第114話 水着

 俺達は荷物を置いて近くに海があるので、そこに向かう。このストーリーは箸休め的な感じで行われた物語である。海にクラーケンが発生してそのせいで客が来なくて貸し切りの異世界旅館を楽しむという内容だ。



 さて、俺達は砂浜に到着したのだが人が全くいない。貸し切り状態である。



「人いないですね……人と言うより妖精ですけど……」

「クラーケンってありがちね……今は居ないみたいだけど」

「それより、早く泳ぎたい……」

「水着は流石に持ってきてないよ」


貸し切り状態のビーチ。そして、水着がない俺達がだがそこはメルがちゃんとフォローしてくれて魔装で水着を作ってくれている。



「ほな、これ使ってぇな」



と言うわけで全員魔装起動する。コハクは白のビキニで胸元の谷間の線が長い。えげつないです、コハクさん……


萌黄もビキニで谷間が見える、足が何よりエロい。もっと隠してほしいと思う。



アオイはフィットネスな感じの水着で隠している面積が多いけどそれが爽やかで素晴らしい。楽しく純粋に過ごすことが出来そうな感じがする。



そして……



「ちょっと!!!!??? なんで、私だけスク水なのよ!!!!」



火蓮だけスクール水着で胸元に『かれん』と名前がゼッケンのようにつけられていた。


「え? それが人間界の水着なんやろ?」

「そうだけど!! なんで私だけこんなんなのよ!! 絶対悪意あるでしょ!!」

「ほんま、すまん!」

「ううぅ、まぁ、いいけどさ……ロリ枠じゃないのよ、私は……」



彼女は何というか、逆に良い感じがする。因みに俺は火蓮のスク水姿は好きである。



「俺は好きですよ! スク水!」

「うん、まぁ、それなら、この格好もやぶさかではないけど……さ」

「ええ!? だったら、私もスク水に!!」

「あーしもスク水」

「じゃあ、ついでに僕もスク水で……」

「え? 悪いんやけど、それしかないで」



と言うわけで取りあえず皆で海で過ごすことになるだが……


「ううぅ……」

「火蓮先輩泳がないんですか?」

「気持ちいいよ」

「あ、そう言えば火蓮ちゃんって……」



何でも出来る火原火蓮。運動神経抜群でテストなんて教科書サラッと一周したら余裕で満点、どんなことでも大体できる。成長速度がチート。欠点なんてほどんどない程の彼女は……火原火蓮は泳げないのだ。



「泳げないのよ……私は……」

「そうなんですか……」

「じゃあ、皆で砂場で……」

「気にしなくていいわよ」


彼女はそう言った。海水浴を自分のせいで盛り下げない様にするための彼女の配慮。


「気にしますよ。一人だけ砂場から見られても辛気臭いですから」



コハクはそう言うとしょうがないという雰囲気を出しながら水から上がろうとする。


「仕方ないから、ビーチボールでもしましょう。それでいいですよね?」

「うん……」

「そうだね……」

「皆……」



感動した……涙が出てきやがる……。彼女達の絆に感動してなんも言えねぇ……ぜ


「もう、貴方のせいで十六夜君が泣いちゃったじゃないですか!!」

「わ、私のせいとは限らないでしょ!」

「火蓮のせいだと思う」

「えええ!?」

「僕もそう思う」

「うう、ゴ、ごめんね? 十六夜、泣かしちゃって」

「気にしないでください!!!!」



さて、このまま彼女達とビーチボールと洒落込むか。やはり、皆で色々やった方が楽しいことは間違いない。


彼女達は砂場に上がってビーチボールを始める為にチーム分けをして、メルがビーチボールを持ってきてくれた。




メルは実家の親と色々話すことがあるらしいため、一旦旅館に戻った。そう言えばメルは旅館の娘だったな。そこから学院に進学して……天才と言う二つ名をほしいままにした天才。だけど、魔族に勝てずに人間に力を借りてるから今回俺達をここに招いたという設定。


今頃はクラーケンの調査をしつつ、夕飯でも作っているだろうな。色々迷惑かけているからな。全部が終わったらちゃんとお礼を言って現代の食糧色々渡さないとな。


「十六夜くーん。ビーチバレーしましょう!」


まぁ、五人いるわけで二対二の対戦と言うことで俺は審判である。因みにこの世界にはビーチバレーと似たような競技があるのでネットも審判台もある。


コハク&萌黄VSアオイ&火蓮で対決である。



「ふふふ、ここで私の力を見せてあげますよ」

「まぁ、ほどほどにしようね」

「メインヒロインはこういう事にも手は抜かないのよ」

「負けるより勝つ方がいい」



コハクのサーブから試合が始まる。こ、コハクの胸が……萌黄も……


「クロ?」

「あ、はい!?」

「今、アウトじゃなかった?」

「え? えっと」

「どうせ、胸見てたんでしょ? フンッ」


アオイが審議をしてくるがコハクと萌黄側の方しか見てなかった……火蓮もそれに気付いたようでそっぽを向いてぷんぷんモードに入ってしまう。いけない、いけない、ちゃんと審判をしよう。


コハクのゴムを咥えて髪を纏めて縛る仕草も可愛い……と言うか皆可愛い。



そこからは厳正なる審判をした。魔装少女達の対戦のビーチバレーの試合のレベルは物凄く高い物だった。


コハクの一人時間差……揺れて……じゃなかったナイスフェイント。萌黄の腰を低くしてレシーブの動きが……揺れて、じゃかなった次の動きがしっかりできる良い、レシーブ。



アオイの予想もしない最高の動き。本当に爽やかでだけど、目が引き付けられる。トスはしっかり指の腹で上げて、レシーブも火蓮の場所に上げる。やましいことなんて何一つない。


しかし、ビキニの下着のゴムをパチンとやるのは何か、つい見てしまう。



火蓮はスク水だからそれだけでなんか、可愛い。単純に純粋な可愛さがあるから何の文句もつけようがない。それと、砂で足場が悪くて転ぶときに声が高くなるのが何か、可愛い。



と言うわけで、ちゃんと審判できました。





因みにだがクラーケンは現れたのだがアオイが水を操って撃退した。これは確か本来のストーリーでもあったな。


恐らくだけど夕飯はそれが刺身で出てくるはずだ。色々遊び過ぎた俺達は思い出を胸に抱きながらお風呂の入ることになる。



しかし、ここで問題となるのはこの旅館……現在人が来ないから女風呂しか動かしていないのだ。つまり……混浴になる可能性が……いや、後に入ればいいだけか。





◆◆




  僕たちは遊びに遊んでくたくた。お腹もすいたので旅館へと戻った。そして、お風呂に入ることにしたいのだが



「女風呂しか機能していないんですか!?」

「すまへんなぁ。客が来ないから女風呂しかお湯は無いんや。まぁ、別に一緒でもええやろ?」



コハクちゃんは驚いた声を上げて、メルちゃんが色々説明する。アオイちゃんが倒したクラーケンのせいで客足が伸びず、休業のような形をとっていたらしいのだ。その為、お風呂は片方しか使えないらしい



「じゃあ、俺は後で……」

「いえ、一緒に入りましょう」

「え、でも…‥」

「十六夜君も、もう汗とかでべとべとですよね?」

「ええ、まぁ」

「だったら、直ぐにでも綺麗にしないと」

「うん、クロも一緒に入ろう」

「えええ!?」



コハクちゃんだけでなくアオイちゃんも肯定の意思を示す。


「まぁ、私も一人だけ海に入れない時に色々あったから、十六夜も、その、入ればいいんじゃない?」


火蓮ちゃんは恥ずかしそうにしながら入ることを肯定する。僕だって恥ずかしいけど彼だけ一人ぼっちは嫌だから肯定である。



「だ、ダメじゃ……」

「良いと思うよ。君も遠慮しすぎない。はい、行くよ」



僕は彼の背中を押して女風呂の方に運ぶ。


「萌黄ってあんな強引だったっけ?」

「私も思いました……」

「何か、あったのかもね……」



不味い、バレない様にこれからはこう言った事は控えよう。恋人関係は秘密にしないと……




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