第5話

ベイブリッジが爆破されて犯行声明が出ました。


犯人はゼノ。


ゼノは異端者を包括した名前です。


わたしの周囲でも。


魔法使いに対する不信感が少しあります。


でも。


魔法の持つ可能性にみんな魅かれていますので。


賛否両論ですね。


クレスケンスルーナ。

「ああやられた。」


リーリエ。

「大胆です。」

「民兵を使ったんですねえ。」


葵ちゃん。

「でもなんで?」

「そこまで勝算はあるの?」


クレスケンスルーナ。

「斎藤道三って知っている?」


リーリエ。

「自分の娘である帰蝶を嫁がせた。」

「しかし夫は1年経過したのち自害。」

「もうひとりに嫁がせたら。」

「毒殺に遭いました。」


葵ちゃん。

「えー?」


クレスケンスルーナ。

「残った主君を倒して。」

「美濃の国を手に入れた。」

「現代に蘇った姦計の力。」

「そのあと息子に討たれる皮肉があったけれど。」


葵ちゃん。

「よく知っていますね。」

「というかそこまでの事が現に出来るんですね。」


リーリエ。

「日本史は好きなんです。」

「戦いの中で培われた人の美です。」


葵ちゃん。

「織田信長公は鍛錬を欠かさなかった。」

「私はそれに習いました。」

「史実にあるよ。」

「だから今川義元を討ち取ることもできた。」

「今川義元でさえ。」

「最強クラスの大名で。」

「由緒ある名だたる名将で。」

「並の相手ではない。」

「しかし信長公の勝利に終わった。」

「実力が違ったのでしょうか。」

「戦は結果がすべて。」

「勝利は結果論。」

「戦いを知らずして戦はできない。」


リーリエ。

「いやあ普通の女の子ではないですよ。」


クレスケンスルーナ。

「心構えが違うよね。」

「私と似てる。」


葵ちゃん。

「ああそんな。」

「あつかましくなりそう。」


部屋にて。


増長。

「さあお前は偉いのだ。」

「もちろん証明はされてない。」

「それでも己を信じ。」

「優れた賢い者だと信じていけ。」

「つまづいて倒れて。」

「その時には手遅れだ。」

「しかし私は言うぞ。」

「自分を妄信しつけあがってこそのお前だ。」

「勝てない相手と戦い殺されよ。」


葵ちゃん。

「そんなことない。」

「高慢は愚かさの形です。」

「そんなに私が愚かであれば。」

「あなたが打ってください。」


休日になりました。


お姫様はいろいろ出かけて。


何かしていましたが。


今日は一緒です。


お姫様と一緒に。


みかん狩り。


三ヶ日みかんは普通のみかんとは違うみたい。


クレスケンスルーナ。

「これが日本の自然というわけね。」

「みかんとはこういうものですか。」


リーリエ。

「わたしたちの国のものとは質が違うみたいです。」


葵ちゃん。

「みかんらしいみかんですよ。」


クレスケンスルーナ。

「気に入った。」

「もうちょっと食べる。」


けっこうたくさん食べたお姫様。


意外に大食い?


帰り際にフラワーパーク。


クレスケンスルーナ。

「花というもの。」

「とても着飾る。」

「いろんな種類があるのね。」


リーリエ。

「目の保養にいいですわあ。」


花々。

「私は儚く咲いては散っていくもの。」

「一時的には美しき。」

「また咲いては散っていきます。」

「この世の儚さを映しておりますが。」

「風流に撫でては。」

「楽しんでください。」

「色とりどりに咲き乱れ。」

「自然はこうだとお伝えします。」


葵ちゃん。

「豪華な趣味だと思いませんか?」


クレスケンスルーナ。

「お金持ちでもこんな豪華な趣味はしません。」

「いいこと言うよね。」


リーリエ。

「そうですねぇ。」

「お城でもここまでやることはないです。」

「そんな豪華な贅沢はやったことないです。」


クレスケンスルーナ。

「お金持ち顔負けです。」


帰宅して休憩。


地域に大きな公園がありまして。


バドミントンで遊びます。


クレスケンスルーナ。

「筋力に任せれば大幅なパワーロスするわよ。」


葵ちゃん。

「助言は素直に受けるよ。」


リーリエ。

「テクニックがすべてのスポーツかな。」


夕方になりつつ。


もう帰ろう。


終わり際に。


羽が噴水に落ちてしまいました。


クレスケンスルーナ。

「おおっとこれは取れない。」


シェルツ。

「雑用なら得意だよ。」


紳士風のポーカーフェイス登場。


リーリエ。

「いやそこまでやらなくても。」


シェルツ。

「レディに対して紳士というもの。」

「濡れても構わないという訳だ。」

「ほら取れた。」

「なんでも女性が優先。」

「レディファーストが男の礼儀。」


クレスケンスルーナ。

「ありがとう。」

「でも。」

「ちょっと待った。」


シェルツ。

「何か用でも?」

「惚れられたかな?」


シェルツ投げられて転倒。


クレスケンスルーナ。

「スリしたよね。」

「このフロッピーディスクを狙うとは。」

「只者じゃない。」


シェルツ。

「おっと話が違ってきたな。」

「逃げるとしよう。」


爆炎を起爆してなんとか逃れるシェルツ。


追跡。


葵ちゃん。

「何事ですか。」


不審者が後ろから。


仲間でしょうか。


不審者に腕を掴まれますが。


掴み手に手刀攻撃。


すぐに顔面の急所に手刀を当てて。


サイドキックで脛を破壊。


不審者。


負傷しながら深追いして手を出すものの。


接近のし過ぎで射程に入り。


チンジャブが決まる。


不審者倒れる。


葵ちゃん。

「この人ろくな戦闘力もなしに仕掛けたのですか。」


シェルツ。

「もう少しだったが。」

「女性はスペックが違うようだ。」

「知恵がある女性は驚異的だ。」


振り切って。


逃走用のバイクに向かうが。


リーリエが脱出手段のバイクを確保していました。


シェルツ。

「2対1かな。」


トランプを持って見えない斬撃。


謎の魔法攻撃。


リーリエはしゃがんで避けた。


リーリエは超スピードでスプリントダッシュ。


いきなりシェルツを組み伏せた。


リーリエ。

「連中の手下?」


シェルツ。

「半分はそうだよ。」

「でも情報と対価に見逃してはくれないか?」


リーリエ。

「何の情報ですか?」


シェルツ。

「神島に巡航ミサイル発射器を設置している。」

「私のお仲間が人質に。」

「スポーツ観戦のお邪魔をするだろう。」

「どこに着弾させるつもりやら。」


リーリエ。

「証拠は?」


シェルツ。

「こんなこともあろうかと。」

「密かにコピーしたこれを読みたまえ。」


クレスケンスルーナ。

「本当みたい。」

「これは返してもらうわ。」

「二度目はないからね。」


シェルツ。

「次は捕虜になるはずだ。」

「いろいろドロップしておこう。」

「さらば。」


バイクで逃走。


クレスケンスルーナ。

「旧式のパソコンでしか閲覧できない。」

「これを知っているとは何者かな。」


葵ちゃん。

「本当のことなの?」


クレスケンスルーナ。

「どうやらそのようね。」


リーリエ。

「司令部に連絡しましょう。」

「これはひとつの手柄よ。」


警察が来て。


さっき倒した不審者を渡しましたよ。


後。


自衛隊に連絡が入りました。


捜査の結果。


事実です。


三河湾にある神島という場所に。


巡航ミサイル部隊がおり。


人質作戦が決行されている目前で。


知らせを受けた華族が相談し。


強行偵察として動員要望がありました。


クレスケンスルーナ。

「私は傭兵だから参加する。」


リーリエ。

「あなたはどうします?」

「まだ充分な錬度は無いみたいですけれど。」


葵ちゃん。

「自分を試してみたい。」

「未熟ながら引き受けます。」


クレスケンスルーナ。

「勇敢だねぇ。」

「でもやられないように。」

「自分の分はしっかりやるのよ。」


葵ちゃん。

「もちろん。」


思い切って引き受けて。


向かいます。


強行偵察。


本気の戦いです。

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