第2話 入学式


入学式当日。

由香と家を出た。学校までは歩いて20分。近場の学校を選んでよかった。電車通学も少し憧れたが、最初は平気でもすぐに面倒になるだろう。受験はかなり努力することになったが、家から近い学校にしてよかった。


「「行ってきます」」


家の中には誰もいないが挨拶は必ずする。一人のときでも必ずするルール。 前川家と宮原家には独自ルールがいくつかある。まぁ、家ごとの特殊なルールは珍しくないけどね。うちらは互いを本当の家族として行動するようなルールが沢山あるんだ。



由香と高校まで歩く。

大通りに出るとこれから通う県立平塚翔陽高校の生徒が沢山歩いている。新品の制服をきて緊張しながら歩いてるのは新入生だとすぐにわかる。僕もあんな感じに見えているのかな。


「由香、緊張するな」

「そう?私は平気だよ。まーくんは緊張してるの?」

「あぁ、少しな」


新入生の波に流されながら俺達は学校に着いた。

学校の昇降口にクラス分けが書いてあるでかいボードがあった。

クラスは全部で5つ。1組から5組まで。


「あ、名前あった。僕5組だわ」

「私も5組だよ。まーくんの下のほうにあるよ」


同じクラスか。よかったのか?



クラスに移動して指定されている席に座った。

担任の先生が教室に入ってくた。


「はじめまして。私はこのクラスの担任の安藤文乃(あんどうふみの)だ。一年間よろしく頼む。自己紹介をしたい所だがこれから入学式だ。体育館に移動をするから順番に列で着いてきてくれ」


5組は体育館に移動した。


入学式開始。校長や県のお偉いさんの話が続く。早速眠いぞ。

隣の席に座っているちゃらい系男子が僕に話しかけてくる。


「俺、本田雄介(ほんだゆうすけ)。よろしく。一年間よろしくな」


そっと手を出してきたので握手をする。


「僕は前川真尋。どうぞよろしく」


入学式の最中は彼とずっと話をしていた。結構イイ奴だった。

式が終わり教室戻る。

その日は自己紹介や部活の説明、学校内の説明で終わった。

 

1年5組は男14人女16人の合計30人。同じ中学の生徒は学年に

何人かいたが、同じクラスには由香だけだ。


昼前に初日は終わる。仲良くなった本田くんと少し話す。


「俺、初登校に少し緊張してたよ。友達できるか?とか」

「あ、本田くんも?僕もそう。今日寝不足だし」


寝不足の理由は違うがな。おっぱいおっぱい。


「このクラスさぁ、可愛い子多くね?中学のときと大違いなんだけど」


たしかにこのクラスには可愛い子が多いと思った。由香は超絶美人なのは知っているが、それ以外にもおかしいくらいに可愛い子達がいる。

他のクラスはそうでもないが1年5組には可愛い女の子が集中しているような気がするのだ。僕はウェルカムだが、学校側の陰謀を感じる。

何の陰謀か知らないけど。とにかくラッキーなのだ。

 

「俺は人生の運の3分の1を使った気がするぜ」


本田君は大げさな人だった。


「俺は雄介って呼んでくれ。真尋って呼んでいいか?」

「構わないよ、雄介」

「真尋、誰が好みの女の子?」


うーん、いきなりの質問きた!


「僕は小林真紀(こばやしまき)さんかな。物静かな感じの巨乳とすらっと背の高いナイスバディ。大人びた顔立ちがすごくいい」

「でもこのクラスでぶっ飛んで美人は宮原由香さんじゃね?」


あー、まぁそうだよね。由香は10人中10人が振り返る美人だ。

それは僕が一番知ってる。


「宮原さんかぁ。たしかに美人度はぶっちぎりだよね。このクラスどころか地域いや、県単位でも上位に入りそうだよ」


うんうんと頷く雄介。


「アプローチすっかなぁ?」


えー、由香かぁ。無理だと思うよ。

だって由香は恋愛に興味持ってないから。

むしろ逆に恋愛を嫌っているようにも感じる。中学校のときも毎日のように告白されていたけど、全部断っていたし。理由はしらない。

女の子とはもの凄く仲いい子はいたけど、男友達は皆無だったし。

男でまともに話できるのは、僕くらいだったし。僕はそもそも家族枠だから性別とか関係ないし。


「頑張ってね。邪魔もしなければ応援もしないけど、僕は雄介を見守るよ」

「真尋は同じ中学だったんだよな?宮原さんのこと教えてくれ」


まぁ、学校での由香を教えてあげた。家での由香は内緒だが。

由香のほうをふと見ると、さっき僕が可愛いと言った小林さんや、ボーイッシュでキュートな感じの稲川遙(いながわはるか)さんと楽しそうに話をしていた。


仲のいい友達ができるのはいいことだ。


 


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