第2話 先生と書いて師匠と読ませたい。
昨日の出来事。
召喚された、休んだ、食った、寝た。
以上。
記憶力悪くてすまんな、生憎まとめたりするのは苦手なんだ。
オタクに多くを期待するんじゃありません。
さて、今日はステータスが見れると昨日聞いたわけだが。ぶっちゃけると内心うっきうきのわっくわくだったりする。
だってステータスだよ?
んでもって俺ら勇者よ?
そうなってくると高校生男児はステータスとか期待しちゃうよなぁ!!
当たり前田のなんとやらですよ。
朝食と身支度を終え、再び通された謁見の間。
そこにズラリと並ぶのは魔法が使えそうなご老人やらお兄さんやらお姉さん。この人たちがステータスを測ってくれるのだろう。
物珍しげに辺りを見回す俺達に対して声を掛けてきたのは昨日俺に一瞥してきた魔導師っぽい人だった。
「みなさん、初めまして~。メヒティルト・ヴィトンシュタインって言います。長くて呼びにくいと思うので気軽にお姉さんと呼んでくださいね~!それか、これから魔法学や戦闘、知識についても私が教えますので師匠と呼んでもいいですよ!!師匠とか先生とか師匠とか呼ばれたいかな~!」
いやめっちゃ師匠呼び推すじゃん。
思わず困惑してしまった。そんなに師匠って呼ばれたいんですね。
師匠と呼ぶ気は更々無くなった。
言われるとなんか呼びたくなくなるよね。
なんだろう、よく通る声は雰囲気と同じく穏やか、というか........ゆるふわだった。
茶目っ気のあるウィンクで"師匠呼びしてね"と言われても全く呼ぼうと言う気にはなれないのだがそこら辺如何なものか。
ゆるふわだし折角ならお姉さん呼びしたい。
あわよくばお近づきにならずに弟子ポジに収まって教われることが無くなってしまうまで教わってたい。
というか流してたけどあれだ、名前がすごく欧州のとある国だけど英語とかそういう概念があるんだろうか?
うぅん、分からん。
おっと?
無駄な考え事をしている内に話は進んでいたようで、前を見れば手を上げた者から水晶玉のようなものに手を翳して何かを確認していっている事が分かる。
あれでステータスを測るのだろうか?
便利そうだなぁ、今日の朝食美味しかったなぁ。そんな風にぼんやりしているとあっという間に自分の番、というか残り一人になっていたようだ。
「ここに手を翳して、心の中でステータスって念じてみてくださいね」
俺の担当はお姉さんか。やったぜ。
若干にやけそうになる口許を空いた片手で押さえて表情を真顔に戻し、お姉さんに言われた通り心の中で念じた。
『ステータス』
《 ステータス 》ーーーーーーーーーー
名前 ヤナギ コウシ
性別 男 年齢17
魔力 A+
体力 E
筋力 C
敏捷 C+
幸運 S
精神力 SS
役職
次期魔王候補
スキル
現実逃避 A
採掘 A+
魔力行使 C
称号
世界の勇者
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
おぉん???
「あぁ、やっぱり。君は世界の勇者だったね....私の目に狂いはなかったみたい。」
お姉さんが俺の耳元で囁いた。
うっわなにこれぞくぞくする。
じゃなくて。
待って、待ってね?
突っ込みどころが多すぎて何れにしようか迷ってるから。
えーとえーと、じゃあまず........
................................
....................
........
魔王候補ってどういうことですかねぇ?
「ヤナギ君、気になるところは沢山あるだろうけれど、今は少しだけ堪えてね?後でお姉さんが教えてあげるから」
えっ、あっ、はい。
困惑してたら整った顔が目の前に来ててびびった童貞はここです。自主します。
一先ず(?)俺のステータス確認は終わった。
周りでは自分の役職がどうだとか魔力がどうだとか盛り上がっているが俺は盛り上がるよりかなり盛り下がっている。こんな日本語はないが盛り下がっている。大切なことだから2回言っておく。
それにしても魔王という単語に驚いてそれから突っかかってしまったが、候補ってのはどういうことだ?他にも候補がいたりするんだろうか。
それは後でお姉さんに聞くとしよう。
続いてスキル。
一応詳細は見れたので軽く説明すると、
・現実逃避 A
見詰めたくない現実から目を逸らし、精神的ダメージを削減する。
魔物からの精神攻撃にも有効。
あらゆる状況下において自然に発動する。
これは確実に私生活のやつだ。
クラスでの現実から逃避しすぎたなぁ。
・採掘 A+
採掘技能がupする。
どんな鉱石でも大抵は採掘出来る。
これも一応自覚はある。休みの日なんかにたまに採掘許可の下りている川や山で珍しい鉱石をちまちま探すのが昔っからの趣味だったし、多分きっとおおよそそれだ。
・魔力行使 C
魔力を僅かに感じることができる程度。
低位の魔法は安定して使える。
なぁにこれ。
異世界特典だろうか?
これだけは見に覚えがない。効果とスキル名の横のCというのを見る限りあまり強いわけではなさそうだ。
他の奴らのスキルや職業も聞きたいところだが生憎まともに話せるのは須藤君だけだ。その須藤君は今女子に囲まれてきゃーきゃー言われているので近付いたら睨まれかねない。争い事に突っ込むのはごめんだね。でも、あの黄色い歓声を聞く限りかっこいい役職にでも当たったんだろう。
俺なんか安易に人に見せられっこないのに。
ちょっとだけ羨ましい。
まぁ明日にでもなればみんなの役職なんてチームワーク云々で公開されることで、しょ........?
待て、駄目じゃんそれ。俺公開できないじゃん。
無理無理無理召喚されて二日で処刑とかなにその血みどろファンタジー。俺まだ死にたくないんだけど?
取り敢えず助けてくれと言わんばかりにお姉さんに視線を投げ掛けてみた。するとお姉さんは何となくで察してくれたのか口をぱくぱくと動かす。
えぇと、何々....?
「今日の夕方、図書館においで」....?
図書館の場所知らねぇよって言いたいところだけどこれはお姉さん悪くない。後で兵士の方にでも聞いてみるとしよう。
夕方まではまだまだ時間があるし、昼御飯食べたらまた暫く歩き回ったりせずに個室の方で休憩かな。
図書館....行けるものなら今から行って字とか調べたいんだけども。迷子になると嫌だし後で行こうと思う。
あ、因みに今日のお昼はよく分からん名前の肉の照り焼きとかサラダとかそんなのでした。
美味しかったです。
........俺に食レポは期待しないでね。
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