暗黒異世界「FF外カラキマシタ」

ちびまるフォイ

失礼するなら帰ってくれ!

「お前が15歳になったときに話すつもりだった。

 今お前がいるこの世界とは別に"FF外"という世界がある」


「FF外?」


「そうだ。父さんはFF外からやってくる敵と

 毎日戦っているんだよ。

 そして、お前も戦う日が来るかもしれない」


そのとき、時空の裂け目から大きなモンスターがやってきた。


「FF外カラシツレイシマス……」


特有の鳴き声を発しながら迫ってくる。


「くっ! こんなところにまで!!」


「父さん!」


「お前は隠れてろ! うおおおーー!!」


「とうさーーん!!」


父親の背中がFF外へと消えてゆくのをみた。

その後の消息は誰も知らない。


あれから3年の歳月が流れた。


「FF外カラシツレイシマス……」


「くらえ! シャイニングスラーーッシュ!」


「シツレイシマシタァーー!!!」


FF外からのモンスターはとめどなくやってくる。

消えた父さんの代わりとなったハンター稼業にもなれてきた。


「ふぅ……とりあえずは片付いたかな。おや?」


村の方から慌ただしく走ってくる人影が見える。


「ハンターさま! ハンターさまぁ~~!!」


「いったいどうしたんですか」


「またFF外からのゲートが開いたんだ!」


「なんだって!? すぐいきます!」


村に着く頃にはすでにFF界とをつなぐゲートが、

大きな口のようにぽっかりと開いていた。


「こんな大きな穴……いったいどうして」


「近所の子供がネタバレをしてしまったんです」


「なんて負のオーラだっ……!」


肌がチリチリと焼けそうになるほどの

強い負のオーラをFF外から感じる。


「FF界カラシツレイシマス……」


「あ、あいつは!?」


ゲートを通ってやってきた敵を前に思い出したのは

最後に見た父親の背中だった。


忘れもしないその顔に力がこもる。


「うおお! 父さんの仇ぃーー!!」


「ソレホゾンシマスネ」


「かっ……体が動かないっ……!?」


モンスターは今攻撃しようとする俺自身を画像保存。

攻撃姿勢のまま停止してしまう。


「こんなっ……こんな隙だらけの状態じゃ……!」


「ヨコカラシツレイシマス……フキンシンデス……」


敵は口をあけてエネルギーを溜め始める。


ひとたび食らってしまえば自分の人生はもちろん

家族や関係者ひいては関係のない他人の人生まで終わらせかねない。


「フキンシーーーーン!!!!」


臨界点に達したエネルギーが

レーザーのように放射された。


そのとき、急に現れた人間がモンスターの横頬を殴り飛ばした。

レーザーは空に向けて放たれ雲を貫いて消えた。


「あ、あなたは……!?」


「オレの名前は疾風のドンジロウ」


「誰だよ!? 全然知らないわ!!」


「無理もない。オレとお前はまったくの他人。

 なんのつながりもないからな」


「なのにどうして……?」


「ここ一帯に大きなトレンド値を感じたからな。

 嫌な予感がしたので来てみたら案の定さ。

 友達でも知り合いでもないが、助けにきたが邪魔だったか?」


「いや、そんな……助かりました」


「っと、助けに来たのはオレだけじゃないみたいだぜ」


次々にやってくる他のハンター達。

誰ひとりとして面識はなかったが心強かった。


「みんなで力を合わせてあのモンスターを倒すんだ!」


ハンター連合の活躍によりモンスターを倒した。

FF外につながるゲートが閉じる時、人影が見えた。


「父さん……!?」


見覚えのある後ろ姿に声をかけた。


「父さん! 父さんだろ!?」


「その声は……!」


振り返ったその顔は紛れもなく父親だった。


「ずっと死んだと思っていた。

 これまで何していたんだよ……!」

 

「実は父さん、FF外で暮らしていたんだ」


「え?」


「ウラアカという魔法でFF外で自由に過ごしていた。

 FF外はいいぞ。なんのしがらみもない。

 毎日その場の勢いとノリだけで行動できる」


「父さんがいない間、俺はずっと……。

 ずっとモンスターと戦っていたんだぞ!」


「へえ」


「へえって……なにも思わないのか!?

 もっと早くに戻っていれば助かる命もあったのに!」


「(^^;」


「なんとか言えよ! 自分のことだろ!?」


「そうだな……父親としてやるべきことがあるな」


「父さん……!」





>父さん さんはあなたをブロックしました。

 これ以上なにかいい聞かせることは出来ません。

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