第65話 全員吸いたい


朝。

眩しい朝日が僕を照らす。

目を開けると素晴らしい青空だ。

港では漁から戻った船が水揚げ作業をしている。

ふぅ。

どうやら寝てしまったようだ。しかもがっつりと。

いったい今は何時なんだろう。

コンビニでおにぎりとお茶を買った。

レシートに記載の現在の時刻はAM9:35。

ははは、寝過ごした。それも大幅に。

スマホは家なので連絡のしようもない。

とりあえず帰るか。

おにぎりを食べてお茶を飲んで出発だ。

いまさら学校にも行けないや。

ずる休みだな。




家に戻る。

玄関に鍵がかかっているので母さんは仕事に行ってるだろう。

テーブルには僕の朝食が残されていたので食べた。

さっきおにぎり食べたのでお腹は空いていないけど、せっかく作ってもらった朝食だから食べる。

それからシャワーを浴びてベッドに入る。

昨晩はコンクリートに横になっていたので熟睡できなかった。気がする。

朝まで起きなかったけど寝足りない感じだ。

ふとスマホを見ると沢山の着信とメッセージがあった。

とりあえずライングループには海に行ってたとメッセージを残す。

そしてそのままベッドに入った。



ぐっすりと睡眠をとった僕は目覚める。

スマホには沢山の着信がある。

由香たちだ。

雄介からもメールがきてた。

昨日の晩餐会では由香たちモテモテだったって。

元からモテてたけど、さらに拍車がかかったって。

もうどうでもいいや。面倒だし。

そもそも彼女たちとは付き合っているわけじゃないし。僕に報告する必要ないし。

ただの仲がいい友達だよ。

由香は幼馴染。真紀と明子さんはキス友。遥も仲のいい友達。かおりさんや陽子さんや菜月さんもちょっとおっぱい揉ませてもらう友達。みんな友達。

僕がどうこう言う立場でもないし。

考えるのが面倒になってる。

頭の悪い僕の思考はクソなんだろう。

でもクソでもなんでもいいや。



今日は何をしよう。

昨日は海を見に行った。

今日は海で釣りをしてみようか。

ってか道具ないし。

まぁいいや、また海行こう。

ささくれ立った僕の心には、波音だけが優しくしてくれる。

僕は鞄にスマホ、殺虫剤、懐中電灯をもって海に向かった。




今朝の港に向かう。

コンビニでお茶とおにぎり、缶詰を購入してから向かった。

海に着き段ボールに座りながら海を眺める。

波の音が心地よい。

しばらくボーっと海を眺めていたが、僕はなんでこんな事をしているのか

改めて考えてみる。

たぶん孤独ごっこがしたかったんだろう。

一人ぼっちな自分に酔っているのだろうか?

本当に馬鹿みたいだ。

でも止められないだよなぁ。



鞄からスマホを取り出してみる。

グループラインで真紀や遥からメッセージがきていた。


”まーくん、学校は?”

”おーい、起きてる?”

”何処にいるの?”


内容は生存確認だった。とりあえず返信する。


”海にいる”

”何をしてるの?”

”孤独ごっこ”

”馬鹿なのかな?”

”馬鹿です”

”早く帰ってきなさい”

”いやだ。僕はホームレス高校生”


あいかわらずバカな返信をしてしまった。

思わずスマホでタイマーセットの自撮りをして送ってしまった。

段ボールの上に正座してダブルピースする僕。

はい、送信っと。


”なんか随分と元気そうだね”

”楽しくはないな”

”いや、すごく楽しそうだよ”

”胸が熱い気持ちでいっぱい”

”私も行く”

”僕だけの場所だからダメ”

”勝手に行くからね”

”これるもんなら来てみろ。僕は北海道にいるんだ”


僕は寂しい気持ちを楽しんでいるんだ。

今は一人がいい。

その後はスマホの充電が切れるので電源をOFFにする。

その後もしばらく波音を聞きながら座っていた。




夕食を食べようと缶詰を並べた。

キャンプみたいで少し楽しみ。

おにぎり、ウインナー缶詰、焼鳥缶詰。

宴会だ。

缶詰を開封!

プルトップに指をかけてふたを開ける。

その時に後ろから人の気配。

なに?僕の缶詰を狙って刺客がきたのか。

後ろから抱きしめられた。

首を動かすと真紀がいる。

その後ろには遥、そして由香と大津さんがいた。


「なんだ、僕はこれからご飯なんだぞ」

「ウインナーの缶詰?美味しいそうだね」


遥が僕の割りばしを使って缶詰を食べだした。

ああ、止めてください。


「何で家出なんかするかな」


遥がウインナーを食べながら聞いてくる。


「家出なんかしてないし。僕は孤独を味わいたかっただけだし」


何故か真紀が焼き鳥の缶詰を開けてる。

大津さんはおにぎりを手に。

昆布は……昆布はやめてくれ!


「僕の夕食を食い荒らさないでほしいな」

「一人で野外ご飯なんてズルいです」


明子さん、そういって僕の昆布おにぎり食べないで。

由香は辛子明太子おにぎりを頬張っている。

僕のご飯が、、、。

遥がウインナーを僕に差し出してきた。

ありがとう。ありがとう。

あれ、これ僕のだよね。

僕が食べようとした瞬間に遥はウインナーを自分の口に入れた。

そして僕の頭を抱きながら口移しにウインナーを食べさせてくれた。

無言で咀嚼する僕。

次は明子さんが昆布おにぎりを口移しに食べさせてくれる。

何これ。


モグモグゴックンすると真紀が焼き鳥を口移しで。

そして次に由香が明太子おにぎりを口移しで食べさせてくる。


「美味しい?」

「うん」


由香に聞かれてうなづいた僕。

でも僕は、


「自分でちゃんと食べれるし。赤ちゃんじゃないし。赤ちゃんプレイしたいんならおっぱい吸わせろ」

「まーくんは誰のおっぱいが吸いたいの?」

「全員吸いたい」

「欲張りすぎる!」


そんなの全員に決まってるだろ。

言わせんな恥ずかしい。







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