第2話たまきの場合

 高校生って良いわよね♪

 自由気ままで、のびのびしてる、

 可愛い可愛い後輩こーはい達は、

 センスがないのが、たまにきず。



 私は尻尾をくるくるまわして、

 ウフンと流し目、猫なで声。



「協会に登録するならやるわよん?

 うちのお店で良いかしら?」

「するする登録お願いします♪」

「待てよ! 話が見えねえんだけど!?」



 話が進んで行くなかで、

 付いてこれない茶トラの彼氏。

 きょときょとあわあわ、イカミミモードで

 私とキョーコちゃんを見くらべた。



 あらあら、尻尾が逆立っちゃって。

 大声威嚇いかくは、はしたないわよ。

 大型猫の慶悟けーご君。

 声も体も大きいんだから。

 少しボリューム落としてね。



「耳が痛いわ悲しいわ」

けいちゃんあのね、許可がいるのよ」



 押さえた耳をきゅーと引っ張り、

 けーご君に見せるキョーコちゃん。

 耳に輪っかのイヤリング。

 モチロン猫耳、鈴付きよ。



「これしてないと、捕まるの」

「誰に?」

「猫のケーサツに」



 なんです? 

 けーご君、その半笑い。

 お姉さんは怒りますけど?



 軽く肩をすくませて、

 そんな馬鹿なとそっぽ向く彼。

 私はぷくっと頬膨らませて、

 猫の手上げて、爪だした。



「ただでさえ、猫娘協会は肩身狭いの。

 なめてたら、

 あなたの背中で爪研ぎするわよ?」



 猫娘って自由気まま。

 好きに眠って、

 好きに食べて。

 好きなことして、

 好きに生きてる。

 好きに金魚を捕まえてたら、

 取りすぎだって、

 怒られちゃったの。



 もひとつ金魚を狙う団体、

 ネコのケーサツにね。



 だから必要だとあらば、

 私の自慢の爪でシャキーン。

 不安はいで捨てちゃうの。

 肉球だけが、武器じゃないのよ♪



 取り放題の金魚達でも、

 ちゃーんと許可は必要なのよ。

 猫娘協会の威信にかけて、

 金魚狩りハンターやってますから♪


「けーご君ハンターするんでしょ?

 それならしっかり稼いできてね♪」


 私はにっこりひげを揺らして

 肉球ぽふぽふ、たたいて見せた。



 私がつとめるこの店は、

 猫娘協会の支店なの。

 登録している猫娘達との、

 橋渡し役を担っています♪



 彼女(彼氏?)達が持ってきた、

 金魚の売り上げ半分は、

 運営費へと変わります♪


「登録すれば、どこの店でも取引OK♪」

「コンビで登録しとくとね、

 ラッキーアイテムもらえるの!」


 にっこり笑ったキョーコちゃんが、

 けーご君の腕にダイブする。

 キラッキラな、猫の目で見上げて、

 小首を傾げてオネダリポーズ。


「……欲しくない?」

「な、何がもらえんの!?」


 真っ赤になったけーご君、

 尻尾をバタバタ振り回す。

 私はきょとんと彼を見つめる。

 あらん。これって両思い?


「猫じゃらし♪」

「猫じゃらし……」


 キョーコちゃんの弾んだ声と、

 けーご君のスベった声と。

 なんとも対比が面白い。

 私はほのぼの、彼らを見てた。



 だけれど新人猫娘ねこムスメ君、

 バカにしてはいけないわよン♪

 ネコから情報もらうときには、

 お礼は必殺猫じゃらし。


「一番ウケが良いのよね♪」

「次も良いネタ回してくれるし」

「「ねー!」」


 ここによく来る猫娘ねこムスメの中で、 

 一番気の合うキョーコちゃん。

 手と手を取ってきゃあきゃあ笑う。


「金魚はそこら辺にうじゃうじゃ、

 って訳じゃねぇのか?」

「金魚ならば、問題ないわね」

「問題なのは、別のお魚」

「そっちの情報、欲しいのよ!」


 耳をシュンとさせながら、

 キジトラキョーコがスリスリしてくる。

 私もお返し、スリスリ、スリスリ。

 これで不安もはんぶんこ。


うなぎとか」

「ピラニアだとか」

「ブラック・バスもね」

「はちあわせたら大変なのよ。

 襲われて、怪我でもしたら体がもたない」

「だからね♪」

「おねがい」


 必殺、猫(娘)ダンゴ。

 そうして二人でけーご君をみると、

 尻尾が如実にょじつにふるふる、ぱたぱた。

 顔に “かわいい” って書いてある。



 よっぽどネコが好きなのね。

 私とキョーコちゃんはうなずく。

 よし。

 押しの一手いってよね。


「金魚を狙って寄ってくるのよ!」

「私達も食べられちゃう!」


 今度は二人でけーご君めがけて、

 腕にくっつき、

 スリスリ、スリスリ。

 真っ赤になったけーご君。

 ベリっとはがして後ずさり。


「わかったよ!

 登録すっから俺にスリスリはやめれ!」

「やったあ! ありがと。

 慶ちゃん大好き☆」



 うふふ。

 うまくいったわね♪

 コンビで登録すると、

 お店うちにもお手当て、付くんです♪

 私はさっそく、スマホをタップ!



「期待してるわ、頑張って♪」

「コンビ名はトラトラで!」






















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る