第4話 最終防衛ライン
熱い太陽の光が照り付け、今にでも熱で焼けてしまいそうだ。
今小隊がいる地点は黒備え大隊長信玄殿の指令により敵勢力殲滅を目的とした足止めを行うべく指定されたポイントだ。
ここで敵勢力に対し、遅滞戦闘を行い他の企業や天使教団たちが横から敵を一掃するという作戦だ。
正直この小隊だけだと辛くないかと思う事が多々あった。
先ほど違う地点で敵と戦闘を行い、疲労がまだ抜けきらない間に遅滞戦闘など死にに行くような物だと思う。だが大隊長直々の命令だ、と無理やり納得してやるしかない。
「隊長、あとどれくらいで敵は来ますかね?」
「ウィングか、もう直ぐの筈だ。さっき結月から報告があって、もう直ぐ視認出来る距離まで来てるそうだ。かといって直ぐこっちが撃てる訳では無いけどな」
「いつもの半分の距離から戦闘を開始して足止めですか...。死にそうですね」
自虐気味に軽く笑う。
「仕方ねえさ、下はいつも上からの命令には弱いもんさ。それより見えたぞ。さっきの弱点とかの情報が役立つと良いんだがな」
憂さ晴らしついでに集めた情報を纏めた紙を見る。
今回はある程度引き寄せたら地面に埋めてある爆弾で相手の退却路を断つ予定だ。その分相手も死兵となってこちらに来るだろうが、仕方あるまい。作戦を成功させるためだ。
SUが隊員の前に出る。
「お前ら!今回の作戦で死ぬ奴も出てくるだろう!それだけ激しい戦闘になる!相手は必ず死兵となってお前らに襲い掛かる!だがお前らはそれを乗り越えるだけの強さがある!忘れるな!お前を信じろ!おれが信じるお前でもない。お前が信じる俺でもない。お前が信じる、お前を信じろ!!!」
「「「「「おう!!!!!」」」」
全員が覚悟を決め、全力で己を信じこの場に必ず留まるという意思を持った。
「さぁ!作戦行動開始だ!!!!!」
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銃撃、爆発音、叫び、悲鳴がそこら中に鳴り渡る。
ボロス、ブラキ、アックスがMGを敵に向けて乱射する。
「死ねぇ!!」「オラオラオラオラァ!!」「くたばれぇ!!」
ハマー、アイアン、ブッチャーは弾が尽きたのか手持ちの電子刀や、電磁斧で応戦している。
「フンッ!!」「オッラァアア!!」「チェストオオオオ!!!」
敵も退路が無くなり、前進するしかない中必死に隊員達を攻撃する。
サイト達は遠距離から援護を行うが乱戦の為、上手くはいって無い様だ。
少しずつではあるが、隊員が押され始めている。そう思うSUも弾はとうに底を尽き現在は相手の武装を奪って応戦している。
いつ応援が来るのか分からないままずっと応戦しているが、このままだとやられてしまう。
「ぐああああ!!!」
ハリウッドの声だ。
脚部の装甲が剥がれ、敵の弾が貫通したようだ。敵はハリウッドが倒れたのを見逃さず、群がる。
「「ハリウッド!!!」」
ガイル、エルヴィスが救援に行こうと敵を吹き飛ばしながら近寄る。
だが無情にもハリウッドの近くでカーマインが爆破し、ハリウッドの行方が分からなくなった。
近寄ろうとしていたガイルの装甲の隙間に手榴弾が押し込まれ、敵と一緒に爆破した。
隊員が崩れ始め、敵が一人一人に群がっていく。
ここまでか、そう諦めそうになった瞬間声が聞こえた。
「今だ!!!総員敵を殲滅しろ!!!」
黒備えの信玄殿の声だ。
敵が声の方を向き、そっちを脅威と見做したのか隊員から離れ黒備えや他企業の隊員に向かって行った。
「無事か?隊長さんよ」
近づいて声をかけたのは後方にいた筈のカルマだ。
「何故お前がここにいる...」
「何故もクソもあるか、助けに来たんだよ」
「そうか、すまない...」
「おっとまだ立ち上がろうとするな。今は他の奴らに任せておけ。何、隊長さん達が休めるように周りは援護してやる」
「助かる...。結月、ハリウッドとガイルのバイタルはどうだ?」
《二人ともバイタル上では息はあります。ただビーコンが壊れているのか位置が掴めません》
「分かった。じゃあ探さないといけねえな...」
「今は動かない方が良い、少し休め。今医療班が来る」
「あぁ...そうさせてもらう...」
「戦況はもう俺たちに傾いてるな。後は残党のみか」
「よく持ち堪えれたぜ、本当に...。さて、補給部隊は近くにいるか?」
「あぁ、いるが...って隊長さんよ。まだやるのかい?」
「あぁ、やるぜ。お前ら!まだ行けるか!」
「おう隊長!行けるぜ!」「まだまだパーティーは終わってねえからよ!」「それよりガイルとハリウッド見つけようぜ」
「そうだな、スタリオン!エルヴィス!グラップ!ジョニー!周囲を捜索しろ!残りは補給を受け取り、そのまま残党狩りだ!」
「「「「了解!」」」」
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程なくしてハリウッドとガイルが息のある状態で見つかり、敵の移動要塞が破壊されたとの報告が入った。そして今回の作戦が終了した事を通達された。
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