第17話 遠くなる背中
モンスターは高濃度の魔素溜まりから発生する生命を持った自然現象だ。
魔素自体が形作ることもあれば、元々存在した動物が
魔素のみで形成されたモンスターは
魔道具の強さはモンスターの強さに比例しており、強力な魔道具の多くは国宝として保管されているらしい。
しかし、そのモンスターが何世代目なのかは見ただけでは一切分からないため、
そして、どういうカラクリかは判明していないが、第二世代以降の
森などの自然に生息しているモンスターのほとんどは
稀に自然で出会ったとしても
見分けがつかないかもしれないが、ダンジョンから産まれた
ダンジョンが産み出していない
しかし、
「——その魔素が濃い地帯の一つに魔の森があるわ。魔の森が危険な理由の一つには
「ん。でも、
「まっ! いちいち
魔の森はその魔素の濃さから木々の色すら暗い色に変色しているため、間違えて入り込むということもない。
だから、何らかの不測の事態が起こらない限りはダンジョン以外で
そこまで知ってリードは念のためもう一度確認をする。
「……
「そうよ?」
「……
「ん。特S級は余裕。特級冒険者でも負けるかも」
一応、もしかして念のため僅かな希望を持って勘違いかもしれないと思い最後に一つだけ確認をする。
「……トロールの討伐難易度ってA級だったりしませんよね?」
「トロールって言ったらバカみたいな火力と再生力を持つモンスターで、鈍足でなければS級だと言われているくらい凶悪な討伐難易度A級の中でも上位のモンスターっすよ? それがどうかしたっすか?」
「……いえ、ちょっと気になっただけです」
口ではそう言ったものの、それを聞いたリードは乾いた笑みを浮かべることしかできなかった。
無言で、しかし心の中で叫んでいた。「ウェルトさん強すぎない!?」と。
思い出すはリードが最期に見た
それはトロールから己を守ってくれる
トロールは、あの時彼女に苦戦の色を感じさせることなく討伐され、討伐されたであろう場所には
つまりトロールは灰色のローブへと変化した。
比喩表現や加工後の話をしているのではなく、ドロップアイテムとして灰色のローブを手に入れたのだ。
それはつまり、あのトロールが
(ウェルトさんってどれだけ強かったの!?)
今まではただ漠然とモンスターを倒す姿を見ていただけだったが、モンスターについての知識を手に入れる度に彼女の凄さが、嫌でも強さが分かってしまう。
それと同時に、彼女と自分の間にある差も。
もちろん、死体が残っているモンスターが大半だったのだが、記憶の中には死体が消滅してドロップアイテムが現れたモンスターの姿も残っていた。
『あのトロールからの攻撃を食らってマスターが生きていたのは奇跡でした。……とはいえ、生きていられると判断されたからこそウェルト様は助けなかったのでしょう』
そうだ。奇跡が起きることを知っているのが彼女だ。
だから彼女——
「——リードくん、考え事をしてるとこ悪いんだけど、そろそろモンスターと接敵するわよ」
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