~封~
「
足元の
「そうじゃ。
「頭を下げてまで…? なんで?」
「
「二人で行動しなきゃならないほど、悪魔が強かった?」
「それはない」
「なら、なぜ?」
「
「保険…」
「ま、なんじゃ、見た方が早いよ」
「…なにを?」
「
銀次はあくまで自然の
「かすみ、蔵の鍵を秋に」
「はい…、秋、蔵の場所はわかる?」
「
「本堂で待ってて。鍵、持っていくから」
「わかった」
かすみは鍵を取りに。秋は本堂へ。
銀次は、秋の身体をよじ登って
「蔵に
銀次に言われながら、秋は本堂に行く。かすみが
「
秋は、
「火、
「あーそりゃーもうユラユラとな」
「母さん、熱くて大変だったよね」
「なぁに。お前のことを
「ねぇ、じいちゃん」
「ん?」
「緑色の光で、体を
「それも
「魂移しができる人種…?」
「
「うん。
「そん時に、刀を持たずに〝
「それって、
「ちと——いや、全く違う。陰陽師も刀を
「つまり、守りの
「
「じゃとしたら、
「純血?」
「今は…、ほとんど、おらんはずじゃがの…」
黄泉巫女が女しかなれないのなら、おそらく要ではなく
「
「当時の悪魔は、いわゆるゾンビじゃよ」
「ゾンビ?」
「アー…、といながらフラフラと歩くアレじゃ」
「まじ?」
「まじじゃ。数は多かったが弱かった。
「時代……」
「
二人が話していると、間もなくかすみが本堂にきた。
「秋、
秋は
かすみの方へ歩いて、
「ありがと」
「蔵、汚いと思うから。
「うん」
秋は、本堂の裏口を出て、寺院の裏手へ。
「ここ……、か」
蔵は2メートルほどの高さで、
「
入り口の
「わしがこの体になった時、
「九年……」
秋はおそるおそる木の
扉はスライド式。
「意外とあっさり、戸、動いたね……」
「
「––––ん! えっほっ! えっほ!」
蔵の中から舞って出てきた
「大丈夫か? さすがに、ほこりっ…ぽいの…えーきしっ!!」
ハムスターもくしゃみした。
「うわ、
扉から差し込んだ光は、蔵の中を
「この本は……、なに?」
秋は棚の本を
「なに書いてあるの? これ」
「そっちのは
「母さんもこれ読んだの?」
「いや、今はもっと読みやすいのが寺院にあるから、これは読まんよ」
秋は、蔵の
「おし、良いよ、さっさと出よう」
秋は逃げるようにして蔵から出た。
新鮮な空気を味わいながら、秋は、木箱を
「これ……、開けられるの?」
「刀の
銀次の言うとおりに、秋は刀の
「まじかよ……」
「まじじゃよ」
釘は全て、あっさりと木箱から顔を出した。
「開けてみ?」
「うん……」
秋は、
「なに、これ?」
箱の中身が
「まず、
秋は、言われるままに短刀を持ち上げる。
「軽い……」
「抜いてみ?」
「うん……」
秋は短刀を抜いた。
「
短刀の刀身は、緑色の
「
目を見開いて
「
短刀の
「なに? この、針…」
「いま
「うん…」
短刀が
「なんなの……、これ」
「
普通の
「かけてみ?」
銀次に
「なににも、変わんないよ?」
キョロキョロと景色を
「これこれ、景色はなんも変わりゃせん。わしを見ろ」
秋は、銀次に
「え……、えぇ!?」
「なに……、これ」
「
「れいこん、しきょう?」
「それでもって、体内の
「これで霊の場所を探して、
「
「
「体から、
「それなら、
「それが、簡単じゃあ、ない。さっきも言ったがの、悪魔になりたてホヤホヤでも無いと、それができんのじゃよ。じゃから、霊剥ぎは難しいんじゃ。不幸しか生まんのじゃよ」
「なんで、悪魔になりたての、ホヤホヤじゃ無いといけない?」
「パンじゃよ」
「パン?」
「人の
「うん…」
「
秋は少し考えたが、すぐに
「魂が
「そうじゃ。
「すこしでも
「
「
取り
「しかもじゃ、そやつが
秋は、
「それで、あの
「そうじゃ」
「
「しかし
「ん? 父さんが
「お? わしは『
秋は、頭の中でいろんな話が
一つ一つ、
「あ……、そうか。
銀次は、うんうんと
「ガンコ者の直之が、いっぺん失敗したくらいで
「何度も?」
「あぁ何度も。じゃが成功した、とは言えんかもの。一度だけ悪魔を
「成功したのにやめた?」
「成功したのにやめたよ」
銀次は、トコトコと可愛らしく歩き、
「これを読んでみ。全部、書いてあるよ」
秋は、短刀と
秋は、ページをめくった。
——ここに
「父さんの…字」
秋は、久々に父を
《5月13日》
《5月21日》
《6月2日》
悪魔を斬った。女の悪魔。病気の夫に
《6月13日》
じじぃと
《6月15日》
《6月20日》
男の悪魔。須賀の調査だと、
しかし、
闘う場が、そいつの
「え…」
ページをめくる手も、文字を追う
そのたった一文のために、ピタリと止まった。
《9月8日》
三代が、片腕を失った。俺のせいだ。霊剥ぎを封印する。
刀闘記
~封~
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