第10話魔法つかい。

「は~い。全員集合したな。」

と先生が一番遅くやって来て集合時間ギリギリでやってきた。

先生がやって来るまで一ノ瀬と新入生3人はあの後に生身にたっぷりと怒られる事になる。途中夢見が


「もしかして生身ちゃん仲間に入りたかった?なら、一緒にセッションしよ!」

と襲いかかったが、生身のカウンターが夢見の溝にクリーンヒットして昨日と同じように夢見は倒れこんだ。

昨日も生身を見ていて思ったんだが生身は小柄だけどかなり強い感じがする。苦木と生身は体格はほとんど一緒だ。

生身は体格の差を体術でカバーしているのかな?

まぁまるで反省していない夢見を見て生身の怒りは頂点に達し先生が来るまで怒れ続けた。

途中、副部長や部長が来たが生身の怒りオーラが凄まじく何も見ていないって感じに座っていた。

さすがに先生が


「話をするから静かにしろ。」

と注意するとまだ怒り足りてない様子だったが、しょうがないと止めてくれた。

そしてダンジョン部全員いるのを確認すると


「まぁ本当はここで荷物チェックアウトがはいるが今日は日帰りだ。ダンジョンがどんなものか分かる事が大切だし、小さなバックと携帯食料や水がしっかりあるなら問題ない。」

と先生は周りを見ながら言った。

そして全員見た後に

「うん!バックはしっかりあるな。でも携帯食料や水を忘れたとか言うバカがいるなら今のうちだぞ。今ならコンビニで揃えらるからな。」

と再び先生は周りを見渡すが誰もその事に申し入れはなく、どうやらみんなちゃんと持ってきたらしい。

その事を確認した先生は


「なら、よし。とりあえず今日は話すにしてもダンジョンに行かないと始まらないからすぐに行くよ。」


と先生はいつものように地面に円を書き始めた。ついに出るか。


「久しぶりにみるな。あれよ~。最近はバス乗ってその後は歩きでダンジョン行くのが多かったしな。いつもつかぇばいいのに~。」

と体力のない田村は先生に不満を言った。

それを聞いた先生は小さく笑い


「こんなのでいってもお前達の為にならないだろ?今回は新入生がいるから初回サービスするだけさ。」

と言って巨大な円の中に複雑な文字が書かれていく。

新入生達は、何をしているんだ?っと言った顔をしていた。

しかし生身だけは先生が今何をしているのかをわかった上で驚愕の表情を浮かべていた。

そして、小さく呟く。


「まさか、魔力が・・。」

と生身が辛うじてその言葉を言うと

先生が書いた巨大な円が光り始めた。


「早く来い!」

と言って困惑している新入生達に発破をかけた。

もう何がおこるかわからない新入生達はゆっくりと巨大な円の中に入っていく。

それを確認した先生は指を鳴らした。

次の瞬間景色が歪み始める。

それを見た新入生の反応は様々だった。


「え?え?なにになに!?」

と意外にも一番びびっているのは夢見だった。正直一番びっくりするのは苦木かなと勝手に思っていたが。

そう思って苦木を見てみると


「うわ~。」

と自分が見たことない世界に感動の声をあげていた。苦木はわりと肝は座っているんだな。

それいつもあれば夢見に襲われずに済むのに。


「見てっす!カスミ先輩!」

と言って岬はまわりの風景が歪んでいることに大はしゃぎしている。

まぁ岬らしいな。

それを必死に副部長に伝える様子は子供が必死に親に誉めて貰おうと動いているように見えた。

しかし副部長の反応は、


「はいはい。すごいね。」

となげやりな反応だった。

確かに副部長は、何回か見ているからたいして特別じゃないのかも知れない。確かに副部長は、テキトーがモットーなくらいだらけている人だが相手にある程度は合わせてくれる人だ。

それを見た岬はちょっと悲しそうな顔をしていた。

何か岬と副部長の間には何からあるのか?と考えていると


「どれくらいで着くんですか?」

とこの電車がどこ行きなのか?と 同じような感じで生身は巨大な円の真ん中にいる先生に聞いていた。


「あと、1分もしないうちにつくさ。」


「先生は魔法が使えるんですか?」

と生身は聞いていた。

魔法。これも現在は使える人が極端に少なくなった昔の技術である。

自分も先生からこれを見せられた時にびっくりもしたが、それと同じくくらいに魔法に興味を持った。

だから、ある程度は魔法については勉強している。

そもそも魔物がいなくなったのは自然界の魔素の減少だと言われている。なぜ魔素が減りだしたのかは分からない。ただ現在魔素はもうなくなってしまったらしい。だから、いくら勉強しても魔素は誰も使えない筈だった。

しかし、稀に体の中のどこかに魔素を体内で造れる人が生まれる事がある。

先生もその体内で魔素を造れる1人だ。ちなみに昔はその魔素を保管でないかと研究していたらしいが、どうもうまくいかなかったらしい。


「いや、使えない。私のは小さな手品だ。」

と笑いながら先生は生身の方に向いた。先生は自分が魔法を使っている事を認めようとしない。

必ず手品だと言ってくる。

そんな先生に生身は何から言ったそうだったが、その前に周りの歪みが収まり始めた。

そして、ハッキリと見えるようになるとそこは、目的地のダンジョン。

竜の胃袋だった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る