第9話知らない街並み
俺は、死んだんじゃないのか?あの夜刺されて、もう死んだのかと思った。助からないと。
身体の痛みがなくなっていた。あのときの痛みがまるで嘘のように。
左手に細く小さい何かの感触がした。ふわふわした毛のようだ。
目の前が真っ白だ。
「ここ......は、どこ」
「少年、大丈夫かい?長い間、眠りについていたから心配したよ。ボク」
意識が遠のいていくときに聞こえてきた声と同じ声が今も聞こえる。
「大丈夫......です。助けてくれた方ですか?ありがとう、ございます」
目の前にもふもふした小さな猫のような生き物が現れた。
愛らしい笑顔で答える、猫のような生き物。
もふもふしたい。
「うん。そうとも言う、かなっ。ボクは応急手当てしかしていないんだ。完治させたのは、イアなんだ。メリイアは聖霊使い」
「メリイア...さんはどこに?」
「外にいるよ、イアは。ボクを見て驚かないだね。少年は」
「驚いていますよ。でも...、精霊って、あの精霊?」
「少年が思ってるのとは違うかな。せいは聖者の行進って言う言葉の聖だよ。ボクは一番能力が高い聖霊なんだよ。少年からマグナが感じられないんだ。呪われたのかな、吸われたのかな、それとも産まれたときからない、とかっ」
「えっと。マグナって何ですか?」
「魔法を使うための源だね。マグナがないと魔法は使えない。そのマグナが少年には感じられないんだ」
「えっと。親がマグナがないないって慌ててたような?」
「ほんとにそれだけかな?元気になって一安心。ボクは聖霊のハクビだよ、またどこかで会えたら、そのときは仲よくしようね!」
ハクビと名乗った猫のような生き物は目の前から消えた。
俺は、起きあがり、靴を履いて病室らしい部屋を出て、廊下を歩き建物から出ると目の前は知らない街並みだった。
どこなんだ。ここは?
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