第10話 ラブラブショット
「読書って”幼馴染がおれの息子をおっきさせる件”だよね」
はぁぁぁぁぁ????
何言ってくれてるのこの人!ギャーーーーッ!!恥ずかしい!!!
悶絶する僕に、いい笑顔をむけてくる。
「大丈夫だよ。内緒にするよ。あたし美味しいご飯食べたいなぁ」
チラッ、チラッと雄介のほうを見ながらとんでもねーこと言いやがる。
脅しか?僕は脅されてるのか?僕は脅しに屈するのか?
「稲川さん。今度、美味しいものをご馳走するね」
……負けじゃないか。
稲川さんは、由香と小林さんとハイタッチ!
由香と小林さんもいい笑顔だ。こんな状況じゃなきゃ惚れるよ。
あれ、それって他の2人にも驕るの!?
小さく頷く稲川さんが悪魔に見えた。
淳一が買ってきた飲み物で一休みをして山登りを開始した。
体力なしグループのペースにあわせてゆっくりと。
「あ、頂上の神社が見えてきたよ」
淳一の声に前を見上げると遠くに神社が見える。
「ほら、まーくん頑張って。真紀も遙もあと少しだよ」
由香に応援してもらった。
くたくたの体に鞭を入れ、なんとか頂上の神社にたどり着いた。
「お疲れ。少し休むか?」
雄介の言葉に、僕、小林さん、稲川さんは木陰に座り込む。
「疲れたー。遊びに来たのに訓練とかマジ勘弁」
雄介と由香に運動しろと説教された。
隣にいた稲川さんに、
「運動しろだって。夜にベッドでプロレスとかして鍛えてみる?」
稲川さんからは、2人で鍛えようねとノリのいい返事がきた。
おうふっ、由香にパンチされた。
みんなで神社を参拝。
お賽銭5円投入。
「素敵な彼女ができますように!」
隣のカップルに笑われても気にしない。
切実な願いだから。
「まーくんは彼女欲しいんだ」
「欲しいに決まってる」
「エッチなことしたいだけでしょ」
「するに決まってる。裸で抱き合って愛を確かめあうんだ」
高校生の男なんてみんなサルに決まってるだろ。
「女の子だってそうだよ」
小林さん、ナイスフォロー。僕とサルになりませんか?
「真紀も変なこと言わないで。変態が付け上がるから」
「そう?真尋くんは優良物件じゃない?守ってあげたくなるタイプで」
それって褒められてる気がしないんですが。
山の上からの景色はとても気持ちいい。
みんなで集合写真を撮った。
あと、個別に2ショット。
写真の撮り方でも性格がでるのが面白い。
雄介はおちゃらけたポーズで写真に写ろうとする。
稲川さんもこのタイプだ。
小林さんと淳一は一歩引いて笑顔で写る感じ。
僕や由香は何も考えないで立ってるだけ。しかも表情硬かったり。
雄介にベンチに座っている姿を撮ってもらう。
「撮るぞー。はい、チーズ!」
写真を撮る瞬間に、後ろから抱きしめられて頬にキスの感触。
柑橘系の香りと、足りない胸部装甲。稲川さんだろ。
「いえーぃ。ラブラブショットでーす」
稲川さん可愛いすぎだろ。
「キスは頬でなく唇にするのがいいと思います」
「しまったぁ。そうだったのかぁ」
稲川さんのノリはどこから来てるのだろうか?
フレンドリーすぎる。これ絶対に男が勘違いするやつだ。
あぶねー。あやうく告白しちゃうところだった。
それを見ていた小林さんがニコニコしながら隣に座る。
小林さんは雄介にもう一枚写真を撮ってとお願い。
「いいかー。はい、チーズ!」
写真を撮る瞬間に、小林さんは僕の頭を胸に抱えた。
大きいお胸に顔が埋まる。あぁ、幸せってこれなんだ。
お胸の中で深呼吸すると甘い香りが。
脳みそが溶けそうになる。ずっとこうしていたい。
「ラブラブショットでーす」
小林さん、あんた神や。
雄介や淳一が羨ましそうな顔をしている。
そして由香の冷たい表情。怖すぎだろ。
「由香も一緒に撮るか?」
由香は無言で僕の隣に座り、笑ってない笑顔向けてくれた。
「んじゃいくぞー。はい、チーズ!」
由香は何もしないで写真に写った。
あれー、唇にでもキスしてくるかと思ったけど何も無し。
ただ隣に座り、手を握ってきただけ。
「うん、いい写真が撮れたぞー。手をつないでカップルみたいだぞ」
雄介、頬がぴくぴくしてるよ。
お前も一緒に写真撮ったら?
雄介が由香に声を掛けようとするが、由香は気づかず歩いて行った。
どんまい!
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