第3話
「そちらのプランですね。こちらへどうぞ」
今日のお客様は凄い。
何が凄いかというと、今まで来た客は私が練りに練ったプランをバカにしては笑って。思い出しただけで苛立ってきた。
まずい。表情が顔に出やすいタイプの私は、仕事中に他の事は考えてはイケないのだった。
『あの、この「あなたのお相手お捜しします」ってどんなプランですか?』
待ってました! その質問。完璧な接客スマイルで応える。
「そちらは、三ツ星花ソムリエマイスターの私がお客様に合ったお花を提供するというプランです」
ここまでは話を聞いてくれた客は何人もいた。
しかし、私の今のたった一言を聞いてバカにしてくるのだ。
「花なんてどれも同じではないか」と。
「へぇー凄いですね。よく思いつきましたね」
「えっ」
躊躇ってしまったのは根本的に私が悪いのだが、それくらい驚いてしまったのは事実なのだから仕方ない。
「どうしました?」
「失礼しました。でもずっとバカにされてきたので」
お客様に弱みを見せてしまったことを後悔したのは言葉を発した後のことだった。
「どのように?」
『いつもお客様は口をそろえて「花なんてどれも同じだ」と言って帰っていくので』
「そうですかね。色も違えば形も違う。香りだって違うし、全然違いますよね?」
感動のあまり、カウンターに大きく手を突いてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます