#07 街と光線銃
旅の道連れ、光線銃
盗賊どもを倒したあと、ヤマシロは頭の腰の巾着から、小包を取り出すと、自分の懐にしまいこんだ。
それを取り戻すことが今回の仕事だったようだ。
「おまえさん、次はどこへ行くんじゃ」
カモイが尋ねた。
「コマイだ。依頼者のところへ戻る」
「なら、わしたちと同じじゃな。どうじゃ一緒に行かんか?」
カモイはヤマシロのことが気に入ったようだ。刺客として襲ってきたことはもう忘れようということだろうか。
ビョウブとしては、カモイがそれで納得しているならそれでいい気がした。
無論、あの時はビョウブも標的になっていたのだが、あくまで仕事だったのだろう。ヤマシロの仕事に感情の入る余地はなさそうだ。
ビョウブとヤマシロは、旅一座のところまで戻った。
一座は、一人で出たはずのビョウブが二人になって帰ってきたことに驚いていた。
が、それ以上に、血まみれになったビョウブたちを見て、タマテが短く叫んで卒倒した。
「そない、びっくりせんでものう」
とはカモイの言であった。
結局、ヤマシロは追加の傭兵ということで、一座の旅に同行する形となった。
ヤマシロ自身は
「仕事の帰り道だ」
とかなんとか言って、ほとんど報酬を請求しなかったらしい。
カモイ曰く
「仕事にプライドを持っとる者は、ついでに金を取ったりせんもんじゃよ」
と分かったようなことを話していた。
次のコマイの街までの数日間はビョウブにとって実に楽しいものとなった。
自分以外にも戦える人間がいるというのはとても自分を楽にしてくれた。
(思ったよりもプレッシャーを感じていたんだな)
ビョウブはヤマシロと馬を並べて、キャラバンの先達を務めるるようになった。
ヤマシロという男は口数は少ないものの、決して愛想が悪いわけでも、ぶっきらぼうなわけでもなかった。意思の伝達が、他の人間に比べてごくシンプルだ、というだけであった。
カモイはことあるごとにヤマシロに話しかけると、出身はどこだとか、どこで剣の修行をしたのだとか、様々なことを聞いていたが、その中で一番驚いたことは、ビョウブと年齢が同じだったことだ。
「なんじゃなんじゃ。うちの孫はしっかりしとると思うておったが、上には上がおるのう」
「ほんと、びっくり。ヤマシロが私より若いだなんて・・」
タマテは頭を抱えている。
当のヤマシロは全く意に介していないようで、
「人間の成長は個人差が大きい」
と、わかったようなわからないようなことを言っていた。
またヤマシロは戦闘の時に見せたように、投擲術にも優れていた。
旅の途中、小さな石つぶてだけで、ウサギをしとめたりしていた。ヤマシロ曰く、これも剣士としての基礎教養らしい。
「これが基礎教養だって。ビョウブはちゃんと基礎教養あるのかしらねえ」
「わしの教育不行き届きじゃったかのう」
なぜかカモイがタマテに同調している。
ビョウブは言葉を返すとドツボにはまる予感がしたのでやめておいた。
こうしてにぎやかに過ごすうちに、一行は目的地のコマイの街に到着した。
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