第44話 鰻、大フィーバー


夏休み中盤。


今日は由香とお出かけ。

由香が映画を見たいと言い出したからだ。

ラブコメ映画らしい。

僕はえっちなDVDは見るが、映画はずっと見てない。


近所の映画館に向かう。

外は死ぬほど暑いけど、僕と由香は手をつなぎ映画館に向かう。

なぜ手をつなぐか?

つないだら由香が喜ぶかなって思って。

嫌がらなかったからそのまま映画館まで行った。


館内は涼しくて快適。

夏休みの平日だから学生が多いいかな。

この映画館にはカップルシートがあって2人用のソファーみたいな席がある。

値段もやや高いくらいなので、カップルシートのチケットを購入した。

ドリンクとポップコーンを買ったら準備万端だ。


映画の内容は、

えっちな男の子と可愛い女の子2人の三角関係の話。

ドタバタなストーリーで笑いあり、感動あり、涙ありの物語。

結構見入った。

結末はまさかの一夫多妻。

どちらかを選ぶのではなく両方選びやがった。さすが主人公。


これはロマンだ。

奥さんが複数なんて羨ましすぎだろう。

そんな世界に僕も生きれたら幸せになれるだろう。

ただし、彼女がいればの話だが。


由香は途中から僕の肩に頭を乗せて見ていたので、寝てるんじゃないかとチラチラ見てたが起きていたようだ。

隙があったら暗闇の中でおっぱいを揉んでやろうと思っていたが、普通に映画に入り込んでしまい、おっぱいの事は忘れてしまっていた。

あっという間の2時間。

面白かった。


「結構面白かった。久々の映画だったけど満足」

「面白かったね。最後はちょっとあれだけど」

「あれって?」

「重婚なんてご都合主義すぎるよ」

「何を言う。男のロマンじゃないか。奥さん2人とか胸が熱くなる。胸以外も色々熱くなる。なんで僕は映画の中の世界に生まれなかったのだろうか」


由香の微妙な顔に、


「もしお前を好きになってくれる男が2人いて、どっちも比べられない位に好きだったらどうする?」

「そもそも、2人好きにならないと思う」

「仮の話だよ」

「そんな仮の話なんて考えられない」


あ、そうですか。

夢のないやつめ。


「まーくんは奥さん2人でいいの?」

「いいもなにも100人いても、いや100人は多すぎだな。10人位いても平等に愛するよ。そのあたりはちゃんとするさ」


でも、彼女いない歴=生きた年数だけどね。


「私もあんなに熱い恋をしてみたい」

「2人に取り合いされる恋?それなら俺はその2人が争っている陰でお前を寝取ってやる。争っている2人の前で揉んでやる」

「堂々と取り合いに参加してくれないの?」

「参加も何も、お前のおっぱいはすでに僕のものだ。だからお前が寝てる間に婚姻届けをだしてやる。証人欄にはちゃんと裕子ママのサインをもらうぞ。裕子ママは僕に甘いからな!反対に僕の母さんにお願いしたら殴られる。勝手するなって。だから裕子ママに頼めばOK!ハハハ!」


なにそれと由香が笑う。

こいつが普段人前ではださない笑顔は最高に可愛い。

身近な人だけが知ってる特別なものだ。

誰にも見せてやらないからな。


「お腹空いた。ご飯食べよ!きょうはママが食事代くれたよ」

「うぉ、ラッキーだな。美味しいもの食べたい。何がいいか」


建物のレストラン街をまわって鰻屋に入った。


「鰻とかヤバすぎだろ。おい、僕たちが最後に鰻を食ったのいつだ?」

「覚えてない。昔、まーくんが鰻のタレを買ってきて、白いご飯にタレだけをかけて食事してたのは何となく覚えている」

「ああ、そんなこともあったな。美味しいご飯だったよ」


ランチのうな丼1200円+大盛100円。

高校生の昼飯だったら2回食えるぞ。


「楽しみだね」

「楽しみすぎてヤバイ。どんだけ楽しみなんだ僕は、ってくらいヤバイ」


少し待ってうな丼がきた。

いい匂いだ。口の中に涎がでてくる。


「由香、食っていいのか」

「どうぞ、召し上がれ」

「「いただきます」」


うなぎうめーーっ。

タレもうめーっ。

汁もうめーっ。

最高かよ。


ふっくらとした鰻の香りが口の中に広がる。

香ばしいタレも最高だ。


「由香、美味いな」

「美味しいね。まーくん、ゆっくり味わって食べな」


ああ、そうだな。一気食いしたらもったいない。

僕は心の中で涙を流しつつ鰻を食べた。


「由香、将来僕が沢山稼いで鰻食わせてやるからな。裕子ママと母さんにも食べさせる」

「期待して待ってる」


しまったスマホで写メ撮るの忘れたっ!

食べかけの写真を残した。

ついでに鰻を食べる由香の写真も撮った。


ラインの女子会グループに、僕の食べかけうな丼と、うな丼を食べる由香の写真を載せた。

すぐにレスがある。



小林「ズルい。私も食べたい」

松木「美味しそうですね」

稲川「鰻・うなぎ・ウナギ」

小島「昨日、鰻食べました」

安藤「鰻、大フィーバーですね」

前川「モグモグ。最高だ。僕は今日死んでもいい」

稲川「それほどっ!」

小林「鰻は作れないなぁ」

大津「作れたらすごすぎます。私も行きたかった」

稲川「どこで食べてるの?」

宮原「駅側のショッピングモールの鰻屋。さっきまで映画見ていたの」

前川「ランチのうな丼1200円+大盛100円」

安藤「高校生には厳しい値段」

小林「真尋くんのおごり?」

前川「いや、僕が奢ってもらった」

稲川「そこは男の子がだすところだぞ!」

前川「僕はお金がない」

大津「言い切りましたね」

稲川「言い切ったよ、この男」

小島「自分を偽らなくていいんじゃないですか?」

松木「菜月かっこいい」

前川「え、僕じゃなくて菜月さんがかっこいいの?」

宮原「鰻でここまで大騒ぎできるとは」






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