4 成瀬秀明の場合②
僕の人生における第一優先は家族だ。美しい妻とかわいい娘、そして愛犬一匹。犬だって大事な家族だから決して「ペット」とは呼ばない。ラブラドール・レトリバーだから「ラブ」と名付けたのは愛娘の
「美桜、今日はラブから頬を舐められて、渋い顔してたね。笑っちゃったよ僕~ 」美桜が寝てからが僕ら夫婦の時間だ。最近読んだネットコラムに、会話をすることは永く夫婦生活を保つために必要不可欠だと書いてあった。いいものはすぐに取り入れる。それが僕の流儀だ。
「そうね……」
「休日は家族と過ごすのが一番だよね~ 」
「うん……」
「どうしたの? 何かあった? 」
「……あのね、離婚しよっか」
ちょっと待ってくれ。今なんて言った? 聞き間違えに違いない。離婚? 僕はこんな完璧な夫なのに?
「美桜は私が養育するから、養育費は秀ちゃんお願いね。それと……、」
「っだからちょっと待ってってば! 何でいきなりそうなるんだよ! 僕がいつ君に嫌われるようなことした? 不倫だってしてないぞ! 」
「落ち着いて。美桜が起きるわ」
「り、理由を教えてくれよ」
「今は話したくない」
無茶苦茶だ。とても大事なことなのに話したくないって何だよ。そんなことが許されるのか。なんで僕がこんな目に。完璧な夫で、完璧な父親で、完璧なリーダーなのに……。
徒然なるままに 岡田 荀 @okada_suzu
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