第2話

出会い系サイトや結婚相談所の様なキャッチフレーズを売りにしている店がある。勿論、出会い系サイトや結婚相談所ではない。これは、小さな街のそれまた小さな花屋のお話だ。

 

 重たいシャッター両手で開ける。慣れた手つきで開店準備を始める。と言っても客足が伸びないのが現状だが……


 私は小さな花屋を経営している。従業員は、私一人。一人なので伸び伸びとできていい。客も少ないし。気が付くと開店五分前。


「よしっ」


気合い充分。いざ、開店だ。


 虫の声が響く。開店一時間後。まだまだ。長い時は三時間以上経っていた時もあった。


「はぁー」


 ため息一つ。

 ちょっと人の一人や二人来てくれてもいいのに。

 口を尖らしていると、


「チリーン」

「いらっしゃいませ」


 やっと舞い降りた本日初のお客様。


「何かお探しですか?」

「えっと、このティッシュの広告見て来たんですけど」


 内心でガッツポーズを何度もした。夜に最寄駅でティッシュを配った甲斐があった。

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