1-7


「たっだいま〜。コウちゃんいる?。たっだいまだよ。ねえ無視しないでよ。ねぇほらお姉ちゃんだぞ〜。ほらったっだいまぁ!」


「うるせぇバカ姉!なんだあの弁当は!珍しく作ってくれたと思ったら新手の嫌がらせかよ。あんなまっピンクの弁当はじめてみたわ!」


ガン無視決め込んでやろうとしていたら目の前まで来て身体を掴んで思っ切り揺さぶってきたのでガチ切れしてしまった。すると悪びれもせずに、


「ちょっと作りすぎちゃて、ほらお詫びにデザートにいくらいれてたでしょ。」


「なんの詫びだよ。どこがデザートだよ。もう原型留めてなかったし。半透明の皮しか無かったよ。」


最後の一言の後でバカ姉がテヘペロポーズを取り出したのが癇に障ったので、これから一週間無視してみようと思う。



「ねぇ、ごめんてばぁ〜もうしないから、だから無視しないでよ。ほら晩御飯ご馳走用意したからさ、機嫌直してよ〜。」


完全に無視して自室に引きこもっていると、バカ姉が侵入してきて再び身体を揺らされている。

マジうぜぇこいつ。


諦めて立ち上がり食卓に着くと、今度はドヤ顔で皿を運んできた。はい召し上がれと出された皿の上に乗っていたのは。


「鮭…。」


嘘だろ…。

しばらく目の前の淡いピンクの物を絶望しながら見つめていると引き続きニヤニヤしたドヤ顔で


「どう、今回は上手く焼けたわよ。今までの中で、最高傑作よ。ほら見惚れてないで遠慮せず食べなさいな。」


まさかこんなに姉の頭が残念になっているとは思わなかったな。再び目頭が熱くなってきた。



「なあ、俺がなんでこんなに怒ってるかわからないのか?」


「私がわからないわけないでしょ。何年姉弟やってるとおもってるのよ。この皮の部分の焼き加減が甘かったからそこが気に入らなかったんでしょう。任せなさい。私はあんたのことならなんでも知ってるんだから。」


本当だよ何年姉弟やってると思ってんだよ。

ご馳走さまと小さく呟き席を立った俺の皿の上には鮭の皮が、丸々のこされていた。


「ひどい…、折角良い感じに焼けたのに、明日こそはちゃんと焼いて見せるから覚悟してなさい。ん?何これ?」


流し台に立ち、皿を洗いながら姉が、はぁとか、ほぉとか、はは〜んとか言っている。そして物凄いニヤニヤした顔気持ち悪いで近づいてくる。

身の危険を感じ逃げようとしたが回り込まれてしまった。


「ねぇ、公一君、私に何か話すことはない?」


「無いです。眠いです。部屋戻ります。おやすみなさい。」


「へぇー。そうなんだ。ふーん。はーん。じゃあこれは何かな?」


終始にやけ顏のバカ姉の手には長さ的に女性とみられる金色の髪の毛が握られていた。


「なにそれ?」


「ったくとぼけちゃって、今コウちゃん弁当箱開けたら入ってたんだよ。弁当箱に入るってことはよっぽど近くに居ないと入らないよね。それともコウちゃんは髪の毛を食べる趣味があるのかな。お姉ちゃんの髪だったらいつでもあげるから、喜んであげるからね。他人のはちょっと遠慮して貰えると嬉しんだけど、ってねぇコウちゃんどこ行くの?ねぇ、ねぇってば!話終わってないんだけど!っていうか、お姉…

バンっと音を立てて自室のドアを閉めた。


あの髪の毛何?意味わからん…。

何でそれが俺の弁当箱に入ってんだよ。まさか風に乗ってきたんじゃあるまいし。



「さっぱりわからん。寝よ。」


考えを体とともに投げ出しベットに思いっきりダイブ。


遠くなる意識の中で「明日も詰め込んでやるんだからね。」と声が聞こえたのは気のせいだろうか。


翌日


まだ眠気が残る朝。いつも通りに自転車を漕いで通学中である。昨日からやっと天気も良くなってきたので気持ちも心持ち晴れやかだ。


朝、姉の弁当と自分の弁当をこっそり入れ換えたのは関係無いけど。本当にシャケ詰め込んでいたので腹いせにやってしまった。反省はしていない。友達にドン引きされてしまえばよいのに。そんな事を考えながら学校の近くまで来たのだが、今俺の目には一点をじっと見つめ、棒立ちしているなんだか悲しげな表情をしている女の子がみえる。


「おい何してんだよ?」


「あっ、おはよう御住君。」


そう言うと再び道路向かいの光景に目を向ける。そこには、


「おい!お前が金獅子なんだろ!白状しろ!」


「そうだよ〜。観念したほうが身のためだよ〜。」


「・・・。」


「な、何なんだよお前ら、そんなのし、しらねぇよ。」


いつずやのヤンキー共が朝っぱらから金髪の華奢な兄ちゃんに絡んでいた。ってかヤンキーのくせしてこいつら早起きなんだな。


「おい、学校遅刻すんぞ。行くぞ。」


「あっ、うん、でも…。」


そのまましばらく間ができた。なにかを考えてるようで先程からオロオロしている。そして次第に眉間に皺をよせ、


「ごめん先行ってて。私今日学校休むから!」


そう言って走り出そうとしたメガネの腕を俺の手が掴む。


「何よ…。離し「おい、お前に休まれると俺が困るんだよ。今日の英語の授業のペアどうすんだよ。それにほら。」


先ほどの方を見ると、通報があったのか警察が駆けつけてきていた。只今警察に向かってヤンキーどもがオラオラなんか言っている。


「なっ。お前何をしようとしたか知らんが、これで休む理由は無くなっただろ。さあ学校行くぞ。」


さすがに動くだろうと思い数歩ほど歩いてみるが、メガネが付いてくる気配が無い。

何してんだよと思い後ろを振り向くと、


「私が居ないと…、困る…。私が居ないと困る。へへっ、へへへへっ…。」


なんだか1人楽しそうにニヤニヤしているちょっとやばそうな人がいたので、俺は自転車にまたがりペダルを全力で漕ぎだした。


「あー、ちょっと待ってよ。ねぇ、もう一回言って、ねぇもう一回!」


その声は次第に遠ざかっていくのが背中越しに分かった。



教室


駐輪場に自転車を止めてから来たのだが、


「あー遅かったね。」


あれ?

結構本気で自転車を漕いでたはずなんだけどな、駐輪場に寄ったとしてもそんな時間がかかるもんじゃないんだけど、なんでこいつの方が早く席に座ってんだよ。ボルトもびっくりの速さじゃねぇか。



授業中


「はい。じゃあ2人組を作って。お互いに交互に一文ずつ読んでみましょうか。」


懸念していた英語の英文の朗読時間だ。今までは1人でぶつぶつ読み上げ、頃合いを図ってさぞやりきった感を出すといった時間だったが、今回は違う、ちゃんと読み合う相手がいる。

そしてその相手の方を振り向くと、朝から顔面にへばりついたようなニヤニヤした顔でこちらを見ていた。

ちょっとイライラしたので再び前を向いて俺は例の如く1人でぶつぶつと…、


「ねぇ、なんで一人で始めてるの?一緒しようって言ったじゃない?私が必要だって言ったじゃない。ほらもう一回だけ言ってくれても良いのよ。ほら、ほら」


言ってねぇよそんな事。


俺は皆が読み終える頃合いを見計らってそっと手に持っていた教科書を机に降ろした。


少し頭が痛いが気にしないでおこう。それにしても最近の女の子の握力は尋常じゃないんだな…。


時は流れ放課後。


「今日も帰ろー。」


「悪い、今日も自転車だから一緒には帰れないわ。じゃあまたな。」


今日ぐらいは一人でのんびり帰ろうとやんわり断ってみた。さすがに諦めるだろ。


「良いよ走るから。」


「えっなんて?」


「走るから。」


「えっ、だってこっからあっちまで結構距離あるから。だからおとなしく「大丈夫だよ。私こう見えても足速いし、体力にも自信あるから、だから一緒帰ろ。」


こちらに拒否権はないんですね。誘われた時点で詰んでるんですね。


同級生の女の子と帰る、まさに夢シュチュエーションなのに甘酸っぱさのかけらもねぇな。


長い協議の結果、バス停まで一緒に帰るから、今日はもう勘弁してくれという結果になり只今下校中である。


「私やっぱりタケノコの方が良いと思うの。一噛みでいけるから食べやすいし。きのこはあの傘の部分が邪魔をして非常に噛みずらいよ。」


「ふざけんなよ。あの傘の部分だけ先に噛んで口の中にチョコレートを広げ、その後にあの棒の部分を食べる。これが醍醐味だろうが。タケノコこそなんであんなに先尖ってんだよ、この間口の中に刺さったぞ。もっときのこみたいに円滑で誰も傷つけない優しさとかないの。」


「それを言うならさ…、」


「言うならなんだよ、かかってこいよ。きのこの素晴らしさを小一時間ほど説いてやるよこの異教徒め。」


「・・・。」


俺の挑発の一言への返答がいつもまでも帰ってこない。


「なんだよ。なんか言えよってお前何してんの?」


彼女の方を振り向くと今朝しがたと全く同じ光景だった。ずっと一方方向を見つめる彼女。その先には、


「またあいつらかよ。どんだけ暇なんだよ。」

今朝と同じように金髪の男性に絡むヤンキー共、

ただ今朝と違うのは今現在その金髪の男性が袋叩きにあっているということだ。


「あ〜あ、ついには手を出しちゃったな。」


「ちょっとごめん私急用ができたから先帰ってて。」


「あっ、ちょっと待てよ。」


呼び止めたが聞く耳持たず走って居なくなった。

一緒に帰ろうと言い出しといてなんだよ。

というか今は目の前のヤンキー共だな。無視してもいんだがなんだか良心が傷むし、それにこのままにしとくのもなんだか嫌な予感がする。


「はぁ、仕方ないか。」


7 ※こんなの姉じゃありません。


「たっだいま〜。コウちゃんいる?。たっだいまだよ。ねえ無視しないでよ。ねぇほらお姉ちゃんだぞ〜。ほらったっだいまぁ!」


「うるせぇバカ姉!なんだあの弁当は!珍しく作ってくれたと思ったら新手の嫌がらせかよ。あんなまっピンクの弁当はじめてみたわ!」


ガン無視決め込んでやろうとしていたら目の前まで来て身体を掴んで思っ切り揺さぶってきたのでガチ切れしてしまった。すると悪びれもせずに、


「ちょっと作りすぎちゃて、ほらお詫びにデザートにいくらいれてたでしょ。」


「なんの詫びだよ。どこがデザートだよ。もう原型留めてなかったし。半透明の皮しか無かったよ。」


最後の一言の後でバカ姉がテヘペロポーズを取り出したのが癇に障ったので、これから一週間無視してみようと思う。



「ねぇ、ごめんてばぁ〜もうしないから、だから無視しないでよ。ほら晩御飯ご馳走用したからさ、機嫌直してよ〜。」


完全に無視して自室に引きこもっていると、バカ姉が侵入してきて再び身体を揺らされている。

マジうぜぇこいつ。


諦めて立ち上がり食卓に着くと、今度はドヤ顔で皿を運んできた。はい召し上がれと出された皿の上に乗っていたのは。


「鮭…。」


嘘だろ…。

しばらく目の前の淡いピンクの物を絶望しながら見つめていると引き続きニヤニヤしたドヤ顔で


「どう、今回は上手く焼けたわよ。今までの中で、最高傑作よ。ほら見惚れてないで遠慮せず食べなさいな。」


まさかこんなに姉の頭が残念になっているとは思わなかったな。ちょっと目頭が熱くなってきた。


「なあ、俺がなんでこんなに怒ってるかわからないのか?」


「私がわからないわけないでしょ。何年姉弟やってるとおもってるのよ。この皮の部分の焼き加減が甘かったからそこが気に入らなかったんでしょう。任せなさい。私はあんたのことならなんでも知ってるんだから。」


本当だよ何年姉弟やってると思ってんだよ。

ご馳走さまと小さく呟き席を立った俺の皿の上には鮭の皮が、丸々のこされていた。


「ひどい…、折角良い感じに焼けたのに、明日こそはちゃんと焼いて見せるから覚悟してなさい。ん?何これ?」


流し台に立ち、皿を洗いながら姉が、はぁとか、ほぉとか、はは〜んとか言っている。そして物凄いニヤニヤした顔気持ち悪いで近づいてくる。

身の危険を感じ逃げようとしたが回り込まれてしまった。


「ねぇ、公一君、私に何か話すことはない?」


「無いです。眠いです。部屋戻ります。おやすみなさい。」


「へぇー。そうなんだ。ふーん。はーん。じゃあこれは何かな?」


終始にやけ顏のバカ姉の手には長さ的に女性とみられる金色の髪の毛が握られていた。


「なにそれ?」


「ったくとぼけちゃって、今コウちゃん弁当箱開けたら入ってたんだよ。弁当箱に入るってことはよっぽど近くに居ないと入らないよね。それともコウちゃんは髪の毛を食べる趣味があるのかな。

お姉ちゃんの髪だったらいつでもあげるから、喜んであげるからね。他人のはちょっと遠慮して貰えると嬉しんだけど、ってねぇコウちゃんどこ行くの?ねぇ、ねぇってば!話終わってないんだけど!っていうか、お姉…

バンっと音を立てて自室のドアを閉めた。


どうゆう事だ。何でそれが俺の弁当箱に入ってんだよ。まさか風に乗ってきたんじゃあるまいし。


「さっぱりわからん。寝よ。」


考えを投げ出しベットに思いっきりダイブした。

遠くなる意識の中で「明日も詰め込んでやるんだからね。」と声が聞こえたのは気のせいだろうか。


翌日


まだ眠気が残る朝。いつも通りに自転車を漕いで

通学中である。昨日からやっと天気も良くなってきたので気持ちも心持ち晴れやかだ。


朝、姉の弁当と自分の弁当をこっそり入れ換えたのは関係無いけど。本当にシャケ詰め込んでいたので腹いせにやってしまった。反省はしていない。友達にドン引きされてしまえばよいのに。そんな事を考えながら学校の近くまで来たのだが、今俺の目には一点をじっと見つめ、棒立ちしている悲しげな表情をしている女の子がみえる。


「おい何してんだよ?」


「あっ、おはよう御住君。」


そう言うと再び道路向かいの光景に目を向ける。

そこには、


「おい!お前が金獅子なんだろ!白状しろ!」


「そうだよ〜。観念したほうが身のためだよ〜。」


「・・・。」


「な、何なんだよお前ら、そんなのし、しらねぇよ。」


いつずやのヤンキー共が朝っぱらから金髪の華奢な兄ちゃんに絡んでいた。ってかヤンキーのくせしてこいつら早起きなんだな。


「おい、学校遅刻すんぞ。行くぞ。」


「あっ、うん、でも…。」


そのまましばらく間ができた。なにかを考えてるようで先程からオロオロしている。そして次第に眉間に皺をよせて、


「ごめん先行ってて。私今日学校休むから!」


そう言って走り出そうとしたところを俺の手が掴む。

「何よ…。離し「おい、お前に休まれると俺が困るんだよ。今日の英語の授業のペアどうすんだよ。それにほら。」


先ほどの方を見ると、通報があったのか警察が駆けつけてきていた。只今警察に向かってヤンキーどもがオラオラなんか言っている。


「なっ。お前何をしようとしたか知らんが、これで休む理由は無くなっただろ。さあ学校行くぞ。」


さすがに動くだろうと思い数歩ほど歩いてみるが、メガネが付いてくる気配が無い。

何してんだよと思い後ろを振り向くと、


「私が居ないと…、困る…。私が居ないと困る。へへっ、へへへへっ…。」


なんだか1人楽しそうにニヤニヤしているちょっとやばそうな人がいたので、俺は自転車にまたがりペダルを全力で漕ぎだした。


「あー、ちょっと待ってよ。ねぇ、もう一回言って、ねぇもう一回!」


その声は次第に遠ざかっていくのが背中越しに分かった。



教室


駐輪場に自転車を止めてから来たのだが、


「あー遅かったね。」


あれ、結構本気で自転車を漕いでたはずなんだけどな、駐輪場に寄ったとしてもそんな時間がかかるもんじゃないんだけど、なんでこいつの方が早く席に座ってんだよ。ボルトもびっくりの速さじゃねぇか。



授業中


「はい。じゃあ2人組を作って。お互いに交互に一文ずつ読んでみましょうか。」


懸念していた英語の英文の朗読時間だ。今までは1人でぶつぶつ読み上げ、頃合いを図ってさぞやりきった感を出すといった時間だったが、今回は違う、ちゃんと読み合う相手がいる。

そしてその相手の方を振り向くと、朝から顔面にへばりついたようなニヤニヤした顔でこちらを見ていた。

ちょっとイライラしたので再び前を向いて俺は例の如く1人でぶつぶつと…、


「ねぇ、なんで一人で始めてるの?一緒しようって言ったじゃない?私が必要だって言ったじゃない。ほらもう一回だけ言ってくれても良いのよ。ほら、ほら」


言ってねぇよそんな事。


俺は皆が読み終える頃合いを見計らってそっと手に持っていた教科書を机に降ろした。


少し頭が痛いが気にしないでおこう。それにしても最近の女の子の握力は尋常じゃないんだな…。


時は流れ放課後。


「今日も帰ろー。」


「悪りぃ、今日も自転車だから一緒には帰れないわ。じゃあまたな。」


今日ぐらいは一人でのんびり帰ろうとやんわり断ってみた。さすがに諦めるだろ。


「良いよ走るから。」


「えっなんて?」


「走るから。」


「えっ、だってこっからあっちまで結構距離あるから。だからおとなしく「大丈夫だよ。私こう見えても足速いし、体力にも自信あるから、だから一緒帰ろ。」


こちらに拒否権はないんですね。誘われた時点で詰んでるんですね。


同級生の女の子と帰る、まさに夢シュチュエーションなのに甘酸っぱさのかけらもねぇな。


長い協議の結果、バス停まで一緒に帰るから、今日はもう勘弁してくれという結果になり只今下校中である。


「私やっぱりタケノコの方が良いと思うの。一噛みでいけるから食べやすいし。きのこはあの傘の部分が邪魔をして非常に噛みズラいよ。」


「ふざけんなよ。あの傘の部分だけ先に噛んで口の中にチョコレートを広げ、その後にあの棒の部分を食べる。これが醍醐味だろうが。タケノコこそなんであんなに先尖ってんだよ、この間口の中に刺さったぞ。もっときのこみたいに円滑で誰も傷つけない優しさとかないの。」


「それを言うならさ…、」


「言うならなんだよ、かかってこいよ。きのこの素晴らしさを小一時間ほど説いてやるよこの異教徒め。」


俺の挑発とも取れる一言への返答がいつもまでも帰ってこない。


「なんだよ。なんか言えよってお前何見てるの?」


彼女の方を振り向くと今朝しがたと全く同じ光景だった。ずっと一方方向を見つめる彼女。その先には、


「またあいつらかよ。どんだけ暇なんだよ。」


今朝と同じように金髪の男性に絡むヤンキー共、

ただ今朝と違うのは今現在その金髪の男性が袋叩きにあっているということだ。


「あ〜あ、ついには手を出しちゃったな。」


「ちょっとごめん私急用ができたから先帰ってて。」


「あっ、ちょっと待てよ。」


呼び止めたが聞く耳持たず走って居なくなった。


一緒に帰ろうと言い出しといてなんだよ。

というか今は目の前のヤンキー共だな。

あんまり関わりたくないのだが、 昔からの悪い癖で身体がうずうずしてしまう。


「はぁ、仕方ないか。」


バックからタオルを出し顔に巻き付け、目から下を隠し、前髪で顔を隠し、重い足を取りながらヤンキー共に近づき無駄に呼び鈴をチャリンチャリンならす。


「おい、邪魔だどけ。春だからって頭に鮮やかな花なんて咲かしてんじゃねぇよこの脳天花畑野郎共、邪魔だどけ!」


「あぁん!なんだテメェ、調子に乗ってんじゃねぇえ、え…。」


「えっ?」


挑発に乗って来たヤンキーレッドがいきなり膝から崩れ落ちた。全く状況が掴めない。



「おっおい…。大丈夫か?俺まだ何もしてないぞ。」


レッドは俺の問いかけにも答えず白眼をむいて倒れている。それどころかほかのヤンキーも次々に倒れていく。えっ、何どうゆう事?


そして呆然と立ち尽くしていた俺にも律儀にも順番がら回ってきた。頭に走る激痛そして、次の瞬間俺の意識が飛んだ。ただ最後に宙を舞う石ころのようなものが見えた気がした。

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