第3話
午後の授業はスムーズに終わりあっという間に放課後になり部活がある生徒は部活に、とくに用がない奴はさっさと家に帰っていった。
とりあえず晴は今朝、琴子先輩に言われた通り生徒会室に向かった。
が、生徒会室の様相を見た晴は入り口で固まってしまった。
「こ、これは先生を呼んできた方がいいのだろうか…」
目の前に広がるのは机の上に積み上げられた書類、さらに机だけでは足りなかったのか床にも散らばっていた。資料などが入っていた棚からはファイルが落下、ここを通りすがりの生徒がみたらなにかトラブルが起きたのかと感じるような荒れ具合だ。
「はぁ、大池先輩?どっかに居るんでしょ?」
晴はまたか、という風に生徒会室全体に聞こえる声で話した。
ガタッ
棚の下に積み上がったファイル類の山から反応があった。しかし待ってもそれ以外の返事はない。晴としては仕事をしにきたのでさっさとこの事件現場の原因調査と犯人の取り調べが待っているので素直に出てきて欲しいのだが。
「あー、誰もいないなら今日は帰ろうかなー」
とりあえずファイル下の方に聞こえるように
ガタッ
「それと明日琴子先輩になんて報告しよう、生徒会に行ったら大池先輩はおらず部屋が荒れてましたって言ったらなんて言われるかなぁ」
ガタガタッ
「これが他の先生に知られれば僕はもう生徒会を辞めさせられるだろうな」
「それはダメぇ!!」
ガバッとファイルの山が崩れ、中から大池桃華先輩が半泣き状態で飛び出てきた。しかし勢いをつけすぎたのだろう立ち上がった瞬間にファイルに足を取られ前に倒れ込む
「おっと、」
ポフッ
桃華先輩が落ちる方向は机があって危ないと感じたから急いで受け止めたけど
スーッ
「こら」
この人はなんか俺の胸の中で深呼吸しなかったか?
とりあえずしっかりと桃華先輩を立てて、
「桃華先輩?とりあえず、なにかいうことは?」
「晴の匂いがしました。」
「はい、反省してないので俺は帰ります。」
「ごっごめんなさい。しっかり反省はしています」
とりあえずこのままの生徒会室をほっとくわけにもいかないので片づけながらなぜこのようなことになったのか取り調べを行う。
「と、いうことは、先輩が僕にいいとこ見せようと今日使う資料を集めてながら掃除しようとして窓を開けっぱなしにしてたら強風が吹いてプリントはバラバラ、焦った桃華先輩は急いで直そうとしたらプリントで足を滑らせて棚に激突、冬ファイルに埋まったところに僕が来たと」
「はい、全て晴の言うとうりだわ」
「はい、有罪《ギルティ》」
「なんで!?」
こんなに大きな声をだす先輩を学校内で知ってるのは限られた何人かだろうな
「この前2人で資料作成したときにここの部屋は放課後よく風が吹き込んでくるから掃除するときは教室内を整理してプリントとかが飛ばないようにして窓を開けるようにお願いしましたよね?」
先輩はスッと目線を逸らす
「だって久しぶりに2人で作業だから琴子みたいにお姉さんアピールしたくて。」
桃華先輩はクールビューティーって感じの見た目なのに変なところで琴子先輩や他の人と張り合うんだよなぁ
「せっかくですから今日は資料の整理をしましょうか。最近琴子先輩がどこになにがあるか分からなくてパニックになってるところを見るので」
あの琴子先輩も俺の前ではお姉さんでいたいのかなにか予想外のことが起きたときの反応がすごいんだよな
「・・・。わかった。」
そしてなぜ拗ねる。大池先輩。
そこからはちょっとした世間話をしながら生徒会室を掃除していった。結果見違えるように綺麗になり翌日の生徒会会議で逆になにがあったのか問い詰められるのは余談である。
というかそもそも逆ってなんだ、
鈴木晴は優秀な生徒である。それがこの高校の教職員の中での共通の認識である。生活態度も優秀で授業態度も文句なしの態度である。生徒会に所属しており最高学年の2人に負けず劣らず優秀である。学問もいつも学年トップである。しかし、順位については本人の要望により半分ほどの順位に位置付けている。なんでもあまり目立ちたくなく要望に答えてくれないので有ればこれからの授業、テストでは授業に参加せず、テストに関しても回答すらしないという脅しをかけてきた。もちろんそんなことなど許されず一度は却下されたが本当にそのような行動を取り、学校側は仕方なくこの要望を飲み込んだ。
学校としても別に順位を低く掲示するデメリットもなく、本人がいっているのならバレることもない。さらに授業を行う教員からして晴という存在は授業をする上で良い起点になることがおおく、教師からしても授業に参加しなくなるのは授業を作る上で痛手である。
よって晴のことは優秀な生徒ではあるがよくわからないというところで落ち着いている。
鈴木晴は優秀である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます