第5話 7歳 10月29日の昼から夜 ゲレーン

「あらお帰り」

 いいかげんにしろ、なにがオーク母だ。母さんだよ。

「ただいま、あの土地をもう一回ちゃんと見てきた」

「遠いでしょう」

「うーん、でも、なんとかなりそうだよ」

「お、帰ってきたか、あそこで水田は作れんだろ、本当にいいのか?」

 オーク父か、まあもういいや。

「まあ、そうだな、だから違うことをするしかないと思う」

「大丈夫か?」

「なんとかするしかないだろ」

 と俺は肩をすくめた。そうだよ、この仕草はこっちでも使ってるよ。アメリカ人って誰だ?

「まあ、お前が覚悟を持ってやるのならそれでいい。新しく畑を作るんだ、こっちでも少しは助けてやる、村長もそう言ってたしな。で、飯食ったら午後は俺を手伝え」

「あいよ」

 そして昼ご飯を食べて、そのあとは実家の農作業を手伝った。帰る前には田んぼの近くの小川で水浴びをして、家で夕ご飯を食べながら親とあっちで家を建てたいとか色々話してから寝た。

 相変わらず「僕」は驚いているのか、いちいちうるさいし、たまに頭痛もする。カレーってなんだよ。あれはゲレーンだよ、普通のご飯だよ。さじを使わなくても手で食えるだろ。それに毎回味も代わるから、お昼ご飯も晩御飯もそれでいいんだよ。あと、大きい月ってのはだいたいあのくらい大きいし、太陽も大きいのと小さいのと二つあるんだから月もそうに決まっているだろう。

「僕」に言いたい、まだ来て一日目かもしれんが、ここでのくらしは悪く無いと俺は思うぞ。

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