双子の少女(1)
答えが導かれるより先に、鋭い光が辺りを照らした。
「あら、また猿が一匹、いや二匹来ましたわ。お姉さま」
初めて聞く声。マミではない。
急に明るくなったことで、まともに目を開けることができない。しかし自分たち以外のものがそこにいるのは確かだ。反射的に身構える。
「まだ生き残りがいたなんて……ってあれは03じゃないか?」
意地で目を開き、前を向く。まだはっきりとしない視界に人影が二つ。それに今確か03とか何とか言わなかったか?ということはこいつら、もしかして――。
「お前たちは誰だ?」
とりあえず状況を把握しなければならない。
「そこの劣等人種が何か言っていますが、お姉さま」
「本当は殺したいところだが、03のことを聞きたいしとりあえず情報交換だ」
殺す?いきなり物騒な言葉を使って……そういや人の腕、あれももしかして彼女たちが――。
回復した視界に移ったのは二人の少女だった。片方は黒を、もう片方は白を基調とした軍服を着ている。しかしこれはこの国のものではない。間違いなく、
「ゲルマニア軍……」
「ほう、よく分かったな」
黒の方がそう言うと、被っていた帽子を脱ぎ深々とお辞儀をした。
「初めまして。ゲルマニア軍大尉、試験番号01です。」
「同じく大尉、試験番号02です。どうぞよろしくお願いいたしますわ」
一寸の無駄もない動きに思わず感心してしまう。
「まあ、アインとツヴァイとでもお呼びください」
「それで」と黒の方、おそらくアインの方が続ける。
「貴様は何者だ?それで何故03と行動を共にしている?」
鋭いナイフのような視線をこちらに送ってくる。断ることなど許されないような感じだ。
「ぼ、僕は南野シゲル。彼女は廃墟で壊れているのを見つけて、それで修理して今は行動を共にしている」
多少早口になってしまったものの、何とか話し終える。
「なるほど、結構」
すると今度はマミの方へ、アインは視線を向けた。
「03、いやドライ。私のことを覚えていますか?」
先ほど僕に向けられたのと同じ視線をマミへと送る。ドライだか何だか……このナンバリングがあるということは彼女たちもマミと同じく機械なのだろうか。
「いや、その、私記憶がなくて」
困惑した様子で答えるマミ。それを聞いてツヴァイの方が「これだから劣等人種は……」と呟く。
「いや、これは仕方のないことだ。むしろ捕虜になった時のための機密保護プログラムが正常に動作している証だろう」
アインの方はそう言うと、ポケットから手帳を取り出した。
「確かプログラム解除のパスは……」
ぱらぱらとページをめくった後、あるところでそれが止まった。
「あったあった」
そこで彼女は咳ばらいをすると、何やらゲルマニアの言語で読み上げ始めた。
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