第11話幼い女の子から苦痛を伴う贈り物を

──ああああああああああああああああああああああああ


ユイトの悲痛な叫び声が街中にいつまでも響き続けていた。


叫び声を心配してか、幼い女の子の声が聞いてきた。

「おにいさん、何かあったの?」

俺は、両肩に小さい手が触れる感触を感じたが叫ぶのをやめることはできなかった。

「ああかわいそうに、嘆いているの、怒っているの、悲しんでいる?お母さんが死んじゃったの、お父さんが死んじゃったの、恋人が死んじゃったの?その傷付いた胸の内を打ち明けたら楽になるよ。さぁ、おにいさん。打ち明け──」


──ああああああああああああああああ、うぅぅえぇわわああっっ


左目の視界が突然ひらけて、何が起こったのか分からず左に顔を向けると、。俺の肘から手先が揃った赤く染まった腕が。

「きゃあああぁぁぁー」

近くから女性の悲鳴が響き渡る。

目の前の光景を理解できずに呻き始めた俺に目の前の短い金髪の女の子が不思議がっていた。

「泣くかとおもったのに、みたいに。おにいさんに贈りプレゼントを渡したからね。苦しくなるけど、すぐに楽になるよ。おにいさんは今より強くなってるはずだよ。今抱えている傷が少しずつ癒えて、この能力ちからをおにいさんが使いこなせたら、もう──」

俺は、ドサッと背中から倒れた。

切り離された腕から血が流れ出すぎたせいで、意識が朦朧としていく。

体内にたまっている水分が急激に冷えていくような感覚がして、体内の水分が氷水のように冷たくなる。

血管を流れる血液までもが滞るように感じながら、瞼が閉じていく。


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