第4話 転機


「なんだ、祐司は料理人志望なのか。

オーナーからは元気な体力馬鹿としか聞いてなかったから。」

あははははっ。と笑いながら

ムッシュことシェフがその様子を聞きながら話しかけてきた。

「そうっす!自分イタリアンのシェフ目指してます!」

シェフは頷きながら、すこし考えて

「そうかそうか。

なら明日からすこし教えてやるよ。

あとその格好もどうにかしねーとな。

靴と。

包丁は貸してやっから。

やる気はあるかー?」

祐司は二つ返事で

「イエス!ボス!」


祐司は皿洗いというとこで

自前のスニーカーと母から借りたエプロン姿で皿洗いをしていた。

[洋食レストラン 松の木]

このお店の名前だ。

俺の親父が中学生の時からあるらしい。

白い壁の一軒家で子供の頃は、お城か教会と思っていた。

白いコックコートのシェフが1人で厨房は料理をしている。

昔は3人体制だったらしいが、この不景気により段々と少なくなり、今は1人で回しているそうだ。

先代のシェフから引継ぎ5年ほど今のシェフがやっている。

ちなみに俺の面接をしてくれたのは

先代の奥さんらしい。

すごく良い方でたまに食べに来て、お菓子をくれる。

物静かな方で、とても好感の持てる方だ。

お店は二階もあるが、今はスタッフの更衣室と調理器具と乾物置き場になっている。

スクリーンの様なもので仕切られていて、女性は奥、男性は手前のスペースで着替えて出勤する。

帰りは女性が先に着替えて、男性は後で着替えてかえるのが習慣となっている。

祐司にとっては理想的な順番だ。

なぜなら悠花さんの着替えたあとは

とても良い匂いがする。

祐司にとって仕事終わりの至福の時間であった。

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