第14話母親の温かみに触れ、謝ることしか出来ない
目の前に佇み、微笑む母親に対し、今まで母親に向けた心ない数々の言動に後悔が溢れだし、ごめんなさいという言葉が漏れた。
「ごめん、なさい......ごめんな、さい。ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい──」
ひたすら謝罪を繰り返す俺に、再び背中に両腕を回し抱擁して優しい言葉を耳もとで囁いてくれる母親。
「もう謝らなくて良いのよ。ゆっくんが笑顔で生きていてくれるだけで良いんだから......幸せなんだから、私は。あの時、謝ってくれたじゃない。頭を下げて、謝ってくれたじゃない......もう済んだことなんだから、良いのよ。私こそ、貴方の苦しみに気付いてあげられなくてごめんなさい。こんな私に笑顔を見せてくれるだけで幸せなんだもの......ゆっくん、ゆっくん、ゆっくん──」
「ううぅぅっっ、ああああぁぁぁぁっ、うぅっぐっぅ、もうぅっ......無理、なんだ。お母、さっあぁんぅぅ......うぅっ、おぉっれぇぇ。もうぅっ、もう......お母、さんに逢えなぁっ、いぃっ」
泣きじゃくり、嗚咽を漏らす俺の頭を優しく撫でてくれる母親に数えきれないほどの数、暴言を吐いてしまったことを今さらながら後悔が強まる。
もう、母親に逢えないのか......俺は。
「ゆっくん──貴方の頑張りは、身に染みて分かっているから......そんなこと、言わないで。私は、私達──はいつでも貴方を、ゆっくんを待ってるし、味方だから......おかえりって言って迎えるから──だから......」
「っっはっ!はぁっ、はぁっ、っはぁうぅっっ──」
──だから......の続きを聞けず、意識を取り戻した俺だった。
俺の荒らげた呼吸に驚いた見知らぬ女性が驚愕した表情の顔を覗かせ、彼女の荒らげた声が遠のいていった。
「先生っっ!先生、目覚めましたっっ!目覚めぇー──」
「──あっ......あ、れぇ......俺って死んだ......よな、あの時に......うっ、腕がっっ、腕が繋がって......いる?だってっっ」
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