グラン ド メゾン 〜テレビドラマに憧れて料理人を目指す若者の物語〜

児鳥だよ

Prologue

第1話 シェ ミッシェル

東京 六本木 某所


「おーっ!さすが都会じゃん。

可愛い子めっちゃいる。

まだ1月つーのに薄着やなー。

あの外国人めっちゃカッコいい。

モデルみたいな体型してるじゃん!」

周りをキョロキョロと見ながら歩く男。

身長は170cmほどで茶髪のロン毛。

誰もが一度は通るかも知れないロン毛デビューをした。(本人談)

彼は元々野球部でピッチャーをやっていた。

本人曰くカッコ良いから。という理由だ。

万年1回戦負けのチームで4番でエースというチーム1目立ちたがり屋な男であった。

2年時にやって来た顧問がうるさく、全員強制坊主に。

最初は抵抗していたが、エースナンバーに釣られて彼もまた坊主にしたらしい。

駅から歩き始めて5分ほど。

大通りから一本入り、少し人混みが少なくなってきた中、地図アプリはこの辺りを示している。

「ここが『シェ ミッシェル』か。

思ったよりちっちぇーな。

まあ、ちょっくら有名になって

テレビでて地元に凱旋かな。

お客さんも有名人多いだろうなー。

それで店の予約だけでなくて、

俺の予約もはいっちゃったりして。

うへへへへへ。」

そんな期待を胸に、彼はその扉を開けた。

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