2-6
「ありがとうございました。」
店員から紙袋を受け取り店を後にする。ヨウも待っていることだし急いで戻らなければ。
そんなに時間は経っていないはずだが待たせてる事への罪悪感からか足が次第に早くなる。
人波を早足ながらも上手く避け、少し開けたホールへ抜けた。
先程のカードイベントも終わり、係員が片付けを行なっている。
「ほんと、すんません。」
身内の失言を思い出してしまい、ふと口から溢れてしまった。
セットの撤収の状況を横目で見ながら謝罪の念を送りその場を離れようとしたが、ちょうど舞台の真裏の控え室のような所にカラフルな2つの人影あるのが目に入ってしまった。
片方は先程の緑
「気持ち悪いだって…。はぁ俺もう辞めようかな。」
「そんなこと言わないでください!瞬はかっこいいです!人一倍努力してきてるじゃないですか。だからそんなことを言わないでください!」
「だって、でも…。」
俺はバス停まで走った。
俺は何も見ていない。そう、見ていないのだ。
ー
「いない…。」
先程のバス停まで帰ってきたのだがヨウの姿が無い。それに荷物まで綺麗に無くなっている。
「帰ったのか?」
それならそれで一言言ってくれれば良いのに。
ポケットからスマホを取り出し連絡帳を開く、が
「あいつの番号知らないし…。」
ていうかそもそもあいつの携帯電話持ってんかよ。見たことねぇよ。
困ったな…。
画面と睨めっこしていると、本来乗るべきだったバスがやってきて、プシューという音を立てながら入り口を開き、俺を招いている。
「帰るかな。」
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