第13話
夏の訪れ。
太陽照らす海の傍。
浜名湖の南方。
港の近くは絶好の釣りスポット。
浴衣姿の珂珠さん。
華族ナンバー3。
ロリータ系の服装で。
乙葉(おとは)さんとで。
友達勢ぞろい。
一緒に来ましたよ。
乙葉。
「乙葉だぞー。」
「車での移動なら任せなさい。」
雫ちゃん。
「戦国武将がデザインされた車に乗っている。」
「たまらんわあ。」
「車内にも歴史的なアクセサリーがいっぱい。」
紬ちゃん。
「痛車と呼ばれるらしいですけれど。」
「中々その手の通ですねー。」
乙葉。
「調子に乗ってやってしまったのだー。」
クレスケンスルーナ。
「これ美術品みたいでいいわね。」
「うちにも車が数台あって。」
「描いてくれる?」
リーリエ。
「それは多分。」
「芸術的であればステータスになりますね。」
珂珠。
「車もけっこう改良されていて。」
「車検通るのかしら。」
乙葉。
「正規品でのチューニングなのだー。」
「通るかどうかは考えてないぞー。」
雫ちゃん。
「いや考えてください。」
珂珠。
「近くに迫ったら。」
「部品を元に戻すでしょう。」
「考えて行動するひとじゃないから。」
葵ちゃん。
「直感で動いているみたい。」
志穂。
「ああよく当てられたわね。」
「そういうひとだから。」
「個性が強いから気を付けて。」
珂珠。
「到着。」
「装備よしです。」
乙葉。
「どうやってかっこよく駐車しようか。」
紬ちゃん。
「いやそんな事やらないでください。」
「普通でいいんです。」
珂珠。
「イタズラ好きなのもこのひとの特徴。」
降車。
乙葉。
「ビークルを確保してくる。」
珂珠。
「わたしたちは普通に釣りをしようね。」
クレスケンスルーナ。
「日本の魚ってどんなもの?」
リーリエ。
「かっこいいらしいです。」
「大抵は先が尖っていて。」
「巨大でパワフルな魚も普通にいるとか。」
葵ちゃん。
「それはカジキとマグロです。」
「魚についてはこれから見られますよ。」
乙葉さんは別行動へ。
釣りを楽しむ少女たち。
近くの森林隠れてね。
昆虫たくさん展開中。
セミ。
「ただ鳴いてます。」
「そりぁそうだ夏だもの。」
「私たちがいないと夏も寂しい。」
「ただ鳴いてます。」
「何が悪いのですか?」
「これが自然と言わんばかり。」
「ただ鳴いてます。」
「人間に捕獲されても。」
「夏ですからね。」
「潔く散ります。」
スズメが近くをトコトコ跳ねている。
葵ちゃん。
スズメをすず。」
「こう言って中々かわいいものです。」
「冬には食べ物に困るだろうと。」
「足してやりました。」
「彼らは在り処を知っているようで。」
「痩せているくらいなものです。」
「いつもより少ない食物で。」
「厳しい冬をいとも簡単乗り越える。」
「野山が養い自然の営み。」
「見てごらん。」
「人は手本を見つけたものです。」
イシダイが何気に泳いでいる。
浮上したり潜水したり。
挙動不審。
葵ちゃん。
「行ける?」
クレスケンスルーナ。
「あれがイシダイですか。」
「アタックするのは無謀そうだわ。」
志穂。
「場所が場所で行けないわ。」
葵ちゃん。
「放っておこう。」
志穂。
「うわカサゴ。」
リーリエ。
「あらまあ。」
「魚でも鎧武者のように。」
「着飾りたいのですね。」
珂珠。
「詩的な事を言う前に。」
「さっさと海に投げちゃって。」
志穂。
「投棄。」
「リリース。」
「釣った魚は食べるつもりはない。」
「バケツに入れたら返すのみ。」
葵ちゃん。
「終わり際に餌の塊を放り投げる。」
「海を知るのなら。」
「水の中も見渡せます。」
雫ちゃん。
「よし釣れた。」
「根性。」
紬ちゃん。
「体全体を使うように。」
「効率よく動きますと。」
「3倍くらいの力も出ます。」
「魚くらいなら負けません。」
再びイシダイ。
きわどい。
アタックするも捕獲ならず。
乙葉さん。
船を出して来ました。
友人の船を借りたようです。
乙葉。
「舟遊びしよう。」
珂珠。
「これが今回の目玉ってね。」
葵ちゃん。
「さすがです。」
「真面目に遊ぶのですか。」
志穂。
「私は金槌。」
珂珠。
「ライフジャケットをしておいて。」
志穂。
「浮き輪も?」
珂珠。
「備えあれば患いなし。」
クレスケンスルーナ。
「水平線。」
「日本は美しい場所がたくさんですなあ。」
葵ちゃん。
「天地創造の。」
「造形美。」
「偶然出来た地形ではないですよ?」
クレスケンスルーナ。
「あらま人知を超えてる。」
「さすがに畏怖したわ。」
志穂。
「あんたらやるじゃない。」
「けっこう釣れている。」
雫ちゃん。
「魚を知れば漁は簡単。」
「実力ってヤツ?」
紬ちゃん。
「奥義極めたりー。」
「なんてー。」
志穂。
「そんなに深い物事なのね。」
「魚。」
「たまらない。」
「もっと見ていよう。」
雫ちゃん。
「そろそろリリース。」
「弱ってしまう。」
志穂。
「さあ海に帰りたまえ。」
「食べない猟はしないもの。」
紬ちゃん。
「猟は食べるために行うもの。」
「遊びであればリリースが当然ですもん。」
乙葉。
「あっ操作忘れた。」
珂珠。
「そんな馬鹿な。」
乙葉。
「マニュアル見てくる。」
リーリエ。
「なにをやっているんです。」
乙葉。
「なるほど。」
「しばらく操縦していなかったから。」
珂珠。
「運転手が駄目になったらどうすんの。」
乙葉。
「いや違う。」
「魚群探知機。」
「新しく搭載されてるから。」
珂珠。
「そっち?」
「マグロ漁船なの?」
乙葉。
「どうせなら大物仕留めたいじゃん。」
珂珠。
「そんな大事業。」
「ここでやらないで。」
乙葉。
「狙うだけ狙ってみよー。」
葵ちゃん。
「なにこの魚。」
志穂。
「知らない。」
「焼いて食べればいいと思うよ。」
乙葉。
「魚であればとりあいず焼いて食べればいいの。」
リーリエ。
「そんな単純なものではないですよ。」
クレスケンスルーナ。
「あはは。」
「真顔で冗談言うんだから。」
「これが生きた魚ですか。」
「おもしろい生物です。」
日が暮れる前に帰還へと。
お戯れ。
葵ちゃん。
「蝋燭の火とて。」
「吹けば消えるは儚さよ。」
「夜を彩る炎よ。」
「人も同じくこうなるか。」
「夜明けの船出。」
「揺蕩う船のよう。」
「人もこうして海に出て。」
「これは船の中。」
「クルーズ船の中で灯してます。」
乙葉さんの車で帰宅。
乙葉。
「またねー。」
「次はジェットコースターがいい?」
雫ちゃん。
「戦闘機みたいのにして。」
乙葉。
「了解。」
「宇宙へ飛ぶ気持ちでいなさいな。」
みんな帰宅。
葵ちゃん。
「ちょっと休憩。」
クレスケンスルーナ。
「おおっと。」
葵ちゃん。
「ひゃっ。」
抱きしめられて。
そのまま寝転がる。
しがみ付いて離れない。
葵ちゃん。
「気持ちいい。」
クレスケンスルーナ。
「わたしもだよ。」
抱きしめられて。
そのまま寝ちゃった。
起きると目の前にリーリエ。
食卓に並べられた。
暖かい食事。
今日の夜はなんだか。
パーティーみたいですけれど。
外を見ると怪しい雰囲気。
影がそこら辺にて。
姿がちらり。
不審者でもいるのかな。
怪しい空気で満ちています。
なにやら。
遠くの方にランプが見えました。
噂。
「これは知らんでしょう。」
「噂も時には計略に。」
「用いる事もできますよ。」
「判断材料も。」
「憶測のみで語ります。」
「頭の悪い推理にて。」
「私はひとりで歩き。」
「いろんな人を訪ねます。」
「さてさていつになったら。」
「自分の頭の悪さに気付くやら。」
「馬鹿も見飽きた頃だけれど。」
「根拠の無い事理由にするさ。」
「阿保どもめ。」
道化師。
「根拠の無い話を信じて。」
「踊らされる人形だと。」
「お前は確かに言いました。」
「道化の仲間に入るなら。」
「自分が馬鹿だと認めなさい。」
「他人の嘘でも本当でも。」
「まかり通った世の中だ。」
「人形になるのもオチだがね。」
噂。
「みんな揃って気が触れて。」
「ずらっと並べて安売りだ。」
「愚かな人間たくさんで。」
「これでは足の踏み場もないですな。」
道化師。
「動物よりも優れてる。」
「そんなのあれ見りぁ幻想だ。」
「お前さんらは人間と。」
「猿の区別もつかんのかい?」
噂。
「そのような滑稽な。」
「皮肉の限りを尽くしたね。」
「それではこれらを。」
「いろんな人に尋ねては。」
「彼らに伝えておくんだよ。」
道化師。
「よろしくな。」
「馬鹿の相手は貧乏くじ。」
「あんたは随分と。」
「損をしたがるお方だね。」
噂。
「全員に。」
「屈辱を差し上げましょう。」
「こんなふうに売り込んで。」
「たまらず手を出し損害だ。」
「俺は損というより。」
「借金を作ってやるものだ。」
道化師。
「こんなの踊らねば。」
「こっちも気違い仲間だね。」
「そろそろ君に借金に。」
「貸して欲しいと強請ってる。」
「みんなの所へお行きなさい。」
噂。
「私が人形そのものに。」
「人を狂わせ遊んでます。」
「とどのつまりは馬鹿共の。」
「悪徳高利貸しでいたしんす。」
謎の気配が消える。
静かな夜間。
不気味な歌がささやいて。
去っていくのは人の世の。
池に映るは満月を。
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