完全平等社会の中で

プロローグ 全ての始まり

　ある有名な科学者は言った。

「人間の才能とセンスとは、非常に素晴らしいものである。人間の成長を助け、人間を化けされる事ができる。しかしながら同時に、才能とセンスは人間の成長限界までをも定めてしまう。そして、才能とセンスは遺伝子によって異なるため、人間は常に不平等にさらされてしまう。だから私は、完全努力国家、すなわち、完全平等社会をこの手で作り出す」と。

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　目覚めの悪い朝だった。今日から1人での生活が始まる。家から徒歩5分の場所に、俺が今日から通うイクアール学園がある。俺はこの学園の1期生だ。1期生といっても、2期生が入ってくる予定はない。つまり、この学園に入るのは俺と同じ年に産まれた人間だけ。しかも、この隔離世界に産まれた人間だけだ。俺の他にどんな人間がいるのか観察をしながら、学園内に入った。

　これは15年前の話。この隔離世界には200組の夫婦しかいない。つまり、200人の子供ができる。科学者は、科学技術を行使し、200人の子供が生まれる瞬間を同じにした。つまり、俺を含む200人はみな同じ誕生日なのだ。その後、1人1人の生存確認を済ませ、1時間後、一斉にマイクロチップが入れられる。このマイクロチップの内容とは、「今から15年間の年月、努力を怠るな。そして15年後その努力を発揮し、この世界の頂点に立て」という生後1時間の赤ちゃんに入れるようなマイクロチップではなかった。しかし、これを脳に直接入れることで、脳内にナレーションのような音がなるようになっていた。赤ちゃんでも分かるような高度な技術だった。マイクロチップを脳内に入れ終わると遺伝子の分解が行われる。この作業によって、一気に赤ちゃんの顔、身長、体重が変化していき、みな統一されるのだった。また、性別は今後自分で決定できるのだった。妹、弟、姉、兄が欲しいと思えば、科学者が最新のAI機能を持った兄弟を作ってくれる。両親も、子供の言うことに逆らってはいけなくなり、子供の言いなりにならなければならないというルールが課せられる。これで、スタートラインがみな同じになったのだった。

　俺はその日眠れなかった。生後1日も経っていないのに一睡もできなかった。マイクロチップのおかげで、生後1日とはとても思えない程の感情の整理ができている。俺はマイクロチップを入れられてからずっと気になっていた。努力とは具体的に何をすればいいのか。とりあえず俺は、まだ赤ちゃんの状態であるため、『ハイハイ』の練習を始めた。1分後。

【『ハイハイ』の能力1が取得されました。『ハイハイ』は能力5になると、『歩行』の能力にアップされます。現在あなたは生後20時間なので、1時間『ハイハイ』の練習をすると、能力5になり、『歩行』の能力にアップ可能です。】

脳内でそんなアナウンスがなった。俺はこの世界の基本について理解した。なんでもいいから手当り次第努力をしていくことが、この世界の頂点に立てるようになる秘訣だと。

　俺は生まれてから3日間一睡もせず、いろんなことを努力した。そして、特殊な能力を手に入れた。

生後3日の赤ちゃんが一睡もしないという事で、『睡眠不要』を手に入れた。この能力があれば24時間努力をすることが可能になる。俺はとても嬉しく思った。また、3日間一睡もしないことで、脳に過度なダメージを与えていたらしく、『リミッター解除』の能力を手に入れた。普段脳は約10%しか活動していない。この能力で、脳を強制的に15%まで活動させるようにできる。この能力は生後1ヶ月以内にしか得られない能力らしい。それ以降で、3日間一睡もしない場合は、ただの疲労となるらしい。俺は母乳もそうだが、はやくも離乳食も食べていたため、『疲労回復』の能力5を手に入れた。俺はこれらから、この世界の厳しさを知った。努力する時期、年齢によって、取得できる能力のレベルや能力の種類か異なることを。それもそのはずだ。人間は乳児期〜老年期まであり、その時期によって、何がより発達するのかが異なるからだ。そう、この世界で頂点に立つには計画性もいる。俺は『睡眠不要』

を行使し、ひたむきに努力を重ねていった。

能力『ハイハイ』→『歩行』能力6

『言葉』能力8　　　　　『睡眠不要』

『リミッター解除』　　 『疲労回復』能力5

『状況判断』能力1　　　『好奇心』能力8

【『好奇心』は能力10に達すると、『冷静さ』に能力を切り替えることが可能になります。注意、『好奇心』と『冷静さ』は対義であり、5歳になるまで、『好奇心』と『冷静さ』どちらの能力も兼ね備えた『心と思考の区別』は取得出来ません。】