霊剥ぎは人道的かつ禁忌の行為
~剥~
なんなんだお前…、と訴えかけるような目で、自分の太ももを
「太ももだったら真っ赤だよ」
「その太ももが
「澪が、寝不足でイライラしてたから?」
「確かに、澪さんはイライラしてたな。だが寝不足のせいじゃぁ、ない」須賀は鼻でゆっくり深呼吸をした。秋は
「それもあるかもしれぇが、そうじゃねぇだろ…」須賀の口がひん曲がる。「母さん、
「お前、テレビとか見て『この芸能人かわいいな!』とか、思ったことないのか?」
「テレビ観ない」
「それじゃ、マンガのキャラクターとかならあるだろ?」
「読まない」
「アニメは?」
「観ない」
「映画…!」
「観ない」
「小説…!」
「読まない」
「お前、何から
「
じじぃかよぉ! と言いたくなったが
秋は少し
「人生に
「
「
スマホなどを持たない
「…バカってことないだろう。お前だっていい男だぞ?」
「どこが…」
「強くて、
「
須賀の
「なぁ、
「それはな——自分が想う自分への評価、
「そんなの、自分がどう思おうが
「何かを得るためには誰かに『ありがとう』って言ってもらえることをしなきゃならねぇ。だが、どんなに
それが、お前にとっては澪さんなんじゃねぇか…? 最後にそう言おうとしたが、この言葉を伝えるタイミンングを見誤ってはいけないと須賀は瞬時に思った。言葉を呑み、運転席の車窓から
「秋、お前は人の
秋は少し図星をつかれた気がした。例えば——好きな食べ物を人に
秋は、その前置きの〝
「誰だってこえぇさ。嫌われんじゃねぇかって。毎日毎日ビクビクしてらぁ。だがな、
秋はいつになく須賀の話を
「お前が自分を根こそぎ嫌っちまえば、お前を丸ごと好きになってくれた人は、一体どうやってお前に
しばらく
「ただ悪魔を斬るだけに生きるのは嫌だ。嫌だって思う。だから悪魔を人に戻せるようになりたい。本当にそれを父さんが、一度でもできたって言うなら、俺にだってできるはずだ…」秋のセリフを聞いた須賀は、少し
「まぁ、とりあえず、澪さんに〝
「なにそれ?」
「次、
「
「まぁ、なんだ。
「おっさんもちゃんと
「おう、
「四十肩は血、出ないよ」
「はははっ、そうだな」
秋が車から降りると、
*
「あっつ…」
「––––秋!」
秋の左耳に女性の声が飛び込む。
かすみが
秋は寝ながら頭だけを動かして、かすみの方を見た。
「あ…、ただいま」既に半分寝ぼけている秋を、かすみは迷わず
「なーんじゃ、ボロボロになりおって。
秋の
「
「
「あぁ、そんな呼び方するんだ、アレ…」
「
秋の顔が
「うん」
「どれじゃ?」
「
「ヘビか、
「
「そりゃそうじゃよ。〝
「時が止まる…? だからあんなにピクリとも動けなかったのか」
「そんでお前さんは、そのヘビを切れたか?」
「ヘビが全身に
「うん、そうする」
「それじゃあ、ご飯、作っておくから」
「いいよ。母さんも寝てないでしょ」
「寝てないのは秋も同じ。私もお
「ありがとう」
「なんじゃ?」
「一度、
「できるよ」
「え、どうやって!」
「だが、やってはならん」ハッキリと言う
「なんで! できるなら、それが一番いいだろ…!」
「
「
「れいはぎ?」
「
「あるなら…! なんで誰もやらない…?」
「
「
「
秋の
「それでも、父さんはどうして?」
「若かったんじゃよ。今のお前と同じじゃ」
「どうせ斬るしかないなら、人に戻せる
「そうじゃ。じゃが、悪魔が
「
「無理矢理体から
「直之は結局、その男を
銀次は遠い目をした。しかし、ほんの多少の
「わしを見ろ」銀次が
「さっきから見てるよ?」
「なんじゃ気づかんか?」
「なにに?」
「
「なにが?」
「この、姿」
「ハムスター? あぁ、そう言えば…」
「わしがこの姿になったんは、お前が8
「そう、だっけ?」
「そうじゃよ」
「それが…、ん?」
「気づいたか」
「じいちゃんが急にハムスターを
「どうせ、
「それで…、霊剥ぎと同じ方法を試したからハムスターにじいちゃんの魂が
「
そう言ってラジオ
「誰に?」
「
「え? だから
「
刀闘記
~剥~
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