銀ノ章3
ご注意点。基本的に『今の所、世界の命運は俺にかかっている』はヤル描写は無いのですが今回は外伝と言う事もあり、今回は違います。もし、そういうのが苦手の読者がいらっしゃいましたら今回の話は抜かして読んでいただけると幸いです。
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俺は今お風呂に入っています。この世界の主人公である銀堂コハクと一緒に……いやいや、体がガチガチに硬くなっている。上半身は緊張で下半身は……特に何も言わない。腰にタオルを巻いているから特にバレる事もないしな。
俺の後ろではゴシゴシと彼女がボディタオルで洗ってくれている。この世界と本来の世界、この時点で若干の相違点がある。例えるならまず銀堂コハクに彼氏なんていない。存在しない。そして、髪も短髪じゃない、長髪なんだ。
「痒い所はありませんか?」
「ひゃい」
なんで、毎回耳元で囁くんだこの後輩主人公!? お風呂の中で音の反響が凄い。全身の細胞が震える。グラグラと理性の棒が倒されそうになる。
「大分、体が硬くなっていますが大丈夫ですか? もしかして私と一緒に入るのは嫌なのですか?」
「いえ、そそそそんなことは」
「なら、良かったです。前の方も洗いましょうか?」
「前!? まえ!? ⅯAE!?」
「はい」
「はいって……その、前ってダメじゃないですか!? そもそも、お風呂に入るのもためらわれるのに」
「私は良いですよ。軽くコリをほぐす感じで優しく撫でるように洗いますよ」
な、何なのこの主人公!? ダメだろう。こんなの絶対。コリをほぐす!? 何のコリだよ!? 優しく撫でるようにって、こっちの色んなものが暴発するわ!!
本当はしてほしいけど、心の何処かで何かが決めかねているのか、俺自身が拒んでしまう。
「いえ、自分で洗います!!」
「そうですか。まぁ、大体予想してましたけど……」
彼女はあっさりボディタオルを俺に渡した。この感じから予想するに最初からからかっていただけか? クソ、この後輩彼女……くぁわいいから憎めない。その後は普通に洗って二人で湯船に浸かった。
彼女と向かい合う。銀髪のショートの湯船に浸かる姿、こんな彼女のはストーリーでも見たことはないがソシャゲアプリの限定激レアなキャラを当てた以上の感動だ。
艶とホクホクで食べごろの感じの肉感と言い、鎖骨のエロさと言い、普通に可愛くてなんだよこの女神。別次元の生き物。そして、こんな人が俺の彼女という幸福感。
「先輩チラチラ見ないでください」
「あ、すいません」
流石に彼女とは言えチラチラは不味かったのかもしれない。
「みるならガッツリ、全部見てください」
ええ!? いいんかい!? ここまでイケイケで美女後輩って俺のストライクゾーンガッツリ入っとる!? 彼女はバスタオルを僅かに崩して、胸の露出を多くして一気に雰囲気がエロくなる。元々エロいけど。
彼女の顔を見るとちょっと、ニヤニヤしていた。この後輩、からかい癖が付いてやがるな……でも、見て良いのか……見て良いのか……じゃあ、見よう。ここで逆に遠慮するのももったいない感じもするし。
「じゃあ、見ます!」
「え?」
彼女をしっかりと目に焼き付ける。眼福、眼福。そう言えば、以前、母親に彼女ができたと報告して写真を見せた時……
『あら、私のそっくりで可愛い子ね』
『……ええ、そうなのか?』
『二割冗談よ。それより、いい、しっかりと想いを伝えないとだめよ。じゃないと別れちゃうかもしれないわよ』
『ありがと。参考にする……』
『あと、十六夜の話を聞いて思ったんだけどその子、意外と承認欲求があるのかもしれないわね。私を見て、私だけを見て、貴方に褒められたい、もっと好きになって欲しい。そう言った感情がヒシヒシと伝わってくるわ。十六夜限定の承認欲求ね。十六夜、相手の子のことをもっと愛してあげなさい』
前半はそれは無いと思って無視をしてしまったが、後半はかなり重要な情報だった。俺だってここまで最高な彼女ができたら別れたくはない。だとするのであればしっかりと想いを告げないといけない。もしかしたら、彼女はからかい癖が付いたのではなく、もっと褒めて欲しかったのか? スタイルが良いねとか、可愛いねとか。もっと、褒めた事はあったが褒めたりないのかもしれない。
それもそうだ。彼女は人気投票一位。簡単に言えばこの世界の生態系の頂点ともいえる。それなのにちょっと可愛いとかで済むわけなよね。だとするのであれば……
「銀堂さんって滅茶苦茶可愛いですね」
「あ、え?」
「それだけじゃないです。細かいところまで気が利いて、誰にも負けない勇気があって、困っている人を助ける行動力、服のセンスも凄いですし、外見なんてもう、女神の生まれ変わりですかって言う位整いすぎて、まつ毛も長いし、髪もふさふさ、貴方以上の女性っていないと思います! 可愛すぎです! 俺の彼女になってくれてありがとうございます! 俺は世界一幸せです!」
「あぅあぅあぅ……」
「そんな最高の貴方をガッツリ見てもいいですか!?」
お風呂中でタオル一丁で何を言っているんだろうかと俺自身感じている。しかし、俺はこの人が自分から離れていってほしくない。俺も彼女の事が好きだと当たり前だが再確認する。一人の女性として好きなのだと。
そうか……俺は……なら、もっとガツガツ行こう。だって、俺だって好きでいてほしいから。
と俺自身が覚醒したら彼女は直ぐにタオルで出来る限り自分の肌を隠して、さらに言うなら手で顔も隠した。
「ダメです……見な、いで……恥ずか、しいから……」
「ええ!? 何も恥ずかしがることは無いですよ!? こんなに最高に可愛いんですから、何を恥ずかしがることがあるんですか!?」
「っ……そういう意味じゃないです! な、何で急にそんなグイグイ来るんですか!? もう、私、あがります!!」
彼女はピューンと逃げるように出て行ってしまった。
◆◆
俺が風呂から上がって、リビングに行くとソファにパジャマ姿の彼女が座っていた。いつもの彼女のパターンから行くと着崩したりしているんだが今回は前のボタンを全部キッチリ閉じてパックをしていた。
「あ、コハクさん」
「急に名前呼びしないでください!」
「そんな……でも、もっと距離を縮めるべきだと思いまして」
「何があったんですか!? もう!!」
彼女は洗面台の方に走って行った。先ほどのアピールが失敗したのだろうか。距離を詰め過ぎたのか失敗なのか?
そこまで考えていると洗面台から彼女が帰ってくる。パックを外して恥ずかしそうにしている。
「あの、先輩、ずるいと思います」
「何がですか?」
「急にグイグイ来るの凄くずるいと思います……私は先輩のアタフタする姿が可愛くて、からかっていたのに、さっきから急に今まで以上にグイグイ来て……何なんですか? 私、ちょっと怒ですっ。先輩にからかいポジを取られたような感じがして」
「そんな、俺がからかうなんてとんでもない! 本当の事を言ってるだけなんです! カレーは美味しい、最近のラノベタイトルは長いのが多い。そして、銀堂さんは世界一で女神以上に可愛い! それだけなんです!!」
「ぁぁぁああああああ、ヤメテ、ヤメテ!! 信じられない位恥ずかしいです!!」
「そうですか。なら、やめマ……」
「でも、嬉しいからやっぱりやめないでください!!」
「分かりました! 貴方は世界い……」
「ううっ、嬉しいでしゅ……噛んじゃった……」
顔真っ赤で舌が回らなくなってしまい、噛んでさらに恥ずかしそうに照れる。フッ可愛いじゃないか。
「噛んじゃうコハクさんも可愛いですね!」
「い、一旦、褒めストップでお願いします……」
「その照れた感じも可愛いですね」
「いや、止めてって言ってますよね!?」
俺はただ、正直に言うしかない。独特な表現とか詩的表現は出来ないからな。その後、なんだかんだで一緒に寝ることになりました。ベッドに二人して横になっている。彼女は俺に背を向けている。
「先輩、今日は褒め禁止ですからね」
「はい。分かりました」
「はぁ、からかいが楽しかったのに……」
「からかいがしたかったんですか?」
「だって、先輩が可愛いですから。からかいが楽しくて仕方なかったんです」
そうか。彼女は褒めて欲しいわけではなく、ただ単にからかいがしたかっただけなのか。勘違いした……でも、その勘違いしたおかげで自分自身を見直すことが出来た。
「そうだったんですね……」
「からかい癖の私のこと嫌いになっちゃいましたか?」
「まさか、そんなからかい癖があってちょっとあざとい後輩な、銀堂コハクが俺は好きです」
「――っ!」
そういうと彼女は俺の上に馬乗りになった。
「わ、私が、私がからかうポジなんですよっ。ですから、こ、ここからからかって、あげます、よ」
ゆでだこ状態の彼女は俺の耳を触って顔を近づけた。耳を触るとか、反則だろ。形勢が逆転。別に勝負とかをしてるわけではないが。そう感じた、
「先輩……準備できてますか?」
「な、何の……」
「ふふ、ようやく私のしてほしい顔になった……可愛い……あと、何の準備かって分かってますよね?」
「ひゃ、ひゃい」
完全に彼女のペースに戻された。
「もう一度、聞きますね?」
月の明かりに照らせられた彼女はどうしようもなく魅力的だった……
「準備はできてますか?」
「いや、その……出来ていないです……」
「だとしても、待ちませんけど……」
彼女は俺の口に彼女自身の口を落とした。甘い……それだけで頭がぼうっとする……深い思考に至れない。
「私も……貴方が好きです」
「お、俺も」
「これから、十六夜君って呼んでいいですか?」
「はははは、はい」
「あはっ、可愛いすぎ」
上に乗っている彼女から目が離せない。そして、俺は気付いたら彼女を押し倒していた。今度は俺が彼女を見下ろしていた。
「きて、十六夜君……」
何も考えられない。彼女の口を塞いで……
そこからはよく覚えていない。
◆◆
朝起きると、隣で彼女は寝ていなかった。下に降りると彼女は既に起きていて朝ごはんを作ってくれていた。
「おはようございます」
「あ、お、おおはようございます」
「そんなに、挙動不審にならないでくださいよ。それより、一緒に朝ごはん食べませんか?」
「は、はい」
彼女と一緒に朝ごはんを食べる。
「あの、昨日って……」
「分かっていると思いますが? わざわざ言った方が良いですか?」
「あ、そうですよね……」
やっぱりそうなのか。これは、だとするなら……
「絶対、責任取りますから!」
「はい、お願いしますね。十六夜君!」
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ご注意点。基本的に『今の所、世界の命運は俺にかかっている』はヤル描写は無いのですが今回は外伝と言う事もあり、今回は違います。もし、そういうのが苦手の読者がいらっしゃいましたら今回の話は抜かして読んでいただけると幸いです。
もし、批判が多ければこの話は消します。
モチベーションアップになりますので、★、レビューお願いします。
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