第45話 お祭り


夏休みのある日


「まーくん、今日は神社のお祭りだよ。行くでしょ?」

「え、今日だっけ。どうしよっかな。僕は忙しいし」

「遙と真紀が明子さんが行くって」


他の女子会メンバーは?と聞くと、


「部活の人と行く約束しちゃってたんだって」


そうか、まぁしょうがないよね。

 

「やっぱり行ったほうがいい?」

「忙しいって何が忙しいの?」


僕は漫画読んだりゲームしなきゃいけない。

そんなのいつでもできるでしょと言われた。

確かにそうである。


「わかった行くよ。浴衣着るの?」

「着るよ。遙も真紀も明子さんも浴衣だって」

「じゃあ僕も浴衣着るか」

「母さんに出してもらわないと」

「綾子ママに言っておくよ。私も用意があるから後でくるよ」


由香は自分の家に戻っていった。

祭りかぁ。

みんなの浴衣姿が楽しみだな。

写真と動画を撮んなきゃ。浴衣姿の女子高生とか夢が広がる。浴衣の胸元から見えるおっぱいなんて全世界の男の夢。



夕方、由香が僕を迎えにきた。

薄いピンクの浴衣には花が描かれている。

清楚な感じで由香に似合うな。

長い髪も頭の上で纏められていて涼しげで色っぽい。


僕は濃灰の浴衣だ。

男の浴衣なんて誰も見てないからどうでもいい。

下駄が慣れない。走ったら転びそう。絶対に転ぶ。


「由香は随分と清純派になったな。ちょっと脱がしていい?」

「ダメ。せっかく着せてもらったんだから」

「とっても可愛いな。いつもの3倍好きになった」

「まーくんもかっこいいよ。いつもの3倍男前になった」


とりあえず家の前で浴衣姿を記念撮影した。

裕子ママに頼んで僕との2ショットもバッチリ。




みんなとの待ち合わせは神社下の鳥居。

そこまで由香とゆっくり歩く。

やっぱ下駄は歩きづらい。


「手、つないでいこうか」


由香の手をとり歩く。


「僕が転んだらお前も道連れだから。ちゃんと歩くんだぞ」

「ゆっくり歩けば転びません」


屋台の食べ物の話をしながら神社に向かう。お腹もすいているし楽しみだ。

家族連れや浴衣のカップルが多くなってきた。

お祭りすげーな。人が沢山。

神社の鳥居に着いた。

遙たちはまだいない。


「あー、前川じゃん。宮原も久しぶり」

「おいす」

「こんばんは」


声をかけてきたのは同じ中学だった吉岡くん。

そういえばこないだ学食で話したな。

一緒にいるのは橋本くんだっけ?


「前川と宮原はやっぱお似合いだな。カップル通り越して夫婦みたいだな。中学の時からかわらねぇ」


そうかな?僕は大分男前になったと思うけど。

由香は夫婦とか言われて満足げな表情だ。


「待ち合わせなの?」

「おお、そうだよ。クラスのやつと待ち合わせ。今日はバシッと女の子と知り合いになるから」

「ナンパかよっ」

「お前はどうせ前川ハーレムが揃うのを待ってるのだろう?」


もの凄くいいタイミングで遙たちがやってきた。


「おい、ハーレムが1人増えてるぞ。しかもあれ大津さんじゃね?ばっか、お前のハーレムが増えるたびに男が泣くぞ」


僕は別にハーレムとか作ってない。

しかも、僕は誘われるほうだ。自分で誘うとか面倒だし。


「ま、俺らもナンパを頑張るから。お前らもあまり風紀を乱すようなことするなよ。その辺の草むらとか止めろよ」


吉岡くんは神社のほうに歩いていった。

草むらで何するんだよ。草むらで如何わしいことすんのかよ。

よし、草むらにずっといよう。

しまった、殺虫剤忘れた!


「由香、殺虫剤忘れた」

「草むらに行かなければいいよ」

「僕は森の中や草むらが好きなんだよ」


とりあえず購入しなければ。

通りにある薬局でスプレーを購入した。




「やっほー、到着!」


遙のテンションはいつも高い。


「みんな、こんばんは。浴衣が似合うね」


真紀は紫にピンクの花柄の浴衣。

おっぱいの大きさは浴衣をきても目立つ。

頭のリボンが素敵。セクシーさが3倍増し。浴衣と真紀って妖艶すぎるだろう。これ、2人だったら絶対に襲っていたぞ。もう、たまらん!って。


遙は水色の浴衣に金魚の絵が描いてある。

元気一杯の遙の雰囲気にとてもあっている。

頭についてるワンポイントの赤いお花もキュート。

元気一杯を体全体で表現してるな。


明子さんは紺に蓮の花模様の浴衣。

お嬢様な雰囲気でてるね。うんセクシーだ。

アップにしてある髪形も清楚だね。明子さんも草むらに引っ張って行きたい。


「とてもキレイだね。僕が理性ある男じゃなきゃ間違いなく襲う」

「なんか微妙な褒め言葉だね」

「素直にキレイとか可愛いでいいじゃないですか」

「むしろ私が真尋くんを襲っちゃうぞ」


それぞれ遙、明子さん、真紀である。

襲い襲われだなんて世紀末じゃあるまいし。しかし考えると有りだな。

まぁ、早速だけど祭りに行こうか。

僕たちは神社の境内に向かい歩き出した。



お祭りの前に神社にお参り。

鈴を鳴らしお賽銭をそっと入れる。


「お金と、彼女と、おっぱいと、勉強できる頭と、虫のいない世の中が欲しいです」

「みんな仲良く幸せに。あと、まーくんのバカが治りますように」

「恋愛運upを願います」

「……に振り向いてもらえますように」

「……を食べたい(性的な意味で)」


一部、恐ろしい願いがあったが聞かなかったことにしよう。


神社へのお参りも済んだし屋台を楽しむか。

おっと、まずはお面を買わなきゃ。

お面つけてる女の子って可愛いよね。

みんなお揃いの狐のお面を購入。

これは僕の奢りだ。

早速、頭につけてもらった。

そしてスマホで撮影する。

沢山写真を撮ってしまった。

美少女・浴衣・狐のお面の組み合わせなんて萌えるだろ。

非常に満足。

家を出る前に貰った小遣いがほとんどなくなったけど満足。



さぁ、何食べようか。

最初に目についたフランクフルト。

早速購入。

うん、美味しい。普通のフランクフルトだ。

フランクを食べながら遙が言った。


「でもさー、真尋くんのほうが大きいよねー」


はい、下ネタ頂きました。


「当たり前だろ。僕はビッグフランクフルトだ」


ボフッ、とむせてる大津さん可愛い。

大丈夫?


「明子っちはエロエロだなぁ」


こら、追い討ちをかけない。

真紀がさらに追い討ち。


「明子さんはお風呂のことを思い出したんだよね」

「僕も思い出したよ。頭の中の脳内フォルダにしっかりと刻み込んである。あれは忘れない。絶対にだ!」


可愛そうに、真っ赤になっちゃったよ。

僕もみんなの裸思い出しちゃうよ。

先ほど買ったラムネを片手に、遠くを見つめながら露天風呂を思い出す。

あの時のシチュエーションはまさにエロ本だったよね。同級生の裸とか最高だろう。


「あ、まーくんは絶対にみんなの裸を思い描いてる」


さすが由香。よくわかったな。

僕は大人になっても忘れない。なんなら毎日3回は思い出してもいい。

あの穏やかだった日々を。

性春の思い出を。




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