第22話 同級生との蜜月


16時過ぎ。由香が帰ってきたみたい。

複数の足音が僕の部屋に近づいてくる。

部屋のドアがノックされ、由香、遙、真紀が入ってきた。


「まーくん、ちゃんと安静にしてた?」

「真尋くん、怪我したって!はい、ドーン」


遙がベッドにダイブしてきた。

ちゃんと怪我をしているところは避けてのダイブだが、腹に頭が当たり痛い。

でも可愛いからゆるす。


「真尋くん、話し聞いてビックリしたよ。みんなでケーキ買ってきたんだ。あとで食べようね。あ、食べさせてあげたほうがいいかな?」


真紀のあーんを思い出した。なんか恥ずかしい。

3人とも床に座ろうとしたのでクッションを出すことにした。

クッションはクローゼットに……。やべ。


「ほら、クッション出すからとりあえずベッドに座ってて」


僕がクローゼットを開けようとすると由香が、


「まーくんは怪我してるんだから座ってて。私が出すから」


僕をベッドに座らせる。


「いや、僕がだすから。大丈夫だから」

「なに言ってるの?安静にしてないとダメでしょ?」

「いやいや、運動も大事だよ。体動かさなきゃなまっちゃうから」


立とうとする僕は遙に押さえられた。


「由香ちゃん、真尋くんはなんか怪しげな動きをしています」


遙よ感のいい子はキライだよ。

僕は真紀に後ろから羽交い絞めにされ、ベッドに押し倒された。


「真紀、苦しい。息ができん」


ワザとじゃないかと思う取り押さえ方だ。

僕の顔はオッパイに埋もれている。

もっとホールドしてもいいんだよ?

遥の「真紀ちゃんずるい」の叫びもあったが、僕は幸せを享受していた。

気持ちいいなー。


由香と遥がクローゼットを開き中を漁りだす。

 

「まて、お前ら人の部屋の中を漁るな!」


2人は僕の言葉を無視して中を漁る。

やめてー。

由香が夏物のカラーボックスを開けた。

終わった。グッバイ僕の青春。


「まーくん、洋服入れに本が入ってるんだけど」


由香の能面のような冷たい表情の横で、遥は物凄くいい笑顔だ。


「なんでだろう?僕もよくわからないや」

「えっと、”同級生との蜜月”だって」


ぎゃぁ、タイトルを読み上げないで!


「前回の幼馴染から、同級生にランクアップですね。由香ちゃんから私と遥まで対象にされています」


ちーがーうーのー。

たまたま、偶然なんだよー。


「へー、真尋くんは由香ちゃんだけじゃなくて私や真紀にも興味あるんだ。この本に載ってるようなことしたいの?」


あ、はい。したいです。


「黙秘権を行使します」


エロ本くらいいいじゃないか。


「まぁ、男の子だからしょうがないのかな?でも真尋くん。学校の休み時間にえっちな本の話題を熱く語らないでね。女子からしたら本当に不愉快だから。キモイし」


何日か前のあれか。葛城と竹下が休み時間に話をしていたやつ。 

真紀よ、ちゃんと聞いてたんだな。

女子はそんなに不快に感じるのか。

あぶねー、俺も参加するとこだったぜ。

エロ本の話とか盛り上がるだろ。普通。


「あと、視線だよね。私の胸を見て微妙な顔するのやめて。その後に由香や真紀の胸に視線がいくと、本気でぶん殴りたくなる。あ、自分で言ってて悲しくなってきた」


遥が残念そうに言った。

おれは遥のおっぱいも好きだよ。


「真紀や遥の言う通り。女子はそういうデリカシーのない言葉や視線を非常に不愉快に感じるから。まーくんが変態男なのは知ってるけど、人前では我慢して」


「でもさ、エロ本やDVDは人前じゃ見ないぜ。それに男性は本やDVDで発散させないと大変なことになる」


犯罪を犯したらどうするんだ!

いや、犯したらダメじゃん。


「あ、でも相手にもよるかな。真尋くんも私の胸をよく見てるけど不快に思わないし。むしろ触ってみる?って言いそうになるから」


真紀、ありがとう。触っていいかな。


「それに真尋くんは私の胸も嬉しそうに見てくれるんだよ。全然ないのにねー」


遥、それは違う。おっぱいに貴賤はないんだ。

昔から言うだろ?貧乳はステータスだって。

なんか話題がとんでもない方向に向かっている。

どうでもいいけどエロ本返してもらえないかな。


結局、結論は出なかったので買ってきたケーキを食べることした。

え、エロ本?もちろん没収されたよ。


  




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