第一章
第2話 アルバイト
時は遡り、1週間前。
高校3年生の俺は早く車を運転したく教習所通いをしていた。
もちろんマニュアルで受けている。
別にマニュアルの車を乗るつもりもないが
カッコいいという理由だけで選んだ。
今日は座学のみ受け、腹を空かせて家に帰ると家族みんなそろって夜ご飯を食べるところだった。
俺こと飛鳥祐司は仲の悪い妹と両親との4人家族である。
「おい祐司!お前進学どうするつもりだー?」
親父はシステムエンジニアである。
ちなみに、その親父の息子な訳だが、俺は全くパソコンは出来ない。
「とりあえずフリーターで。
いつ何があるかわかんねーし。
それかバイト先入ればいいっしょ。
明日バイトだし聞いてみるわ。」
さっさと飯を食べ終わらせて俺は逃げるように部屋に帰った。
「あなた、祐司の好きにさせてあげたらいいでしょ。あなたの子なんだから頑固よ。」
父は一瞬俺の部屋の方を見て、ため息を吐くと、お茶を一気に飲み干して、リビングへと向かった。
「そういうところばっかり俺に似るんだからなーあいつは。」と小言を言いながら。
またまた時は遡り、そこから更に
半年前の夏、毎度の如く1回戦で負けた俺は今までと違った日々を過ごし始めた。
1つ目は髪を伸ばす様になったこと。
2つ目は髪を染めるようになったこと。
まだ短いので、伸びたらする予定だ。
3つ目はバイトを出来る様になったことだ。
一応エースで4番だったので、部活動には毎日出ていた。
だがその縛りがなくなった今、彼は目先のお金を求めたのだった。
野球部ということもあり、肉体仕事も考えたが、彼には1つやりたいことがあった。
春から彼は土曜日が好きであった。
なぜなら土曜日22時からのドラマに彼は夢中になっていたからである。
イケメンの主人公が手際よくイタリア料理をつくる様を見て、彼も家で真似をしてみた。
母からは、キッチンが汚い。と怒られることも度々あったが。。。
その主人公のパスタを煽る手つき、盛り付け、白いコックコート。
その全てに彼は憧れを抱いた。
ただやましい気持ちが無いわけではないし、そのドラマを見始めたきっかけは、ヒロインの女優が好きだったからである。
思春期真っ只中の彼には女性のことが頭の7割を占めていて、その主人公はヒロインや他の女性達からもモテモテであったのである。
だが問題があった。
彼の近所にイタリア料理のお店はファミレスしかなかった。
唯一あるのはいつも学校の帰り道で通る所にある一軒家の洋食屋さん。
ネットで漁ると、ちょうどそこのお店も求人しているらしい。
これは!と思い彼は電話をして、面接に漕ぎ着けた。
近所ということもあり、採用の通知は直ぐに来た。
なんで?と思われる方もいるだろう。
彼が買われたのは体力と元気だけである。
求人内容は皿洗い。
彼は皿洗い要員としてバイトを始めたのであった。
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