第7話少女に宿る亡霊よ
今日の準備をする為に一ノ瀬達は、
家庭科室の外側に来ていた。
ここならば水などが近くにあるし部室から近い為とてもやり易い。
それなら家庭科室から包丁など借り
ればいのにと思われるかも知れない
。そもそも家庭科室の中では駄目なのか?と言う意見もあるだろう。
一ノ瀬もそれが出来るならそうしたい。
しかし、毒桜先生曰く、それでは練習にならないだろうと言う事だそうだ。
足しかにダンジョン部の練習として行うなら足しかに屋外でやった方がいいのかも知れない。
そんな事を思いながら家庭科室の外側の石段に鍋を置く。
副部長に結構色々入れられた為に少し持ちずらくなっていた。
まな板や風よけは鍋に入らずに鍋の上に無理やり乗せている為持っているときに腕に引っ掛かるのだ。
そんな事は知ったことはないと副部長は、日陰に移動して座り込んでいた。
別に今日はそれほど暑くはなくむしろ丁度いいくらいだとは思う。
春の陽気な風が体を程よく暖めてくれる。
でも副部長はそんなのは関係なく日差しが嫌いだったはずで、休む解きは必ず日陰に座る。
夏になると黒い帽子をかぶっていたがはずだ。黒い帽子はかなり大きく副部長の体をすっぽりと太陽から守っていた。
その為か副部長の体は夏でも日焼けをせずに白さを保っていた。
『じゃ、砂とか皿についてるかも知れないからしっかり落とせよー。』
と鍋の方に手をやり、水道の方を指で指した。
『あと、毒桜に後で食いにこいとた伝えとけよー』
と日陰からどんどん指示が出されていく。
まるで自分が将棋の駒に思えてくるくらいにここでは独裁政治がおこなわれていた。
まぁ先輩、後輩ってこんな物なんだろうかと思いながら並べて持って水道に行こうとするとあることを思いだした。
『そういえば、副部長。岬と知り合いなんでしか?』
と朝一緒に岬と走った時のことを思い出していた。
確かあいつ副部長を追ってきたとか言ったけ。
何となく聞いた質問だったが、副部長の顔はかなり険しいものになっていた。
いつものめんどくさいーって感じのだらんとした顔ではなく、自分の目の前におぞましい物がいるような。
とにかくどろっとした黒い目を副部長は一ノ瀬に向けていた。
『それ、岬から聞いたの?』
『あ、はい。なんか副部長を追ってきたとか。』
と一ノ瀬は正直地雷を踏んだ事に気がついており、早くこの話を終わらせたかった。
一ノ瀬は、こうゆった話は苦手だったし人のいざこざに巻き混まれたくなかったからだ。
副部長を見てみるともう一ノ瀬を見てるとゆうよりももっと遠くを見てるような虚ろな目に変わっていた。
なんか存在しない物を必死に見ようとしている。
そんな感じがした。
『あの子いつまで亡霊に魅いられているのよ。』
と誰に言った言葉ではなく、副部長は小さな声で呟いた。
その時の副部長の顔は自分で自分のやっと塞がった傷を自らえぐり出しているような悲痛な顔になっていた。
始めて見る副部長の顔だった。
『亡霊ですか?』
一ノ瀬は、これも地雷だとはわかっていが唐突に亡霊と言った単語が出てきた為気になってしまった。
副部長はしまったとゆった顔になり
『何でもない!何でもないから!早く皿洗ってこいよ!』
と言っていち一ノ瀬向かって小石を投げつけた。
余り痛くはないが、この前いるとさっきみたいに顔面にハイキックをお見舞いされることになる為
『分かりました!分かりましたから!』
と小石が雨のように一ノ瀬に当たっていくなか鍋を持って水道に向かった。
一ノ瀬が去った後カスミはまた座り込んで顔を隠すように腕の中に入れて
『もう私はそこにはいないだよ。岬』
とまた小さく呟いた。
自分にすら聞かせないくらいに、何重にもその言葉に錠をするかのように小さく呟いた。
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