第9話 弁天橋


適当に昼食を食べて江ノ島に向かった。

日曜日のなので観光客がものすごく多い。

島に渡る橋も混んでいて真っ直ぐに歩けないほどだ。


「はぐれないように。もしはぐれたら携帯で連絡をとって合流しよう」


雄介の言葉だが、わずか1分で雄介は消えた。

次に消えたのは小林さんと稲川さん。

そして淳一。わざとか?いなくなるの早すぎやしませんかね?


「由香、手つなぐぞ」


由香の手をとり人ごみを縫うように歩く。

最初は普通に手をつないでたが、途中で恋人つなぎに変更された。

これは女の見栄かもしれない。


「とりあえず島に渡った所にある公衆トイレ前に集合な」


雄介から掛かってきた内容を淳一にメールで伝えた。

由香から女子2人に連絡をして貰い、ゆっくり橋を渡ることに。

 

「由香、人が多いから手を離すね。腕につかまって僕に密着して」


頷いた由香は僕の腕にしがみついた。

いや、実は迷子対策じゃなくて由香のおっぱいを感じたかっただけ。

むふふ、柔らかで弾力のあるおっぱい最高です。


「まーくん、何でにやけてるの?変な事考えてない?」

「考えるわけないだろ。お前とはぐれないようにするので一生懸命だ」


あぶねーよ。何でわかったの?勘鋭すぎでしょ。

はぁ、由香のおっぱい揉みてーよ。今触ったら怒られるかな。

ちらちら横からおっぱいを見ていたら後ろから衝撃をうけた。


「はい、ドーン!」


この混雑の中で稲川さんが突然背中に乗ってきた。

 

「はい、真尋くんはこのままおんぶね。沢山の人の中いちゃいちゃしてる罰です。拒否はできませんし、させませんよ」


左手を由香に掴まれてるので、右手で稲川さんのお尻を支える。


「真尋くん、私のお尻はどうですか。めっちゃ掴んでいますが」

「柔らかくて最高です」


おうふっ。由香がわき腹をパンチ!

ふざけるなと怒られてしまった。


「じゃあ、私はこっち」


背中から下りた稲川さんは右手にぴとっと密着。

歩きにくいよ!


「あとちょっとだ頑張れ真尋くん」

「まーくんは男でしょ。気合いを入れなさい」

「気合いとか関係ないんですが。普通に腕組めばよくない?密着してるから歩きづらいんですけど」


無視される僕の発言。にこやかな笑顔の2人。

ちくしょー。こうなったら腕の神経に集中だ。おっぱいとちっぱいに全神経を集中させろ。感覚を研ぎ澄ませるんだ!

ゴールまであと少し。集中しろ僕。


「はい、連結~」


後ろから腰を抱かれた。小林さんだ!

お胸が背中にあたってるぅぅぅ。


「仲間はずれはイヤ。私もくっつく」


左右後ろにおっぱいを感じながら進む。幸せや。もう一遍の悔いもなし。

って違う。あとちょっとだ。頑張るんだ。


あ、雄介と淳一がいる。


「ねぇ、雄介と淳一がいる。離れて。暑いし恥ずかしい」


3人はすぐに離れたが、離れ際に稲川さんが


「じゃあ今度は真尋くんの部屋でサウナごっこねー」


と言いながら離れていった。サウナごっこってなんだ?

あれか部屋でストーブをがんがんに焚いて汗かくのか?そんでサウナ入る時みたいにタオルを巻いて隣に座るとか?

汗かいて一緒にダイエット??

いやいや、新手の風俗プレイ?マジわからない。まぁ、いいや。


「おー、やっと来たか。待ちわびたぞ」

「ゴメン、皆すぐにはぐれたな。稲川さんと小林さんはすぐそこで拾った。由香とははぐれなかったよ」

「慎重に進まないとダメだな」


これから向かう山頂まで混雑は続くだろう。慎重に行くか。

おっぱいはよかったが3人に囲まれるとマジ動けなくなる。

暑いし重いし。


やべー、喉乾いたよ。

 

「ちょっと休憩したい。喉渇いた」


由香が小走りで自動販売機まで行き、コーラを買ってきてくれた。

コーラうめー!半分飲んで由香に渡す。

 

「お待たせ。そんじゃ行きますか」


慎重にゆっくり進みだした僕たち。

皆が着いてきてるか確認しながら慎重に。

こんどは大丈夫みたい。

ゆっくり時間をかけて山頂の神社に向かった。


「淳一は上りでも余裕そうだね」


スポーツマン系の淳一は呼吸も乱さず山を登る。

雄介と由香もまだ余裕がありそうだ。

それに比べて僕や小林さん、稲川さんは虫の息である。


「はーい、遙は休憩したいでーす」

「真紀も右に同じ」

「真尋もそれに続きます」


体力のない3人のセリフに雄介たちは笑ってた。


「んじゃ休憩するか。端っこよって一休みしよう」

「飲み物買ってくるよ」

 

淳一は気がきくなぁ。心遣いできる男はポイント高いよ?

息を切らした僕を見ながら雄介は、


「しかし真尋は体力ねーな。宮原さんを見習って運動をしろ」

「無理、僕インドア派だから。趣味は読書だから」


稲川さんがふと思い出したように僕に言った。小声で。


「読書って”幼馴染がおれの息子をおっきさせる件”だよね」



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