第3話 告白


その日の晩。今日は宮原家での食事だった。

由香の母親、宮原裕子(みやはらゆうこ)さんの作った中華料理を由香と3人で食べながら今日一日の話をする。

僕の母親の前川綾子(まえかわあやこ)は仕事。


「2人とも学校はどうだった?」

「うーん、普通。ひとり見た目はちゃらい感じだけどイイ奴と友達になった」

「私はね、仲のいい子2人できたよ。どっちの子もとっても可愛いの」

「あら、そうなの?2人とも友達できてよかったわね」


裕子ママに今日の出来事を面白おかしく説明をした。


「でも、2人が同じクラスなんて運命感じるわ」

 

確かにすごい確率だよな。僕もそう思う。


「お母さん、まーくんね、学校では全然話してくれないんだよ。ひどいよね泣きそうになったよ!そっけないし。幼馴染なのに!」


「恥ずかしいだろ。お前すぐにくっついてくるし」


裕子ママは、あらあらと微笑ましく見ている。


「学校じゃ普通にしてるよ!まーくんいなかったから帰りにさっそく告白されちゃったじゃない!」

「え、初日に?勇者いるんだね」


帰りにいきなり呼び止められて告白されたらしい。

4組の男子らしいが名前覚えていないと。哀れ。


「今日はじめて会ったひとに告白と意味不明なんだけど。人の中身なんて見ないで外見で告白っておかしいでしょ」

「一目惚れなんじゃない?しらないけど」


そんな男は気持ち悪いだのぶーぶー文句を言う由香が微笑ましい。


「でも由香ちゃん。あなたそんなんじゃいつまでたっても彼氏ができないわよ?ずっと一人で寂しくなっちゃうわよ?」

「ママまでそんなこと言う。そしたらまーくんと結婚すればいいんでしょ。もうすでに家族みたいなものじゃない。戸籍が変わるくらいで」


あー、まあそうだね。


「ママはまーくんなら大賛成だけどね。でもまーくんにいい人できたら由香はどうするのかしら?まーくんかっこいいから泣いてもしらないわよ?」


裕子ママまじでからかいにいってんなー。必死な由香も可愛いが。

家はいつもこんな感じだ。由香のこんな姿見たらクラスメイトはびっくりするんだろうな。

学校では淑女なんだけどね。






ある日の放課後。

雄介がいきなり話を振ってきた。


「真尋、今日も宮原さんが呼び出し受けてるぞ。屋上に上がる階段だ。見に行かないか?バレー部キャプテンだって」

「面倒だからパス」

「バカ、お前気にならないの?」


全然気にならない。由香が告白受けるとかありえない。

雄介と、”行こうぜ!イヤだ””行こうぜ!イヤだ”を何回か繰り返しているうちに由香が教室に戻ってきた。

小林さんと稲川さんが由香に近づいて話しかけてる。

あ、雄介もなぜか参加してる。


「宮原さんちーすっ。バレー部キャプテンどうだった?もう噂になってるよ」

「噂もなにも知らない人ですから。話したこともないのに愛してるとか馬鹿な人でしたよ?本当に頭にくる。君は僕に相応しいとか意味わかりません。何回断ってもしつこいし」


ぶふっ、由香そうとう怒ってる。思わず噴出しそうになった。

小林さんと稲川さんが必死に宥めてる。

告白であんなに怒るのは珍しい。


「あの人は何回断られても、恥ずかしがらなくていいよとか勘違い発言してくるんですよ。頭おかしいです。前川くんどう思います?」


僕に振るか!

小林さんも稲川さんも由香が突然僕に話しかけたことにびっくりしてるぞ。

あと雄介も。


「僕に関係ないからどうでもいいです」


由香は前川くん冷たいとか騒いでる。

それより僕は小林さんのおっぱいのほうが非常に気になるんだが。


「おい真尋いいのか?宮原さんに冷たい態度とって。せっかく話し振ってくれたのに。もったいないぞ」


雄介、僕は本当にどうでもいいんだ。

それより前かがみで由香と話している小林さんのおっぱいのほうが気になってしょうがない。


ふと、視線を感じ横を見ると由香がこっちを見ていた。

小林さんのおっぱいがそんなに気になるのか?と目で訴えかけてきている。

少し怖いんだが。


「僕、今日用事があるから帰るわ。じゃ、また明日ね、バイバイ」


そそくさと逃げるように学校をでた。


 


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