幼なじみとの同棲生活
南河原 候
1話
春の陽気がとても心地よく、桜も立派に咲き誇っている四月上旬。
おれ、
だけども、夢の一人暮らしと言う訳でもない。
幼馴染と2人で暮らしている……。
◇◇◇◇
「ねえ、紅葉」
おれの前に座る──幼なじみの
さらっと長い黒髪。切れ長な黒い瞳。整った鼻梁。小振りながらもふっくらとした唇。きめ細かく色白な肌。輪郭を描く頬から顎のライン。まるで人形のような顔立ちをしている。
体型もモデル引けをとらないぐらい引き締まっている。まあ、胸は残念だけど、誰が見ても遥は美少女だ。
こうしてよくみると、毎回思ってしまう。何でおれはこんな子と許嫁なんだろうと。
なぜおれと遥が許嫁になのかははごくごく簡単な理由。
親同士が学生時代から付き合いらしく、何処の馬の骨にやるよりも知ってるやつに渡すぐらいならお互いの子供を結婚させようと言うことになってたらしい。
それでも、本人達の気持ちを優先して欲しいみたいで、嫌なら嫌と言っていいと言われた。
おれは特に嫌という訳でもなかったけど、だからと言って縦には頷けなかった。
遥のことは嫌いじゃない。好きは好きなんだろうけど、これが『恋人になりたい』『結婚したい』という好きなのかが分からなかった。
そんな気持ちで遥と付き合ってはいけない、とおれは思ったけど、遥は『別にいいよ』と軽しげに言っていた。その時はまさか『いいよ』と言われるとは思ってなくて驚いた、それでも、おれは頷けなかった。
それで、痺れを切らした父さん達が『じゃあ、一年二人で暮して決めてくれ』と言い出しす始末で、今に至る。
「? 紅葉?」
「え、ああ。なに?」
「聞いてなかったんだ…」
「ごめん」
「まあいいけど……。今週の土曜日空けといてね」
「? いいけど」
おれを返事を聞くと遥はそそくさと、食べ終わった食器を片付けて部屋に戻ってしまった。
土曜日……なにかあったけ?と疑問に思いながらおれも食べ終わった食器を片付け、洗ってから部屋に戻った。
おれは土曜日空けた事を後に後悔する。土曜日さえ行かなければあんな事にはならなく今まで通りの日々を送れたのに……。
幼なじみとの同棲生活 南河原 候 @sgrkou
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます