18「赤い怪人VS魔法少女の敵(2)」
三名は、残りの手駒を全部使ったが、尽く赤い怪人が潰していった。
大型の敵も、ロボがすべて倒してしまった。
「後は、お前らだけか……」
顔がメイクであるインフェクラウン以外、表情がわからないが、
悔しそうにしているのは、雰囲気でわかる。
「こうなったら!」
とインフェクラウンは、巨大な魔物に変身した。
その姿は、体つきは女性的であるが、何と形容しがたい禍々しさを感じさせ、
頭は、ヤギっぽくて、角が荒々しく、厳つい顔立ちをしている。
あと背中には蝙蝠の羽のようなものもある。
「邪神ベルゼビュート、
『カオスティック・ザ・ ワールド』シリーズの隠しボスか……」
『そうだよ、その力を再現したのさ。これが僕の切り札だよ』
それは、人気のMMORPGシリーズで、
もとは、初代カオスティック・ザ・ ワールドにて、
とあるPCがクリア不可とされるイベントをクリアしたことで
変身できるようになった姿が元だという。
名前も、そのPCが決めたであるから、ユーザーの許可もと、
以後のシリーズにて恒例の隠しボスとして実装された。
ただし、いまだにクリアできたものが少なくて、
多くのユーザーを恐怖と絶望の淵に叩き込んできたゆえに、
インフェクラウンが、その力を再現できるわけである。
その姿を見た。赤い怪人は、思わず、
「ちっさ」
と言ってしまった。それでも、赤い怪人よりはずっと大きいのだが、
『小さい言うな!』
「ゲームで、実際に戦った事があるけど、もっとデカかったぞ」
『うるさい!』
と言って右手で殴り掛かってきた。
赤い怪人はひらりと避けると、高周波ブレードをふるう。
『ぎゃあああああああああああああああああ!』
右手の指が、すべて切り落とされた。
「本来、ベルゼビュートは、小指一本落とすだけでも手間なんだけどな」
結局のところ、再現しきれていなかった。
そもそも、再現と言うのも、疑問符が付くくらいである。
それでも強い事には違いないようで、
切られた指は直ぐに再生し、手から火球を放ち攻撃を仕掛けて来る。
「ドラゴンキリングか……」
ゲームに出て来る魔法で、かなり巨大な火球。赤い怪人は、回避しつつ
「しょぼいな……」
ゲームで実物を見た事あるせいか、
確かに、ゲームと比べると、どうしても見劣りする。
『バカにして!』
今度は、雷が落ちて来た。
「ダクドサンダーか」
だが軽々と避けていき、強力なエネルギー弾を撃とうとしその時、
「おい!」
エネルギー弾が飛んできたので、回避する。
「我等を忘れてはいないか」
と手裏剣が飛んできた。そうエクスマキナと妲姫が攻撃を仕掛けてきたのだ。
両者は、インフェクラウンが劣化コピーとは言え、巨大な魔物になったので、
巻き込まれないようにしつつも、様子見をしていたようだった。
さっきまでの、ザコとは違い。コイツら三体の相手は、
流石に分が悪い。分かっている事だった。
そこで、大型の敵を倒し終えたロボを、劣化ベルゼビュートに向かわせる。
本来というかゲーム通りだったらベルゼビュートには、
ロボは、もはや相手にならない。一撃で踏みつぶされてもおかしくないが、
劣化コピーなので、体格差出はロボの方が小さいが、互角な戦いが出来る。
インフェクラウンの方はロボに任せ、エクスマキナと妲姫の両者に集中する。
エクスマキナは、
「くらえ!」
ビーム砲、怪光線、超小型ミサイルなどの超化学兵器。妲姫は、
「忍法劫火灼熱!忍法疾風斬激!忍法裂雹降!」
強力な火炎放射と真空刃、そして硬く大きな氷塊を生成し降らせてくるなどの
各種忍法で襲って来る。赤い怪人は、攻撃を回避。
時に、こちらからの攻撃し続けていた。
攻撃を回避しきれず、防御が間に合わず、かする事もあったし、
「クッ!」
被弾する事もあった。ただ、かすった程度ではダメージは無く、
例え、被弾しても致命的ではない。その攻撃の強さは感じた。
(なかなか強力だな。ロボに向こうを任せたとはいえ、
いつもと違って、二人相手だと辛いな。
それと、エクスマキナのパワードスーツは強力だな。これまでのロボは段違いだ)
二対一で、さっきとは一味違う敵を相手にするのだから、大変ではあったが、
一つ、幸運なのは、先の軍団がそうであるように、
この二人が、仲良しではないので、連携が取れていないと言う事であった。
だから、二人がかりであるのに、攻撃の隙が出来がちな上に、
「うわっ!おいくノ一、気を付けろ!」
赤い怪人が、回避した妲姫の忍術が、危うくエクスマキナに当たりそうになったり、
あるいは、エクスマキナが発射した実弾兵器の流れ弾が
妲姫に、当たりそうになって
「学者!そっちこそ、気を付けたらどうだ」
そして、険悪な雰囲気。その様子に赤い怪人は
(こいつら、自滅の可能性もあるな)
とそんなことを思うのだった。
連携が悪いとはいえ、両者とも強く。加えて、
エクスマキナのビーム砲と、妲姫のビーム光線のような忍術が、
絶妙なタイミングで放たれ、避けることができずに
「!」
この時は防御が間に合ったが、悪いとはいえ、
攻撃が偶に連携してしまうことがあった上に、
「あぶね!」
時々、火炎弾や雷なども魔法攻撃が飛んでくることもある。
もちろんそれは、劣化ベルゼビュートの物。
インフェクラウンの狙いは、あくまでも赤い怪人なので、
ロボの隙をついて、攻撃を放ってきたのである。
これらの事があって、戦いは、決して楽ではなかった。
そして赤い怪人は、引き続き高周波ブレードによる攻撃をしつつも、
更に、
「「ソウルウェポンだと!」」
拳銃形態のメタモルガンを左手に出現させ、光弾を撃つほか、
更には背中の触手なども活用し、
決して楽ではない戦いであったが、うまく立ち回り、
結局のところ、敵の連携の悪さを付いて、敵を追い詰めていった。
一方、インフェクラウンこと劣化ベルゼビュートは
『くそおおおおおおおおお!』
最初こそ互角だったものの、ロボが変形し、
人型から人型への変形で、ずんぐりとした体格から
シャープ体格へと変わった。
パワータイプから、バランスタイプになった感じだった。
しかも大きさも巨大化。素手による力は失われたようだが、
代わりに、様々な武器が使えるようになり、その上、機動力も上がった為
攻撃が避けられ、武器による攻撃によって追い詰められていた。
『なんなんだよ!このロボは!』
と言うような声を上げる。
当初は隙をついて赤い怪人への攻撃をしていたが、
それもできなくなっていた。
さてこの戦いで、一番楽じゃないのは、
さっきまでとは違い。敵が、とてつもない力を持っているが
人間であると言う事だ。
劣化コピーとはいえ、バケモノになったインフェクラウンはともかく、
まだ人間と言う感じがする二人は、気を使ってしまう。
(とにかく、抑えないとな。黒幕を聞き出す必要もあるし)
その頃、タブレット端末のようなもので、依頼主がこの状況を見ていた。
「赤い怪人が出てくるとはな……」
苦々しそうな顔をして、黒い結晶体を取り出す。
(予測はできていた事、対策は、しておいたが……)
対策があるなら、早々に使っておけばいい事、
しかし、何か理由があるのか、使用に躊躇しているようだった。
「それにしても、さすがは斬撃の魔女だな……」
と言いつつも、何かに気付いたように、
「まずいな、ほかの魔法少女も接近している。止むを得んな」
ただ、渋々と言う感じだった。
一方、ビルの屋上に、その女はいた。
赤い髪のポニーテールで目にバイザーのようなものを付け、
手には、日本刀を手にしていた。
「ほう、こんな所で見かけるとはね」
そこに、
「博士~」
と言いながらショートカットの髪型の女性がやって来る。
「メカニサルヴァの手掛かりはありました?」
「いいえ。でも面白いものは見つけたわよ。ルド君」
「何がですか」
「そういえば、貴方には見えてないわよね」
そういうと、彼女はバイザーを外し、ルドと呼ばれた女性に付け、
場所を指し示す。どうやらバイザーを着けると、
外からは見えない結界の中が見えるようである。
「あの赤い奴が、もしかして、博士が昔会った子供達に渡したっていう」
「そうよ。どうやら今も使ってくれているようね」
そう言うと、女は口元に笑みを浮かべた。
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