第7話 オリジナル魔法1
美味しかったオーク肉は惜しいけど、腐らせるわけにはいかないので魔法を使う。
オリジナル魔法。
それは魔法使いの技量の集大成。
各属性に対して1つだけ、僕の考えた最高の魔法! みたいなのを作る事ができる。
しかしオリジナル魔法をつくるには魔法使いとして高い技量と想像力が必要なのに、そこまで魔法使いを育てた彼等は、魔法はこうだという固定概念が定まりきっている事がとても多い。
ゆえにオリジナル魔法は魔法使いの集大成であり、永遠の憧れなのだ。
多分。
エルネシアの話しを盛り上げるとこんな感じになる。
しかし俺はジャパニメーションだっけ?
幼少期は……すいません本当はつい最近まで、具体的には10日前まで、日本のアニメを見て育っていたモヤシっ子。
そんな俺に想像力が不足するはずがない!!
技量については若いセンスと想像力で補うので、魔法さん不足分はなんとか勘弁したください。
と言うわけで実践。
今回考えた魔法は水属性の液体操作だ。
単純な話し、残ったオーク肉の水分を全部排出させて干し肉にしてやろうと思ったからだ。
なんで水分操作じゃないのかというと、油分は水分じゃないから。
これがあれば油跳ねを気にせずに揚げ物が作れる、はずなんだよ。
ラードで揚げたトンカツとか重そうだけと、エルネシアには美味いもん食わしてやりたいじゃん?
肉に手を当てて肉という貯水槽から、消防車が放水するイメージで魔力を流す。
もう魔力の扱いにもかなり慣れてきた。
魔法使いだけじゃなくて職人の素材加工能力や僧侶系の回復なんかを頻繁に使うようになったからだろうか?
魔力の流れが魔法しかない魔法使いじゃてこずるはずだわ。
「わぁ〜、速い速い。もう干乾びましたね」
今のはちょっと、心が痛かったぞー!!
俺が反応し過ぎなんすけどね、思春期だしどうしても反応しちゃうんだよ。
「水分操作だと大気から水を取り出せそうなんだけどな、
「ちょっ、ええー!?」
ウォーターピラーとか長いから和風に水柱したら、類似ではなく間違いなく、ウォーターピラーが発動していた。
「よく考えたら液体操作も和風の名前じゃねえかよ」
「どういう事なんでしょう、こんなの初めて見ました」
また1つ、エルネシアの初めてをもらってしまった。
バカな現実逃避は置いといて。
「単純な話し、本人が実際の魔法を見るか使うかしてるなら、名前や呼び方よりもどんな魔法なのかのイメージが大事だったんだろう。これで俺が無詠唱で魔法を使える理由もイメージで説明がつく、と思う」
「もしかしてシバさん、とんでもない事を発見してしまったんじゃないですか?」
「そーだな。俺的には魔法が無詠唱とかイメージでどうこうなんて当り前過ぎてなんの感想も。それよりも次のオリジナル魔法を考えたり完成させたいよ」
「そっ、そうですか……はぁ」
「こればっかりは育ってきた環境だからね、なんとも言えんよ」
(私実は、本当にとんでもない人の恋人になっちゃったの? ちゃんとシバさんと支え会える恋人になれるように、私も頑張らなくちゃ!)
残りのオリジナル魔法として使える属性は火、風、地、光、闇、氷、雷の計7属性。
光と闇は合成して最強になるか試すから除外するとして、残り5属性。
普通の魔法は属性と同じ8種類。
これも何かしらの理由が?
オリジナル魔法は各1……ふーむ。
あっ、違う違う脱線した、オリジナル魔法をどんなのにするのか考えてたんだ。
地属性、初日から毎晩ドームとウォールにはお世話になってるなー。
あー家かー、家もいいよなー。
白い壁の庭付き一戸建てだっけ? 少女っぽい夢のお家は。
それか洋風の城な。
家か、俺の家ももうなくなったんだよな。
よし、そうだ! 地属性は家になる魔法にしよう。
水の液体操作みたいに汎用性を持たせて、将来子供が増えた時とかに、引っ越しもリフォームもしなくていいように、オリジナル魔法で変形とか組み換え可能な家を作ろう。
その後、オリジナル魔法作りにのめり込むあまり夜になってしまい、結果として今日は初の休日になった。
夕食は干し肉ブロックから石ナイフで干し肉を削り、あーんで食べさせあって終わった。
水しか排出させてない干し肉は旨味がかなり残っていて、塩も使わず乾燥させたので目茶苦茶美味かった。
顎が疲れるのと喉が乾くのだけは、欠点らしい欠点だろう。
全オリジナル魔法も完成したし、あぶなくて使えないのもあるけど……
1日休んで心の疲れも少しは回復したから、明日からはまた森を抜けるために頑張らないとな。
寒さで凍えるような地域じゃないけど、この夜初めてエルネシアと抱き合って眠りについた。
初日のは彼女に意識がなかったからノーカンだよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。