第31話

帰国するオルフェンさんから。


国章の絵ハガキ。


礼儀正しいですね。


レディファースト?


姫ちゃんは浜松カトリック教会に出かけました。


ちょっと思う所があって。


四人で電車に揺られます。


葵ちゃん。

「車だと時間が必要。」

「電車だとすぐだね。」


志穂。

「一直線だから。」

「あとスピードが100キロくらい。」


紬ちゃん。

「辿る道によって距離も時間も異なりますよ。」


雫ちゃん。

「それは言えてる。」

「究極的には空飛んだほうがいちばん速い。」

「富山から羽田まで1時間。」

「飛行機から見ると地上はコンパクト?」


葵ちゃん。

「地形の造形は偶然とは言えない。」


志穂。

「解き明かすものはまだまだたくさんある。」

「未知でいいのよ。」

「知ったかぶりしなくて。」


島田駅。


すぐそこに大井神社。


今回の目的は「祓戸大神」小宮への参拝。


二度と穢れることのないように。


罪責による血の代償と苦しみからの解放を祈り。


近くに恵比須神社。


七福神。


葵ちゃん。

「しあわせを祈ろう。」


志穂。

「いつかその時まで。」


紬ちゃん。

「ああ!破魔矢!」


雫ちゃん。

「どこ行くの?」


葵ちゃん。

「紬ちゃんは?」


志穂。

「あそこ。」


紬ちゃん。

「池の鯉。」


葵ちゃん。

「わたしも見たい。」


志穂。

「ううむ。」

「風流な楽しみもあるもんですね。」


本殿に参拝。


電車で掛川駅。


掛川城にて。


珂珠さんと乙葉さんと合流。


珂珠。

「実践で鍛えるわよ。」

「おもしろい娘を連れてきた。」


フィロー。

「前戦場で会わなかった?」


葵ちゃん。

「さあ?」


モナ。

「そこのお嬢ちゃん。」

「私を倒してみよ。」


葵ちゃん。

「みんな正義とは言いますが。」

「正義とはなんですか?」


モナ。

「正しい行いです。」


葵ちゃん。

「では悪者を倒すのは正しい行いですか?」


モナ。

「もちろん。」


葵ちゃん。

「では悪者とは何ですか?」


モナ。

「おお・・・っと。」


葵ちゃん。

「ということは正義とは何かを知らずに。」

「正しいと主張するのですね?」


モナ。

「やるじゃない・・・。」


乙葉。

「おおー。」

「この娘うちに置きたい。」


珂珠。

「まだ育成段階よ?」


乙葉。

「硬い事言わないの。」


フィロー。

「うーん魅力的。」

「好きになっちゃった。」


葵ちゃん。

「そんな。」

「わたしはあの人と寝たんですよ。」


フィロー。

「えぇぇぇぇぇぇ!?」

「誰よ?どの女よ!」


葵ちゃん。

「クレンズのニックネームの女の子。」


フィロー。

「それはいつかの女!!」

「口惜しや!」

「オーケーさえ貰えれば。」

「すぐにホテルに連れ込んだのに!」


モナ。

「いや本気じゃないだろうね。」


フィロー。

「かわいい女の子が好きで何か悪い!?」


モナ。

「ああそういう趣味。」

「惜しかったね。」


フィロー。

「憂さ晴らしする。」


フィロー天守閣に上がる。


手を広げてふざける。


城下の街を見下ろして。


叫んでみる。


フィロー。

「凡愚どもめー。」


モナ。

「何言ってんだよ。」


乙葉。

「民主制に対する皮肉だなあ。」


珂珠。

「君主制・貴族政・民主制。」

「どれが良いとは言えないけれど。」


フィロー。

「衆愚にルサンチマン。」

「凡人の集団に凡愚の集まり。」

「みんな平凡匹夫の社会。」

「やーいやーい。」


葵ちゃん。

「おわ。」

「敢えて事実を言わなくても。」


モナ。

「いやここで言わせておこう。」

「気も晴れるだろう。」

「この眺めからそんな事を言ってしまえば。」


フィロー。

「へらへら笑って。」

「快楽と幸福を混同しつつ。」

「人間の愚かな知恵で。」

「せいぜい頑張ってみろー。」

「あははは!!」


乙葉。

「放っておくと壊れない?」


モナ。

「憂さ晴らしには丁度いいだろう。」


葵ちゃん。

「個性的だなあ。」


志穂。

「なんですかあの皮肉は。」


紬ちゃん。

「ステキ。」

「そんな豪華な道楽もあるのね。」


雫ちゃん。

「私もやってみようかな?」

「庶民よー。」

「お前たちの真の支配者は民主制なのだー。」

「なーんて。」


志穂。

「君主には支配されないけれど。」

「別の何かが連中を支配しているのは明白ね。」


紬ちゃん。

「何かの支配は自然の摂理。」

「私達ってけっこういい身分ですね。」


フィロー壊れる。


モナが介抱。


掛川高校のグラウンド


珂珠。

「さてさて。」

「練習試合なんだけど。」

「記者とか生徒の見学とかあるよ。」

「公式試合だねぇ。」


葵ちゃん。

「良い舞台です。」

「腕試しと行きます。」

「私もまだ成長の余地は大有りです。」


フィロー。

「魔石チェック。」

「まずひとつめ。」

「制御封石は装着してるね。」

「次に蓄電魔岩。」

「ルールは武器なしで素手タイプ。」

「はい完了。」


葵ちゃん。

「では適当に開始します。」


フィロー。


変身。


ヴェネツィアマジックの衣装チェンジ。


葵ちゃんのスピキュールを。


体を回転して回避。


横に回り込んで。


光の球を投げてくる。


ホーミング。


それを弾く葵ちゃん。


距離を詰めてくるようで詰めないフィロー。


葵ちゃん。


透明な薄い光の球を形成。


不思議な青白い何かをばら撒いて。


辺りを薙ぎ払いました。


爆発するものの。


突進された葵ちゃん。


フィローと格闘戦。


葵ちゃんはカラスのような独特のステップで。


ひらりと回避。


葵ちゃんは手に青白い光の球を発生。


直接フィローに叩き込もうとする。


フィローは即座にエネルギー弾で相殺して。


後退。


葵ちゃんのスピキュール。


フィローの回避運動には当てられない!!


葵ちゃんも変身。


中距離での撃ち合いに。


接戦。


ホーミング弾を薄い鏡で屈折させて。


簡単に防ぎつつ。


スピキュールを中心に展開する葵ちゃん。


試合は長期戦に突入。


なんとか接近戦に持っていきたいので。


光の球をばら撒いて。


片っ端から空中に浮遊させて。


一斉攻撃を敢行。


遂に近距離でエネルギー波を発動。


葵ちゃん。


後ろにわざと飛ばされて着地。


追いかけるフィローですが。


それは分身で。


消えてしまいました。


霧になっているフィローの周辺。


青い爆発に巻き込まれるフィロー。


吸引の魔石はまだ電気を発しません。


葵ちゃんは自動ホーミング弾を食らって転倒していたのです。


フィロー。

「あれ?」


葵ちゃん。

「え?」


珂珠。

「そこまで。」

「魔力の消耗率が許容量を超えたわ。」

「引き分けね。」


葵ちゃん。

「かつての最強魔法少女。」

「名実通りの力です。」


フィロー。

「実力派の女の子とやれて。」

「感覚が戻ったわ。」

「良い試合が出来ました。」


葵ちゃん。

「かわいいですね。」


フィロー。

「成人したばかりよ。」


ハグされました。


乙葉。

「実践派ってすごいねえ。」


珂珠。

「師匠譲りよ。」


乙葉。

「あなたの師匠はもはや伝説ね。」


モナ。

「あんなんだっけ?」


志穂。

「あの娘前より見違えてない?」


紬ちゃん。

「魔法使い同士の試合。」

「見応えあります。」


雫ちゃん。

「あおいちゃんも出世したなあ。」


この試合は小さな記事になりましたよ。


強力新人。


かつての最強魔法少女と引き分ける。


なんて。


ちょっと思う所がありまして。


両親に相談。


新20円金貨を諏訪神社・五社神社に寄付致しました。


浜松八幡宮にも。


バージョン違いの新20円金貨。


余剰財産なんです。


家の蔵には大量の骨董品が眠っており。


せっかくだからと。


お父さんが勧めてくれました。


不思議な満足と精神的な充実があり。


こういう生き方も有りなんですね。


ちょっとばかり大人になれたかな?


学校にて。


志穂ちゃんが。


東大の難問を解いてます。


本屋で買ったそうです。


いや進んでますよね。


私も負けてられません。


まだまだ成長しますよ。


縄文杉になれたらいいかな?

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