第7話 命がけの作戦
私達がその二機に接近すると、今まで並んで飛行していたトマホークが左右に分かれた。
「我々を探知して回避モードに入ったな。マノン、君は左を! 俺は右を追う」
「了解」
私は機体を左旋回に入れてトマホークの一機を追い掛けた。
「でも一尉、どうやって撃墜を?」
私は武装を持っていない状況での攻撃オプションが想像出来なかった。
「機体を接触させて、トマホークの翼や動翼を壊すんだ。それで墜落させられる」
私は愕然とした。
(あんな逃げ回っている巡航ミサイルに機体を接触させて墜落させる……? 百歩譲って墜落させられたとしても、こんな速度で海に落ちたら核爆発してしまうんじゃないの……?)
でも私達にはこの突然起こった未憎悪の危機に対応する他の攻撃オプションを持っていなかった。
結局、地上での核爆発を防ぐには私達の命を懸けるしかないという事だ……。
「でも前向きに考えれば、私達が訓練空域に上がっていたから、このチャンスを掴めたって言えるよね……。私がパイロットとしてここに居るから、沢山の人々の命を救える……。だからお母さんは……私の命を選んで……くれたのかな……? それが私が選ばれて……生まれた理由だったのかも……」
私は前方を飛んでいる核爆弾を搭載した巡航ミサイルを目で追いながら、そう呟いていた。
「マノン。川上三尉」
無線から
「はい、一尉」
「……ごめん、こんな事をさせる為に君を選んだんじゃなかったんだけど……」
「いえ、私を選んでくれてありがとうございます。大丈夫です、絶対成功させます」
「マノン、愛莉……。もし二人とも生き残れたら……、本当の事を言うよ……。君を
「えっ? それはどう言う……?」
「いいか、マリン! 海面ギリギリの作戦だ。トマホークに接触して、機体の異常を感じたら、直ぐに
その瞬間、HMDSに映る右前方の
私も意を決して熱核爆弾を抱いたトマホークと距離を詰め、上方から機体をトマホークにぶつけた。
物凄い衝撃と同時に、HMDS内に複数の警告表示が現れ、激しい警告音と共に機体制御が失われた。
私はラダーペダルに載せていた両爪先を足元に引くと、両膝の間の赤いレバーを思い切り引いた。
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