第27話
池のある公園。
コンクリートの上に土を盛った池なので。
生物が豊富である。
近くに河川があり。
その水を引き込んだ。
自然公園。
昼間だけれど。
曇りなので薄暗い。
葵ちゃん。
「なんだろう?」
「人が集まっている。」
「集会でもしているのかな?」
道化師。
「考えたのは暮らしのみ。」
「暮らしさえ。」
「暮らしさえ良ければ。」
「彼らは満足で。」
「暮らしのことだけ考えて。」
「月日は巡り。」
「年月よ過ぎ。」
「暮らしの先へは。」
「こっちへおいでよ。」
「幽世と。」
「誘い導かれ。」
「暮らしの一生終えるのです。」
「暮らしだけがこの世のすべて。」
「言わんがばかり。」
「民はそれで満足で。」
「月日は巡り。」
「昼夜は転換。」
魔女。
「人よ嘘よ程々に。」
「どこから出た意見でしょう。」
「どうも人間の嘘というもの。」
「真実をいくらか混ぜていたり。」
「強引に詭弁を使って。」
「言い負かす事も多くて。」
「人間は付き合いきれんのです。」
クリスチャン。
「ニヒリズムから出た見解はみんな愚かなものよ。」
「西洋では絶対的な価値観の元に人は生きていた。」
「18世紀に入って価値判断は崩壊。」
「意味も無く生を過ごす世界を強いられた。」
哲学者。
「正しいように見えて正しくない理論ばかりで。」
「特に酷いのは。」
「悪は思考停止の凡人が作る。」
「悪人だけが悪を作るのではない。」
夫人。
「ルサンチマンなんてもっと酷い。」
「強者を悪と見なして。」
「弱者を善と見なす。」
「ああなんてこと。」
「プロテスタントでは人生は戦いであると教わったわ。」
「いろんな敵との戦いに打ち勝たなければならない。」
「ルサンチマンは降伏したか捕虜になった身で。」
「神様に対して言い訳を繰り返しているのです。」
道化師。
「いっそこう言いましょう。」
「生活だけが人生の目的だ!」
「暮らせればいいのだ!」
夫人。
「なんてこと!」
「愚かな金持ちとして戒めがあるのに!」
クリスチャン。
「そういうのがニヒリズムだと言っているんです。」
魔女。
「人間共に混ざってコソコソと。」
「車でも自転車でも徒歩でも。」
「人間共に混ざって。」
「いつまでもコソコソしていなければ。」
「まあ世渡り。」
「単純な人間を出し抜く悪知恵はお買い得ですよ?」
夫人。
「人間は自分こそ正しいと独善的です。」
「そこを利用してやるのです。」
クリスチャン。
「おや?人間は自分が神だと思っているのですか?」
「それとも神になりたいと?」
哲学者。
「猿から進化しただけの人間が神になりたい?」
「これは大笑い。」
「もう少し笑っておきます。」
クリスチャン。
「進化論を信じる人は少数派だと思いますがね。」
魔女。
「ダーウィンは学者だよ。」
「宗教家じゃない。」
道化師。
「そこら辺に気が付くべきでしたなあ。」
「むかしからいろんなパッケージ。」
「さあ使いこなした者は数えるほど?」
哲学者。
「日々暮らす事しか考えられない連中です。」
「そんな高貴な代物なんて無視するに決まっているでしょう。」
「そんな世界では奴隷道徳も教育で教えられます。」
「そう言えば男性だけはけっこう自由が通じますね。」
夫人。
「女の一生なんて。」
「育って卒業して。」
「仕事か結婚くらいで。」
「手間が無駄にかかる子育てに。」
「出産なんてさせられて。」
「あとは老いていくだけなんだもの。」
「特に子育てはペットよりずっとか手間が必要で。」
「次回の生涯。」
「結婚なんて破棄してやりましょう。」
「我ながら無駄な生とも思えますし。」
魔女。
「まあ女というもの。」
「いろんな事物を強要させられ。」
「本当の所の自由というものが無い。」
「結婚も強制みたいなもんで。」
「考えもなしに結婚なんて口に出してはいけないよ。」
「結婚してから数十年後の事まで。」
「きちんと推し測ってから入るんだね。」
哲学者。
「そうなると結婚とは奴隷制のことである。」
クリスチャン。
「それは立場の違いのようだね。」
哲学者。
「はっきり批判しておきたいので。」
道化師。
「さあさあ女は生まれ出て。」
「さあさあ結婚する為に育ちつつ。」
「さあさあ夫の元へ行きなさい。」
「さあさあ女の一生そんなもの。」
魔女。
「そうなると女は単純で馬鹿という意味だよ。」
「あんたね。」
「それを知らずに進んでいく連中に。」
「片っ端から言い触らしてあげな。」
夫人。
「言い訳なんですけど。」
「みんなこうだからとか。」
「なんとなく自分たちで女性という存在を定義付けて。」
「従ってしまったんです。」
「今日は理性がよく働きます。」
「いつもは感情的で。」
「判別できないのに。」
哲学者。
「善悪も道理も理性的判断です。」
「効いているうちはいいものです。」
魔女。
「いつしか阿呆の集まりも。」
「段々と王宮パーティーになってきたね。」
クリスチャン。
「2019年ですが。」
「今年も中世の暗黒時代でしたよ。」
「市民は見えていませんけれど。」
道化師。
「君も阿呆になってしまえ。」
「患いはないよ?」
「ただ常に踊っていなければ。」
「この世の気違いを題材に。」
魔女。
「この世を題材にすれば。」
「ホラー映画顔負けの芸術作品が作れるかもしれんわ。」
クリスチャン。
「人は正しい存在ではありません。」
「正しければこうなってはいません。」
哲学者。
「まあ所詮は猿という訳だな。」
夫人。
「進化論をそんな風に使わないでください。」
哲学者。
「みんな所詮は猿なのだ。」
「だからああなのだ。」
クリスチャン。
「聖書には似たような記述はいくつかありますが。」
哲学者。
「進化論とやらも中々イケてる説だと思うがね。」
「自然発生したなんて。」
「素晴らしいじゃないか。」
夫人。
「そうなると人間も自然の一部。」
「進化論とは人間が自然発生した史実になるんですか?」
クリスチャン。
「かえってそうなると神秘的ですよ。」
「汎神論に入りますけれど。」
魔女。
「野獣から進化して。」
「知的生命体として確立するのかね?」
「わたしら性悪説だからね。」
「その意見に異議は無いよ。」
夫人。
「私は無知無能が災いでした。」
哲学者。
「おっと!」
「陰鬱にならないうちに話題を変えようか?」
道化師。
「次は世間話でもしますか?」
「世人のどうしようもない具合の悪さ。」
「一生懸命が取り柄。」
「劣悪な生活形態。」
「堕落していく自由意思。」
クリスチャン。
「自由が堕落をもたらす。」
夫人。
「まあ眺めていましょう。」
「私達は例外者ですから。」
哲学者。
「世人をそんな目線で観れるなんて。」
「いい身分だな。」
道化師。
「このご時世。」
「阿呆か気違い。」
「どちらかにはなってしまうな。」
哲学者。
「私は阿呆だよ。」
夫人。
「阿呆として戯れる積もりです。」
魔女。
「よしわかった。」
「またみんなで踊ってみようか。」
世人。
「なんで?私が!私が!」
「俺は!俺は!そんなことない!」
「僕は正しいんだ!」
「こうなるべきだ。」
「それはこうだろう!」
「ルールだと?俺がルールだ!」
スズメ。
「ひとたちなにをしているの?」
「いつも暗い顔で。」
「今は昼間と言いたいけれど。」
「いつも夜のように影のように。」
「幽霊かと思うほど。」
「暗い雰囲気出している。」
「ちょっと危ない連中なのかしら。」
「接近したりはしませんよ。」
「感染したら元も子もないもんです。」
天地自然の法則。
「我に従っているうちは保証書を渡してやる。」
カブトムシ。
「さてさて人間に捕獲される準備でもしようかな。」
蝶々。
「女性も私のように綺麗に羽ばたけるといいですね。」
「そこら辺の女よりは綺麗に生きて見せますよ。」
イガグリ。
「おい!早く拾え!」
「誰だ!無視すんなー!」
魔女。
「おや?」
「薄暗い世の中なんだが。」
「このままでは隕石でも降ってきそうだ。」
道化師。
「まあ雨に打たれる程度が阿呆にとっては相応しい。」
哲学者。
「では人間には快楽と苦痛をくれてやれば。」
「具合が良い。」
クリスチャン。
「落雷でも来たらどうするんですか。」
夫人。
「衆愚の一部になるより。」
「阿呆になって踊るほうが私は好きです。」
道化師。
「人間のことだから。」
「そのうち発狂するに違いない。」
「巻き込まれないように。」
「端っこで踊っているかな。」
魔女。
「人間の狂気はいつものことじゃないですか。」
クリスチャン。
「そういうからには。」
「人とは欠陥品のことですよね?」
哲学者。
「人が欠陥品?」
「高い知能の結果として。」
「そう見えるんじゃないかな?」
夫人。
「本当に高い知能があるんでしょうか?」
葵ちゃん。
「なんだかユーモアラスなひとたちだなあ。」
「民は暮らしの事しか考えないから。」
「不自然じゃないと思うけれど。」
「女性の一生?」
「むしろなんで無批判だったんだろう。」
帰宅。
いろんな事が日常に消えていくんですね。
そう思っていたら。
姫ちゃんが。
突然押し倒してきて。
ウィンク。
キスされてしまいました。
ちょっと良かったかな。
リーリエ。
「クレンズ。」
「あれはぶどうジュースではありません。」
クレスケンスルーナ。
「でも美味しかったよ。」
リーリエ。
「度数は低いですし。」
「まあ一回飲んで免疫つけてください。」
葵ちゃん。
「こんな姫ちゃんもいいかな。」
クレスケンスルーナ。
「ちょっとえっちな事したい。」
葵ちゃん。
「なんかやられちゃうかも。」
「まあいいかな。」
リーリエ。
「葵さん。」
「今夜は頼みました。」
「私だけでは対処できそうもない。」
葵ちゃん。
「女の子好きなので。」
「こんな体験もしてみたかった。」
クレスケンスルーナ。
「続きしよー。」
大学のパーティーで何かあったみたい。
こんな姫ちゃんもかわいいし。
女の子が好きなので。
でもちょっとたまらなかったです。
目を覚ますと。
姫ちゃん。
顔真っ赤になりつつ。
着替えていました。
何も言わずに。
頭を冷やしてくると。
そんな姫ちゃんもかわいいなあ。
もちろん男子禁制ですよ?
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