第5話黒のローブを身に纏う人物

翌日。

何をすれば、元の世界に戻れるのか。もう、元の世界に戻れないのか。さっぱり分からない俺。

宿屋を出て、この街のどこに行くかということは考えず、街を観光することにした。

やがて、両わきに店がたち並んでいる間にある舗装された道にたどり着く。

色んな店があるんだな、と驚きながら歩いていると、前から歩いてきた人物にぶつかる。

黒のフード付きローブを身に纏った人物でフードを深く被り顔が見えない。身体が大きく180cmは余裕でこえてる。

俺が謝る前にぶつかった人物が口を開く。

「ぶつかんじゃあ~ねぇよォォ。前みて歩けや、ああァん」

重低音だった。顔は包帯で隠れていてよく分からなかったが目もとだけ見えていた。鋭い目つきで、声も合わさり怯えずにはいられないほどの圧だった。

俺は、震えながら謝る。

「ごご、ごめんな──」

「目の前から消え失せろゥ」

言い終わると同時に俺の顔に手を覆う。

その瞬間、目の前が暗くなり、意識を失う。

俺は──。


俺は、意識が戻ったのを感じて、瞼をゆっくり開けると、目の前に派手なドレス姿の小柄な女子が仁王立ちでいた。

辺りは暗く、彼女の表情が見えない。

俺は、背もたれがある椅子に座っていて、腕と脚が自由に動かせない。縛られているようだ。腕は背もたれの後ろで、縛られていた。

俺が何をしたってんだよ、自由を奪われることなんて──。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る