第71話 ジゴロテクニック


みんなで河原に大移動。

スーパーから河原までは歩いて10分程。

荷物を持っての移動だとその10分がキツイ。

非力な僕以外は大量の荷物を抱えて歩いてる。

みんな男らしいじゃないか。

僕は男らしくなくていいから楽したい派だ。

由香・真紀・遥にちょっとづつ荷運びを手伝ってもらった。



河原ではいくつかの家族連れや、若者のグループがすでにBBQの用意をしていた。

遠出をしなくても楽しめる河原BBQは人気のようだ。

僕たちもその一角に荷物を降ろしてコンロの用意をする。

肉や野菜は適当にスライス。

分担作業でテキパキと行う。

まだ11時前なのに準備完了しそう。

後は火を熾す状態まで用意して休憩。

僕が火熾しを手伝っても戦力にならないだろう。

かわりに蚊取り線香をコンロの四方に設置し、殺虫スプレーを周りの草むらにたっぷりと撒いた。これで近くに潜んでいた虫は死んだはずだ。

よし、僕はのんびりするぞ。

飲み物を飲みながらまったりとした時間を過ごす。


テキパキと食材の準備を行う女性陣と、椅子やコンロを設置して火を熾す男子。

労働してるのに楽しそうで何より。

ほげーっとしてると雄介がスーッと近づいてきた。


「なぁ、真尋。ちょっといいか?聞きたいことがあるんだが」

「ん?何?」

「お前はこの中の誰と付き合っているんだ?」


雄介がぼそっと言ってきた。


「誰とも付きあってないよ」

「え、嘘だろ?」

「本当だよ。誰とも付き合ってないよ。みんな優しくしてくれるけど、告白とかされてないし。エッチな事してないし」


キス・ハグ・おっぱい&お尻揉み揉みはセーフでしょ。裸見たりもセーフ。

危うく最後までいくぞーって思ったことは何回もあるけど、まだしてないからセーフ。


「付き合ってないけどエロい関係とかか?」

「何をもってエロいかは分からないけど、僕は紳士的に接してるよ。嫌がることはしてないし」

「キスとかしてるだろ?しかも複数と。女同士が喧嘩しないの?」

「喧嘩もなにも付き合ってないからね。女性同士もみんな仲良しだよ」

「そうなのか。なんかいいな。お前が羨ましいよ。俺は全然彼女ができないからさ。こう、何かさ、女を口説くテクニックみたいなのを教えてほしいんだけど。秘密のテクニックを教えてくれよ」


秘密のテクニックとかジゴロっぽくてカッコイイ。


「そんなテクニックがあったら僕が知りたいよ」

「テクニックがないなら心掛けとかはあるか?」

「そんなの”誠実”に”優しく”、”嘘はつかない””相手のいい所を褒めてあげる”くらいじゃないかな。特に意識したことはないけどね」


テクニックとか心掛けなんて分からないよ。とりあえずそれっぽい事を言っておいた。言ってる事は間違いじゃないよね。


「そうか、なるほどな。俺もそういうのを心がけてみるよ。サンキュ」


雄介の薔薇色の高校生活に貢献できたなら幸いである。

まぁ、後は雄介の努力次第だろう。


「でも、誰でも付きあえそうだよな。最終的には宮原あたりとくっつきそうだけど」

「みんな素敵な女の子だから全員がいいな」

「かーっ!お前何てことを!他の奴が聞いたら血の涙を流すぞ。誰もがトップレベルの可愛さじゃないか。しかも全員と付き合うとか実現させそうだから怖いな」


それぞれ魅力的だからしょうがない。僕は欲張りなのだ。


「柳川さんもお前のハーレム要員なの?俺、あんなに可愛い子が同学年にいるなんて気が付かなかったぜ」

「イメチェンしたからね。それまでは目立たなかったんだよ。おとなしい女の子だったし」


雄介は彼女を狙っているのか。

あのおっぱいも最高だろう。少し吸わせてもらいたいよ。

そうやって1時間位はみんなでまったりとお話をしていた。

河原でのんびりとか最高だよ。



昼になり食事の準備を始めることことになった。

淳一、忠が熾した炭火もいい具合に落ち着いている。

前回のキャンプもこの2人が火熾しをしてくれたんだな。


そして宴の始まり。

網の上に肉を投入。

ジュっという音と肉汁が炭に落ちて漂う匂い。

コンロを囲むみんなの目は肉に集中している。

野菜は網の隅のほうに置かれた。


「焼けた肉を皿にのせてくぞー」


焼肉奉行になっている雄介がみんなの皿に肉をのせてく。

そしてこちらも前回同様に、松木さんと安藤さんの手作りおにぎり。

可愛くて巨乳の女子高生が握ったおにぎりは、それだけで高値取引されるのではなかろうか。

僕が社会人ならお金払うね。みんなもそうでしょう?

新メンバーの柳川さんも啄むようにお肉を食べてる。

遥と真紀が一生懸命話し掛けてる。

うんうん、ナイスフォロー。

沢山話し掛けてあげてくれ。

食べて飲んで騒いで!

あ、飲んではジュースだよ。


しばらく肉攻勢が続いた後にホタテ・エビ・イカの海鮮が焼かれた。

焼けたホタテに醤油を垂らすと、香ばしい匂いが辺りを漂う。

とても美味しい。

エビは殻をむくのが面倒だなと思っていたら、由香が剥いてあーんをしてくれた。

さすが由香。何も言ってないのに気が利くね!



海鮮とお肉を交互に食す。

僕は最高に幸せだ。

野菜はノーサンキューだ!

僕が懸命に肉を食していると、忠が近づいてきた。

忠は周りには聞こえないくらいの小さな声で、


「なぁ、真尋。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」


ん?なにかな??


「柳川さんは、お前のハーレムの一員なのかな?」


そんなわけない。たしかに可愛らしいけどね。

ってか雄介に続いて忠も彼女を狙ってるの?


「全然違うよ。彼女は普通の友達だよ。というかハーレムって何?僕は別に”お前ら全員俺のもの”とか言ってないし。強引に手を出した事ないから」


エッチなことしてないし。

あ、もちろんおっぱい揉ませてくれるなら揉むよ。揉んでコリコリするよ。


「少し狙ってみようかと思って。彼女可愛いし物静かな雰囲気がすごくいい。彼氏とかいないよね?」


彼氏どころか友人も少ないはずだよ。


「いないんじゃないかな。アプローチしてみれば?」


忠はありがとうと言ってもとの場所に戻っていった。

それから忠は、柳川さんに肉をとってあげたり、沢山話しかけている。

柳川さんも最初はぎこちない話し方だったけど、忠がぐいぐいと話しかけるので徐々に慣れてきてるようだ。

雄介は焼肉奉行をしすぎて完全に出遅れているな。

もしかすると忠に春がくるかも。

忠はあのおっぱい(巨乳)をものにできるのかっ!




はたして休日のBBQは恋の始まりになるのか?



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