~頼~【下】
「あ、えと、ひとまず、
秋は
「父さんと?」
「もしかしたら、
「あ、はい。父の
「そうか。実は、あの
「え——えぇ?」
「短刀に、
秋の
「『
「
霊剥ぎの魅力に取り憑かれた人間——この言葉に秋は、少し
「もし…、仮に澪が、
かくも
「
「龍?」
「
「あ、はい…、
「
要が
「あ、はい…、それで今、
「それで君の刀が大人しかったんだね。それにしても、
「
秋の眉間に、自然とシワがよる。
「
「あ、はい…」
「そうか、それなら話は早いね……その昔、戦国時代。
秋は視線を落とし、その事象について考える。
「それって…〝食べたい〟って言う欲だけが、なんらかの原因で残ってしまった…?」
「残った、と言うより〝
要は、
「
「…どうして?」
「
「…いどみず?」
「
そんなのがもし今、人が
「そもそも、
「
「
「それを飲めば、ゾンビ化しない?」
「うん、その通り。しかし
浴びればゾンビ化する雨。
それに
しかし、一度、悪魔から戻った人間には〈浄水〉が効かない。
「一度でも悪魔になった人間には、ワクチンが効かない?」
「そうだ。
「優香だ…」
要は写真を
秋は、
「この人を、澪と一緒に東京で探してほしい」
「…はい」
「そして、伝えてくれないか? あ…、すまない。
「…俺にできることなら、やります」
「ありがとう。心強いよ、本当に。それと優香は知っているはずだ」
「…なにを?」
「
*
その頃。
「ふ…く……?」
「はい、服。秋、元気かなって気になって、かすみさんに電話したんです。そしたら『須賀さんと服、買いに行ったのよ』って、言ってましたけど?」
(
首が
「どこで買ったんですか?」
「お…〝やまむら〟で、買った」
「あれ? 秋いつも〝コニクロ〟でしか服、買わないのに…」
須賀はまるで
なんとかして話題を変えようと試みる。
「あ、おお、そういや、この駄ぁ菓子屋も長いよなぁ! 澪さんの、おばぁちゃんがやってたんだよな?」
「あ、えぇ、まぁ。おばぁちゃんにとっては
「いいよなぁ。こうゆう昔ながらってのは、無くさずに守らねぇと、だよな…」
(よし! 話題、
「もしかして今日、東子さんの家、行ったんですか?」
(あああぁあぁぁ……)
「
「…すまねぇ、
須賀の心は折れた。案の定、澪は
「やっぱり、おかしいと思った」
「申し訳ねぇ…。
「いいんです。気を
「それで秋が、『
「どうして、急に?」
「そこまでは俺も分からねぇんだ」
「そう…、ですか」
レジの机に
「あの、服のシミは?」
「ずっと長い間、
「じゃぁ…、秋は、くっついたんですね。感情はともかくとして、
「おれも直接見た
「…何を、です?」
須賀は、先ほどの間の抜けた顔とは打って変わり、キリッとした表情で澪を見た。
「あいつの通った道には、金や物、
須賀の言葉を聞いた
「私の花は、いつか咲くのかな…」
「大丈夫。大丈夫だ」
「なぜ、そう言えます?」
「自分が一番、自分らしくいれる人と過ごすのが一番幸せで、一番うまくいくはずだ。どうだ? 澪さんといるときの秋、どこか
澪は、自分といる時の秋を思い浮かべる。
——少し、
「むしろ、もう少し
「本人は気づいてねぇだけだ。澪さんの気持ちにも、自分の気持ちにも」
「そう…、だといいですけど……」
ふーっ…と、澪はため息をついた。
すると、店の入り口から子供が一人、大声と共に入ってきた。
「澪ねえ!
「あ…! クソガキ!」
「––––あ…」
レジに並んで座る、
「もうっ! なんなのよっ! もう!」澪は怒りながら座る。「…先約?」
「いいんです!」
「お…は、はい」
澪の圧に押される、ベテラン
「………」
「おい、聞いてるか?」
「聞いてます」
「あのさ、俺と一緒に何日か東京に行ってほしい」
澪はとっさに振り向く。
「と、ととつぱ、と、東京!?」
「ちゃんと
「なな、なぜに?」
「東京にE•A•E•Cっていう、
「ある、人?」
(いいかい、秋くん。澪には、澪の母を探しに行くことは、ギリギリまで隠してくれないか…。澪は、もしかしたら、自分を置いて家から出た
「あぁ…、悪魔祓い? の人を探さなきゃいけない」
「そ、そうなの? 何日くらい?」
「んー…、おっさん、東京の新宿にキリストの教会って
急に話をふられた須賀は「お、ちょっと待ってろ」と言ってから、スマホで検索を始めた。
「何軒か、って聞かれたら〝何軒もある〟って言うのが
「そんなにあるの?」
「ま、まさか、一軒一軒、
「…そう、なるかも」
もじもじとする秋に、澪は
「す、
「俺ぁ、ダメだ。3日も穴を空けるわけにはいかねぇ」
(となると、私しかいない…よね、秋と東京デート!?)
澪は急に、ものすごく嬉しくなった。
「じゃ、じゃじゃじ、す、仕方ない、私がお供するしか、ないね」
「ちゃんと
「わぁ…、東京か。なに着ていこう。あれ?」澪は急に
秋は〝澪の母探し〟がバレないように、
「おし! そんじゃ、
「え! 私もいいんですか!」
「あったりめよ!
すると暖簾の奥から「
「お父さん、いいの?」
「あぁ。冷蔵庫のカレーをやっつけないとだから」
「そっか…」
要は、須賀に目をやった。
「須賀さん、澪がいつもお世話になってます。すいません、ご飯代は持たせますので…、お願いしてもいいですか?」
「あぁ、いえ、そんな、俺に
要は澪を見た。
「澪、ちゃんとお代は払いなさい、いいね?」
「うん! もちろん!」
「澪…」要はやたら、
「行っておいで」
澪の顔に
澪はその言葉から、二つの意味を感じ取った。
皆とご飯を食べておいで。
それと。
秋くんと東京に行っておいで。
「うん。行ってきます!」
二つの意味をしっかりと胸に受け取ってから澪は、要の目を
刀闘記
~頼~【下】
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