第17話 僕はお断り要員
ある日の登校時間。
僕は一人で登校している。
由香と登校すると騒ぎになるから。
変な野郎に睨まれたりとかウザイ。
「真尋くん、おはよう」
振り返ると真紀がいた。
「おはよう、真紀。今日もすごく可愛いね」
二人並んで登校する。真紀も人気あるから目立つんだよなぁ。
さっそくみんなに見られてるし。
気にしてもしょうがないか。
僕は真紀と話をしながら学校に向かった。
下駄箱で靴を履き替えると真紀が固まってた。
なんだ?
「なんかお手紙が入っていて……」
あぁ、またラブレターか。
「それってラブレターでしょ?下駄箱に手紙いれるなんてTVドラマみたいだな。うらやましいね。」
「私は手紙もらっても困るんだけど」
なんとも言えない表情の真紀。
「ラブレターじゃなくて果し状だったら笑う」
真紀は封を開けて手紙に目を通した。
「放課後に中庭に来てくださいだって」
やっぱラブレターじゃないか。いや、果たし状とも考えられる。
「そうか、付き合うにしても断るにしても返事はしてやるんだね。戦うなら無理しないでね。怪我なんて絶対にダメだよ」
そういって教室に向かおうとする。
「真尋くんは私が手紙貰っても何にも感じない?」
「感じるもなにも手紙貰ったのは真紀だろ。僕は、お前みたいな女の子とお付き合いしたい気持ちもわかるしな。戦いたい気持ちはわからない。いや、ベッドの上でなら……」
「そうなんだ。真尋くんは私と付き合いたいんだ」
いきなり腕を組んで歩きだす真紀。
何?いきなりテンション上がったようにみえるけど。
「教室行くよ」
僕は真紀に引っ張られて教室に向かった。
教室にそのまま入ったらクラスメイトが大騒ぎされたよ。
由香は能面のような表情だし。
放課後、真紀は返事をしに中庭に行くのだが、何故か僕も一緒に着いてこいと言う。
「お前の相手だろ?なんで僕も一緒に行くんだ?そして僕は喧嘩弱いぞ」
いいから着いてきてと腕を組まれて連行された。
後ろから由香と遥も着いてくる。
「おい、まずいだろ。相手に見られたらどうするんだよ」
「相手に見せに行くの!」
そのまま中庭まで引きずられていく俺。
中庭には3年生の男子が立っていた。あれが手紙の主か。
「小林さん、来てもらってゴメンね。そちらの人は誰かな?」
おいー、僕は関係ないぞ。逃げようとするががっちり腕を組まれているので逃げられない。
あ、おっぱい当たって気持ちいいです。
「私の大切な人です。それより話はなんでしょうか」
大切な人って勘違いされるぞ。
「俺は小林さんのことが好きだ。気持ちを知ってもらいたくて手紙をだしたんだ。俺とつきあってほしい」
やだ、かっこいい。男だな、この先輩。
「私みたいな女に好意を持ってくれるのは嬉しいです。ありがとうございます。でも、私には大切な人がいますので、お話を受けることはできません。ごめんなさい」
腕を組まれてる俺を前面に押し出してそう言いやがった。
勘違いされるぅぅぅ。俺は関係ないぞ。
「どうやらそうみたいだね」
がっかりしてる先輩。
悪い、真紀の策略なんだ。心の中で謝った。
「どうかこのまま好きでいさせてくれ。再度アタックさせてくれ。チャンスが欲しい。君たちがこれから何か月、何年、いや一生かもしれないが、いつまで付き合って居kるのかはわからないだろう?今の俺は負け犬だがきっと君を振り向かせてみせる」
先輩は中庭から走っていった。
「はぁ、助かったよ真尋くん。お断り要員お疲れさまです」
「おいおい、先輩勘違いしてるぞ。僕が彼氏と思ってるぞ」
「そう思わせるために連れてきたんだからいいの。真尋くんがいたからしつこくなかったんだよ」
真紀は笑顔で答えた。可愛いじゃねーか。
真紀が言うには、彼氏がいると言ってもその場にいないとしつこく食い下がるらしい。
ひどい奴は付きまといストーカーになる場合も。
「事前に言ってくれよ。心の準備ができてなかったから焦ったよ」
「言ったらイヤがってこなかったでしょ」
「まあね」
そりゃ知ってたら来ないよ。
「真尋くんがよかったら本当の彼氏になる?おっぱいだって好きにしていいんだよ?」
「え、おっぱい!?」
なにその条件。立候補していいですか?
真紀は僕の腰に手をまわし、上目遣いで僕を見つめる。
だめだぁ、そんな目で見ないで!落とされちゃうー!
「あー、真尋くんだー」
大声で名前を呼ばれ振り返ると遥が走ってきた。由香もいる。
「はい、ドーン!」
背中に飛び乗ってくる遥。
おっぱいはちいさいけど体は柔らかい。
「告白どうだったー?」
「もう、せっかくいい所だったのにー。もう1分遅く来てよ」
なぜか遥と真紀の会話がかみあってない。
「さぁ、まーくん帰りますよ」
「お茶飲んで帰ろうよー」
「いいですね。駅前のカフェに行きたいです」
はぁ、もう好きにしてくれ。
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