第5話 コミ


「おはようございます!」

調理場での挨拶は昼でも夜でも、これから始まる。

「おう祐司か!待ってたぞ!

これに着替えろ!

靴はそれ。サイズは言ってたサイズにしたから多分大丈夫だ。

服の着方がわからなかったら聞いてくれな!」

と言って、ムッシュは新品の真っ白なコックコートを渡してくれた。

「シェフ!これで自分もシェフの仲間入りっすね!感慨深いっす!」

祐司はテレビドラマで見ていたコックコートを見て、テンション上がりまくりだ。

「祐司、それを着たからってシェフではないんだぞ?

シェフはあくまでもポジションだ。

課長、部長、社長の様に

レストランも様々なポジションがある。

その中でお前の場合はまだ

"コミ"見習いってことだ。」

祐司はコックコートの嬉しさで話半分しか聞いていない。

「了解っす!

あれっすね、まだレベル1みたいなもんっすから。シェフ!レベル上げ頼みましたぜ!」

ムッシュは呆れながら頷き、一階へと降りて行った。

着替え終わった祐司は、鏡の前でポーズ

をとったり、自撮りをして、息満々に階段を降りていくのであった。


それはそうと毎回、祐司は悠花さんと同じシフトである。なぜかと言うとシフト提出の際に、先に出ていた悠花さんのシフトを真似たからである。まさにストーカー行為。

だが、それも最初の月だけの裏技行為。

次の月からは運頼みである。

そのシフト提出まであと6日。

なので祐司は焦っていた。

シフトを聞くと疑われる可能性もある。

なので、連絡先でもと彼は考えていた。

この白い新品の服を着た彼は、いつもより

何でもできる感が高くなっていて

無敵の装備をしたかのような心持ちになっているのであった。


「おはようございます!悠花さん!」

悠花さんはこっちを向いて

「あっ!おはよう!似合ってるね!

カッコいい!今日からシェフのお手伝い頑張ってね!」

祐司のやる気は200%になっていた。

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