って、この半分位の大きさだと思ってました」
「これだけの量を返済しないといけないんですねぇ」
とサンザとウイルドが疲れたような声で言う。
これ、運ぶだけでも一苦労だもんなぁ。
「ところで、このお札、どう見ても日本年にしか見えないんだけど…」
ファンタジー世界なのに、何故かこの国、紙幣を使っているのである。
「アナタの国の通貨に合わせました」
サンガがさらりと言う。
「いや、こう異世界だったら金貨とか銀貨とか、もっとファンタジーなお金を使うかと思ったんだけど」
「250年前まで使用していましたが、エルフの国が紙幣を使うようになってから通貨は紙というのが主流になりました」
「硬貨は重いし、かさばるので小銭でしか使いませんね」
サンガとウイルドが畳みかけるように言う。
…まあ、急に『1金貨は10銀貨で、1銀貨で宿に一晩泊まれる』とか言われても分からないし、その方が良いか。
「使い慣れた単位でないと、この国がどれだけヤバいのか分かりにくいですしね」
そこは分からないままでいたかったな…。
「まあ、これで借金は完済できるだろうし、これでクリアだな」
目の前にはノルマである10兆円分の札束が作成された。
さあ、これで目標達成。クリアである。
「これで要求通りのお金の準備完了!」
勝った!第三部完。
「あの…大変申し上げにくいのですが…」
「何か?」
「お支払いは我が国の通貨ではなく、相手の国の現金となるのですが…」
あれ?
※戦争の賠償金や借金の返済について。
外国の借金を返す場合、基本的には相手の国のお金、または米ドルの様な使いやすいお金で返済するのが主流です。
「今回のように自分の国のお金で払っても、金や貴重な資源を購入することで仕える場合は許される場合もありますが、この国はいつ財政破綻するか分からないので返済はエルフの国のお金でするように契約をしております」
つまり、外国のお金『外貨』を獲得しないといけないということらしい。
そうなると、俺は紙くずを作っただけなのか…。
くそう、この能力を手に入れたのは失敗だったか。
仕方がないやり直すか…。
そう思った時、天啓のように頭の上でLEDライトが点灯した。
「そうか!だったらこうすればいいじゃん!」
そうだ、お金を作れるんだったら相手の国のお金だって造れるって事じゃないか!
「創造!外貨製造!」
と叫ぶ。
【エルフ国の紙幣を製造します】と声が聞こえる。
そうなのだ、外貨だってお金である。
エルフの国の紙幣は、こちらの国の100倍の価値があるそうなので、先ほどよりも省スペースで10兆円分の紙幣が納まった。
「さあ、これで借金完済だー!」
俺は意気揚々と、スーツケースに紙幣を入れだした。
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数時間後。
「…………で、このお金はどこから手に入れたんですか?」
大金を持ってきた俺は、相手の外交官から犯罪者でも見るような眼で詰問されることになっていた…。
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通貨の偽造は犯罪なので、不思議な力でお金を造ってもすぐにつかまるんですね。
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