第14話 大会の行方

 準決勝戦を勝利した俺は、待機場に戻る。


 待機場には、二人の男がいた。


「あれ……三人?」


 俺は準決勝戦を勝利した。つまり、次は決勝戦だ。となると残り待機場に残るのは一人のはず……。


「次で決勝戦だな!」


 ポンドが俺に近寄ってくる。


「何で三人なんだ?」

「え! 聞いてなかったのか? 決勝戦は1対1対1の三人勝負だぞ!」

「まじかよ……」


 そんなこと初耳だ。大会の詳細にも書いてなかった。


「そう! もう一人のやつは弓使いだってよ」

「まじか。初めてだ」

「俺もなんだよー。でも、容赦はしないからな?」

「ああ。当然だ!」


 知り合いだからと言って仲間になるつもりはない。敵だ。

 対戦相手が弓となると遠距離攻撃をしてくることが予想できる。そうなると、近距離の俺とポンドが戦っているところに遠くから弓を放ってくるということになるのか。

 かなり厳しい戦いが予想される。


「サクトさん、ポンドさん、ホーリーさん。会場へどうぞ」


 アナウンスが掛かる。


 俺たち三人は扉を開ける。

 歓声の中、それぞれの定位置に着く。


 スクリーンには、サクトvsポンドvsホーリーの文字。ホーリーのランクは50023位。大会の中で一番高い順位だと思われる。

 弓となると、ピノの試合を見たことがあるが、流石にピノよりは弱いだろう。


 ゴングの音が鳴り響く。


 最初に動き出したのはホーリー。挨拶代わりに弓を俺とポンドに飛ばしてくる。思ったより早い弓の速度に驚いたが、ギリギリのところで避ける。ポンドも避けきれたようだ。


「【ハイハイパー】」


 俺は体を光らせる。スキルを使った途端。ホーリーは俺目掛けて猛攻撃を仕掛けてくる。雨のように降り注ぐ弓矢を、上手いぐわいによけながら、ホーリー目掛けて突っ走る。


「【ガードブロック】!」


 俺は横から来たポンドを【ガードブロック】で押し返し、ホーリーのそばまで行く。ホーリーまで残り3メートルほどを切ったところで、ポンドが動き出す。


「【ロードスケール】!」


 ポンドは、自分の持っている大剣を空振りさせたと思うと、その延長線上に斬撃が飛んでくる。

 俺はその斬撃を避けるが、弓も同時に飛んでくる。俺は一旦ホーリーから身を引いた。

 俺は初めて見る剣の遠距離攻撃に関心していた。これであの技のコピーもできる。


「【ロードスケール】」


 俺はポンドにドヤ顔で【ロードスケール】を放った。ポンドは物凄く動揺しているのが見られたが、しっかり避ける。素早さは低いが、攻撃力が高いのは見ればわかる。


「なんだよそれ! 俺の技がぁ……」


 やはりオリジナル技だったらしい。さぞ悔しいことだろう。俺意外の二人は完全に俺狙いだ。何とかするしかない。


「【デス・バデット】」


 俺は一瞬にしてホーリーの近くまで行くが、【デス・デバット】だけじゃ相手まで届かない。


「【スピアキャロッシュ】!」


 俺は【デス・バデット】と【スピアキャロッシュ】を使って二回瞬間移動をし、ホーリーまで剣が届く。


「うぉっ!」


 流石のホーリーも避けられなかったのか、胸にしっかり剣を貫いた。だがやはり【スピアキャロッシュ】じゃ攻撃力が足りない。やはり50000位近いこともあって、耐久力も俺たちが戦っていたような人とは比べ物にならない。

 後ろから足音が聞こえてくる。ポンドだ。


「【ロードスケール】」


 俺は取り合えずポンドにけん制し、ホーリーに追い打ちをかける。


「【ハーリー・ブラット】!」


 俺は剣を捨てつつ、俺が出せる一番の威力がある攻撃をホーリーにぶち込む。


「【アーティファクトコネクト】」

「……止めただと……」


 これはホーリーのオリジナル技だろう。ハーリーアーサ―の技である【ハーリー・ブラット】をピタリと止めるなんて、少しホーリーを見くびっていたようだ。


「うぉっ!」


【ハーリー・ブラット】を止めたあと、弓本体で殴り掛かってきた。【ハーリー・ブラット】後の隙をついた明確の攻撃に、思わずもろに食らう。

 素手になってしまった俺は、なすすべもない。それらを見て察したのか、ポンドは攻撃のベクトルを俺からホーリーへ変えたようだ。


「【ロードスケール】!」「【ロードスケール】!」


 ポンドとホーリーは【ロードスケール】と弓で攻防している。素早い弓に対して【ロードスケール】の攻撃力は激的に高い。速度は遅いが、もろに食らったら一発でKOとなっても過言ではない。耐久戦となれば、ホーリーが勝つのは言うまでもない。

 俺は、とりあえず捨てた剣を取りにいかなければ戦えない。しかも剣を落とした場所は攻防しているど真ん中だ。【ハイハイパー】が発動しているとはいえ、あの攻防に突っ込んでいくのは死にに行くも同然。剣がないから【スピアキャロッシュ】も【デス・バデット】も使えな……。【デス・バデット】って……【スピアキャロッシュ】は攻撃する技だ。でも【デス・デバット】は……。


「【デス・バデット】」


 やはり【デス・デバット】は攻撃技ではなく瞬間移動する技だったらしい。だから剣がない今の俺でも使える。


「【デス・バデット】」


 俺は一回目の【デス・バデット】で素早く剣を取り、もう一度【デス・バデット】をし、その場を引く。うまく剣を取り戻せた。と言っても捨てた自分が悪いんだが。

 剣を取り戻した俺は、弓や斬撃が飛んでくるようになった。三人で斬撃と斬撃と弓を攻防しあう。消耗戦だ。


 最初に疲れを見せたのは予想通りポンド。それを見計らった俺は、一気にポンドに奇襲を仕掛ける。


「【スピアキャロッシュ】!」


 俺の剣はポンドの胸を捉えた。

 そしてその隙をついて後ろから俺目掛けて弓が飛んでくる。俺はクルリと体制を変えてポンドでその弓矢を受け、ポンドにその弓矢を突き刺す。刺さったポンドは蹲って倒れた。ポンドは戦闘不能で脱落。


 残りはホーリーだ。


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